ソニー、ディズニー、AOLなど、国内外の名だたる企業で経営の最前線に立ち、アップル米国本社副社長時代には「iPod mini」を大ヒットさせたことでも知られる前刀禎明氏。「日本企業は製品を売るのが下手」と言い切る前刀氏が、自らの経験と、そこから得たマーケティングの本質、アイデアの源、仕事との向き合い方を語り尽くした新刊です。タイトルは『学び続ける知性 ワンダーラーニングでいこう』。マーケティング担当者はもちろんのこと、もっと仕事を充実させたいと思っているすべてのビジネスパーソンにお読みいただきたい1冊です。

マーケティングに必要なのは過去のデータ分析じゃない

 今はモノを売るのが難しい時代といわれます。AI(人工知能)、5Gなど、社会全体の技術革新は進む一方で、一般消費者の購入する商品に目覚ましい発展は見られなくなりました。サブスクリプションやシェアリングといったビジネスモデルの登場で、モノを「買う」「所有する」という価値観自体も揺らぎつつあります。さらに、近年のコロナ禍。消費者の価値観の多様化は一層進み、求めるものは、刻一刻と変わっています。

 そんな中でも選ばれる製品・サービスはどうすれば作れるのか。そのためにマーケターにできることは何なのか。

 ソニー、ディズニー、AOLなどでマーケティングに携わり、アップル米国本社副社長時代には「iPod mini」を大ヒットさせて、後の「iPhone」に続く道を切り開いた前刀禎明氏は、「マーケティングに必要なのは過去のデータ分析じゃない」と説きます。さらに言えば、特別なスキルや難しいマーケティング理論でもない。真に求められるのは、目の前にあるもの、今、起きていることを自分なりに観察し、推測し、考える力――「学び続ける知性」です。

 これは誰もが育めるものです。しかし、残念ながら、それをうまく発揮できている人は決して多くありません。だからこそ、自らの経験を基に、学び続ける知性を身に付ける方法を本書で語り尽くしました。

 世界をリードする、アマゾン、グーグル、アップルといった企業の強み、多くの企業が陥りがちな「自社らしさ」という概念の落とし穴、真の顧客目線とは何か、コロナ禍で変わる消費者ニーズなど、マーケターなら気になる課題についても大胆に分析しています。

 また、前刀氏に「日本を何とかしてくれ」と言った、米アップル創業者・スティーブ・ジョブズ氏とのやりとりや、アップルを辞めた理由、ソニー入社時代の経験、ライブドアを営業譲渡したときの裏話など、今だから話せるエピソードも満載。本書終盤では、「英語もプレゼンも最初は苦手だった」という前刀氏が身に付けたプレゼンの極意なども披露しています。

 マーケターに限らず、仕事をもっと充実させたいというすべてのビジネスパーソンにも役立つ1冊になっています。

 学び続ける知性があれば、人間はいつでも、いくつになっても自らをリセット&リスタートできる――そんな前向きな思いと共に、前刀氏のメッセージをお届けします。

『学び続ける知性 ワンダーラーニングでいこう』
著/前刀禎明
定価:本体1800円+税
四六判、256ページ

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【目次】

はじめに
 今こそ学び続ける知性を身に付けよう
 僕がインスタに空の写真をアップするわけ

第1章 コロナでリセットされた消費者の価値観
 既定路線の製品はもう売れない
 「個」の時代にマーケティングがやるべきこと
 今こそ真の「顧客目線」に移行せよ

第2章 マーケティングに必要なのは過去のデータ分析じゃない
 “後ろ向きなマーケティング”はいらない
 サブスク時代、人がモノを持つことの意味
 人が「買う」のに技術や機能より重要なこと
 これからをつくる「UI革新」と「アナログ感覚」

第3章 マーケターに必要なものはこう身に付けた
 ジョブズは「日本をなんとかしてくれ」と僕に言った
 理工学部を出てマーケターになった僕の選択
 アップルはもともと3年で辞めるつもりだった

第4章 新市場をつくるのはいつだってイノベーション
 イノベーションなきマーケティングから利益は生まれない
 アマゾン、ブランド戦略なき企業のブランド力
 グーグルに学ぶ「シンプル化」という考え方
 アマゾンさえもつまずいたロゴの罠
 「アップルならいいものを作る」という信頼
 日本企業はなぜ利益を生めなくなったのか
 “バズワード”が飛び交う会社にイノベーションは起こせない
 「らしさ」へのこだわりが生む落とし穴

第5章 働き方を革新せよ
 「未来に必要なスキル」とは何か
 「スペシャリスト」と呼ばれたら要注意
 働き方のイメージに流されるな
 “乱世”の今こそチャレンジのとき

第6章 人に伝えるプレゼン力
 スティーブ・ジョブズをまねるより大事なことがある
 前刀流・メッセージを伝えるプレゼンのコツ
 リモートワークであらゆる会議はプレゼンになる

おわりに
 孫悟空からもらった「オラ、わくわくすっぞ」精神

【著者】

前刀 禎明(さきとう よしあき)氏
リアルディア 代表取締役社長

ソニー、ベイン・アンド・カンパニー、ウォルト・ディズニー・ジャパン、AOLジャパンなどを経て、アップル米国本社副社長 兼 日本法人代表取締役に就任。独自のマーケティング手法で「iPod mini」を大ヒットに導き、スティーブ・ジョブズ氏に託された日本市場でアップルを復活させた。アップル退社後、リアルディアを設立し、セルフ・イノベーション事業を展開している。最新アプリ「DEARWONDER」は、創造的知性を磨く革新的なプラットフォーム。

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