16期連続で増収と、絶好調のアウトドアメーカー「スノーピーク」。服飾デザイナーから3代目社長に就任した山井梨沙氏が、事業領域を「衣食住働遊学」へと急拡大している。山井氏の新刊『経営は、焚き火のように Snow Peak 飛躍の源泉』では、30代社長がスノーピークの強さの理由を明らかにしていく。
スノーピークをアウトドアメーカーと思っている人は多いだろう。ところが今や、16期にわたる増収を続ける絶好調企業にして、「アパレル」「飲食」「住宅デベロッパー」「コンサルティング」と事業領域を急速に拡大している総合メーカーへと変貌を遂げつつある。
事業領域として「衣・食・住・働・遊・学」を掲げるのは、服飾デザイナーから3代目社長に就任した山井梨沙氏だ。その中心には、常に「野遊び」を軸にしたスノーピーク独自の経営論がある。
無意識だったデザイン経営
ここ最近、「ビジョン経営」「パーパス経営」「デザイン経営」といった、経営手法が注目されている。だがスノーピークは1988年からビジョン経営、デザイン経営を続けるお手本のような企業だ。とはいえ、山井社長は、「自分たちがデザイン経営をしていると意識したことは一度もなかった」と語る。企業が目指すべき方向性を言語化し、全従業員を目標へと導く経営はどのように行われているのか。『経営は、焚き火のように Snow Peak 飛躍の源泉』では、その要諦を解説する。
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書名:『経営は、焚き火のように Snow Peak 飛躍の源泉』(日経BP)
著者:山井梨沙
定価:1700円(税別)
発売日:2022年6月27日
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【目次】
第1章 気づいたら「デザイン経営」だった
スノーピークの現在地
8年間で4つの事業が始まった
市場を想像するものづくり
改訂した経営理念
社長としてはアウトサイダー
未経験でも社長業ができている理由
スノーピークらしいのはC案
特許庁からデザイン経営企業として表彰
専門家も認めたスノーピークのデザイン経営
洋服のデザインと経営は同じ
言語をデザインする
社員全員が体験デザイナー
売り上げは提供した価値の対価
スノーピークの次世代育成プラン
私の経営に欠かせない焚き火ミーティング
熱狂的なファン「スノーピーカー」とは
ユーザーとのキャンプがすべてのはじまり
コロナ禍で急増中の新規ファン
継承されるスノーピーカーDNA
コラム:父と娘のモノローグ スノーピークの事業承継
第2章 ものづくりの先へ 業績好調の背景
16期連続で増収
本社の広大な敷地はスノーピークの象徴
体験価値を提供する
「衣・食・住・働・遊・学」の事業領域へ
何より社員の主体性
「ゆりかごから墓場まで」の村をつくります
総合展示会「ライフエキスポ」でできたネットワーク
新規の提案がひっきりなし
エキスポで実感した焚き火の力
社会人から地球人へ
次のエキスポを前に
コラム:スノーピークの海外展開
24年に売り上げ全体の40%を目指す、グローバル戦略
第3章 義務教育ではなくアウトドア教育で育った
小学生まで毎週末キャンプ
キャンプで学んだ状況判断とリカバリー力
アウトドアパーソン譲りの「お節介精神」
強みは妄想する力
人間らしさを取り戻す新潟での暮らし
焚き火をする理由
燕三条で培ったものづくりの精神
土地に根付いた文化を着る、体験する
自然界のラグジュアリーウェア「YAMAI」
自然由来の素材で必要な分だけをつくるモデル
コラム:社員アンケートで分かった
山井梨沙社長ってどんなヒト?
第4章 スノーピークを支える最前線の社員たち
衣 スノーピークアパレル」前年同期比157%を生み出す2つの強み
衣 スノーピーク流のSDGsとは? 3軸で進める服づくり
食 スノーピーク「食」への挑戦 古来種野菜をキャンプ料理で提供
食 スノーピークが「白馬の王子様」になれた理由 リゾート閑散期を救え
住 スノーピークの街づくり 時代が求める“野遊びのある暮らし方?
住 スノーピークが作った一生ものの家具 変わる暮らしにフォーカス
働 大手企業も続々導入 スノーピーク「キャンピングオフィス」の効果
遊 スノーピーク流地方創生に依頼が殺到 カギとなる「2軸」とは
学 持続可能な世界をつくるキャンパー思想 教育現場に広がる
衣 食 住 遊 働 学 スノーピークのものづくりDNA 市場は「創造」するもの
衣 食 住 遊 働 学 舞台は大自然、前代未聞の超大型展示会を開催
衣 食 住 遊 働 学 「スノーピーク流DX」5つの取り組み、ゼロから成果を出せたワケ
【著者について】
スノーピーク代表取締役 社長執行役員

1987年、新潟県生まれ。創立者の祖父・幸雄、現代表取締役会長の父・太から代々続くスノーピークの3代目。幼いころからキャンプや釣りなどのアウトドアに触れて育つ。文化ファッション大学院大学卒業後、ドメスティックブランドに勤務。2012年、スノーピーク入社。14年にアパレル事業を立ち上げ、スノーピークが培ってきた「ないものはつくる」というDNAを受け継いだものづくりを次世代のフィルターを通して発信。企画開発本部長を経て19年に代表取締役副社長、20年3月より現職