読者が気になった記事について、担当編集者が直接話して質問に答える連載です。今回は、クロストレンドの読者が集う未来会議のメンバーの「まりこさん」が上げた「アフターコロナ時代の『イノベー食』」について。なぜこの記事を書いたのか、これから注目のテーマは何か、副編集長の勝俣がお話しします。

気になる記事を上げてくれたまりこさん(写真下段中央)。答えるのは、当該記事を担当した副編集長の勝俣(上段左)。上段右は同連載を担当する森岡(もりもり)
気になる記事を上げてくれたまりこさん(写真下段中央)。答えるのは、当該記事を担当した副編集長の勝俣(上段左)。上段右は同連載を担当する森岡(もりもり)
まりこさんが気になる記事
特集「アフターコロナ時代の『イノベー食』」第4回
「プラントベースド=肉の代用品」の時代は終焉 不二製油の挑戦

まりこさん 以前から大豆ミートに興味を持っていて、実際に食事に取り入れていました。最近になって、種類も増え、またメディアで取り上げられることも増えてきたと思います。なぜ今、この代替肉をテーマに記事をつくったのでしょうか。

勝俣 今回のこの記事や特集全体として伝えたかったのは、日本のメーカーはすごい!ということです。フードテックの分野では、日本は欧米に比べて遅れていると思われがちです。私も以前はそう思っていました。ですが、海外のフードテック系のスタートアップを見てみると、実はその中核的な技術を日本の企業が担っていることもあります。それに、日本の食品メーカーの技術力は極めて高く、その現状を見誤ってはいけないと考え、今回は日本のトップメーカーである、味の素や不二製油などにアプローチしました。

 代替肉は海外を中心に普及が進んでいますが、日本でもさまざまな商品が登場しています。そんな中、不二製油は油脂やたんぱく質を扱う独自技術に強みを持っており、期待を集めています。おいしさをしっかり追求している点も、今後の一般化を考えると重要な要素です。

まりこさん 大豆ミートなど、さまざまな代替肉が登場しており、愛用者としてはうれしいのですが、これが一般化し、定着していくのかどうかが気になります。

勝俣 以前、米ベンチャーのImpossible Foodsが手がける植物肉「インポッシブルバーガー」を食べました。驚きましたね。バーガーのパティとしては、もう本物とほとんど見分けも味の違いも分からないくらいの完成度。米国では、ウォルマートの店舗で取り扱ったり、バーガーキングでも当たり前のようにメニューに載っていたりと、生活に溶け込み始めています。特に、若い層は積極的に選ぶようにもなってきているといいます。日本でインポッシブルバーガーのような完全に肉そっくりなものが求められるかは分かりません。意外に大豆っぽいものでもいいのかもしれません。米国ほど肉重視、ハンバーガー文化ではないので。ですが、日本でも肉食ニーズは高まっており、代替肉が一般化する流れは広がっていくと考えています。

米Impossible Foodsの完全植物性パティを使ったハンバーガー
米Impossible Foodsの完全植物性パティを使ったハンバーガー

米国で植物肉がはやっているわけは

まりこさん 米国で若者が本当の肉を選ばないというのは、どんな理由でしょう?

勝俣 まずは、環境に与える負荷を意識している人が多いのだと思います。植物由来の肉は、製造における環境負荷が低いといわれており、その点が若者の意識に響いているのでしょう。日本でも、この流れは広がってきています。また、米国では脂質を気にして選ぶ人もいるといいます。

まりこさん クロストレンドでは、今回だけでなく、何度かフードテック特集を見かけますが、そもそもフードテックを追おうとしたきっかけは。

勝俣 以前、日経トレンディで記者をしていました。その際、年末号で翌年のヒットを予測する特集を担当していて、クルマや食品の分野をずっと追っていました。海外の情報も集めていた中で、食の業界が大きく変わってきていると感じたのがきっかけです。日経クロストレンドが創刊したとき、新市場をつくっていく人向けの媒体として、変わる業界をしっかりと取り上げるべきだと思いました。

 取り上げるものは、共感できるか、必要だと思えるかといった基準で選んでいます。代替肉、植物肉もいろいろ取り寄せて食べています。ある新商品は、味を濃くすることで風味をごまかしており、純粋においしくなかったので取り上げるのをやめました。

 食は誰にでも関係があり、誰でも関われるというのが面白いところです。私のような素人が消費者目線で見て、必要か、応援したくなるか、取り上げて普及していってほしいと思えるか、そんな意識を大切にしています。選球眼というと偉そうですが、これが基準になっています。