コカ・コーラ ボトラーズジャパンは、2030年までの温室効果ガス(GHG)削減目標を策定。目標達成に向けて、サプライチェーン全体を通じた戦略的な取り組みを推進していく。

サプライチェーン全体に拡大する脱炭素化への取り組み

 第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)を機に、各国で一層高まる脱炭素化への気運。企業においても、自社だけでなく、サプライチェーン全体で脱炭素を目指そうという動きが始まっている。これには、事業活動に関わるサプライヤーや納入先はもちろん、自社製品のライフサイクルまでを含めた幅広い範囲での温室効果ガス(GHG)排出量の管理・報告責任が伴う。気候変動に関する消費者の意識も高まってきており、脱炭素の取り組みがなされていない企業の商品やサービスは選ばれにくくなる可能性もあることから、企業にとって取り組みは急務だといえる。

 企業のGHG排出は、3つのスコープに分類される。スコープ1は、事業者自らによる直接排出、スコープ2は他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出、スコープ3は上記2つ以外の間接排出、つまりサプライチェーンの川上から川下までを含めた全範囲を指す。スコープ3まで開示する企業はまだ少ないが、今後は企業価値の維持・向上の観点からも、全スコープにおけるGHG排出量の補足は必須となっていくだろう。

 そうした時代の流れに先駆けて、独自の「CSV Goals」に基づき、サプライチェーン全体のGHG排出削減に取り組んでいるのが、コカ・コーラ ボトラーズジャパンだ。

日本のコカ・コーラシステムは、原液の供給や製品の企画開発などを行う日本コカ・コーラと、製品の製造・販売を行う5つのボトラー社などで構成される。なかでも、38都府県を事業エリアに持つコカ・コーラ ボトラーズジャパンは、日本コカ・コーラと緊密に連携し、サプライチェーン全体のGHG排出量削減に取り組んでいる
日本のコカ・コーラシステムは、原液の供給や製品の企画開発などを行う日本コカ・コーラと、製品の製造・販売を行う5つのボトラー社などで構成される。なかでも、38都府県を事業エリアに持つコカ・コーラ ボトラーズジャパンは、日本コカ・コーラと緊密に連携し、サプライチェーン全体のGHG排出量削減に取り組んでいる

 コカ・コーラ ボトラーズジャパンを含む日本のコカ・コーラシステムは、2030年までにスコープ1、2において2015年比で50%、スコープ3において同30%削減する目標を策定。これは、グローバルで定めたバリューチェーン全体で同25%削減という目標よりも高い、日本独自の数値となる。目標達成の鍵を握るのは、排出量の大部分を占めるスコープ3の取り組みだ。

 その意味でも、国内コカ・コーラシステムの約90%(年間約5億ケース)の製品を販売し、約70万台の自動販売機を運営するコカ・コーラ ボトラーズジャパンの役割は大きい。加えて、17の製造拠点と約1万4500台の車両を持つ同社は、スコープ1~3を通してサプライチェーン全体のGHG排出量削減量にインパクトをもたらすことが期待されている。

事業活動の全領域でGHG排出量削減に挑むコカ・コーラ ボトラーズジャパン

 コカ・コーラ ボトラーズジャパンの事業は、調達・製造部門から物流・輸送部門、販売部門、回収・リサイクルまでを網羅する。ここでは、各領域における同社の取り組みを見ていこう。

 まず製造部門において、同社はこれまでも太陽光発電やコージェネレーションシステムの導入、ボイラー設備の燃料を化石燃料から天然ガスへ転換するといった施策により、工場から発生するCO2や化石燃料使用量の削減に努めてきた。例えば同社白州工場では、2020年より山梨県企業局の水力発電所で発電された電力を活用し、工場の電気使用に伴うCO2排出量をゼロにするなど、地域社会と連携した取り組みにより脱炭素化を進めている。

山梨県と東京電力エナジーパートナーが共同運営する電力供給ブランド、やまなしパワーPlus「ふるさと水力プラン」により、電気使用に伴うCO2排出量ゼロで稼働する白州工場
山梨県と東京電力エナジーパートナーが共同運営する電力供給ブランド、やまなしパワーPlus「ふるさと水力プラン」により、電気使用に伴うCO2排出量ゼロで稼働する白州工場

 物流・輸送部門では、かねてから物流体制の最適化を目指す「新生プロジェクト」を推進。その一環として、2021年には日本のコカ・コーラシステム最大級の保管・出庫能力を持つ自動物流センター「埼玉メガDC」を稼働させた。これまで各拠点で行ってきた仕分けやピッキングなどの物流業務、在庫、保管スペースを集約し、エンド・ツー・エンドまでタイムリーに製品を届けるネットワークを構築。さらに自動格納ラックや自動ピッキングシステムといった設備の自動化により、省力・省コスト化と環境負荷低減の両立を狙う。2022年内には、同社明石工場敷地内に「明石メガDC」の竣工も予定しているという。

「埼玉メガDC」では、ロボットによる自動ピッキングシステムで複数の製品をまとめて配送に回すなど、在庫管理と物流業務の効率化を実現
「埼玉メガDC」では、ロボットによる自動ピッキングシステムで複数の製品をまとめて配送に回すなど、在庫管理と物流業務の効率化を実現

 販売部門においては、自動販売機、クーラー、ディスペンサーといった販売機器の消費電力量やCO2排出量の削減に向けた機材の開発・導入を継続的に進めている。同社自動販売機の使用冷媒のノンフロン化率は79.6%(2020年実績)で、なかでも2013年から展開している「ピークシフト自販機」は、日中に冷却用の電力を使わず夜間にシフトすることで、日中の消費電力の最大95%を削減可能としている。

電力に余裕のある夜間帯に収容製品を集中冷却することで、電力使用のピーク時間帯(8時~22時)を含めた最長16時間、冷却用の電力をゼロにできる「ピークシフト自販機」
電力に余裕のある夜間帯に収容製品を集中冷却することで、電力使用のピーク時間帯(8時~22時)を含めた最長16時間、冷却用の電力をゼロにできる「ピークシフト自販機」

 もちろん、自動販売機オペレーションの改善も欠かさない。コカ・コーラ ボトラーズジャパンでは、ビッグデータを活用して配送ルートの最適化を図るなど、営業活動の効率化を図っている。こうした取り組みが、配送車両のCO2排出量抑制にもつながっている。

回収・リサイクルまで責任を持ってものづくりを推進

 日本のコカ・コーラシステムでは、「設計」「回収」「パートナー」の3本の柱から成る「容器の2030年ビジョン」の実現に向けて、使用済みのPETボトルを製品のPETボトルに再生する「ボトルtoボトル」を推進している。なかでもコカ・コーラ ボトラーズジャパンは自治体や企業と協働しPETボトルのリサイクル活動を行っている。

 同社では、2020年より東京都東大和市と協働でPETボトル回収事業を行っている。また同年には、「ボトルtoボトル」のリサイクルモデル構築を目的とした実証プロジェクトを、ウエルシアホールディングスと共に栃木県小山市内のドラッグストア「ウエルシア」11店舗にて実施。CO2削減に大きな効果が期待できる「ボトルtoボトル」を着実に進めるための仕組みづくりに注力している。

東京都東大和市との「地域活性化包括連携協定」に基づき、市内に「PETボトル自動回収機」を設置。「ボトルtoボトル」の促進を図る
東京都東大和市との「地域活性化包括連携協定」に基づき、市内に「PETボトル自動回収機」を設置。「ボトルtoボトル」の促進を図る

 さらに、遠東新世紀(台湾)との共同プロジェクトでは、ケミカルリサイクルによる、再生PET原料を使用したPETボトル製品の商業化にも尽力。

 製造からリサイクルまで、サプライチェーンを貫く事業全体を通じたGHG排出量削減に取り組むコカ・コーラ ボトラーズジャパン。その背景には、共創価値(CSV:Creating Shared Value)の概念を経営に取り込み、ビジネスを推進する同社の企業姿勢がある。暮らしに身近な飲料を通じて、「すべての人にハッピーなひととき」を届けたいという想いこそが、同社を果敢なチャレンジャーたらしめているに違いない。

(協力:コカ・コーラ ボトラーズジャパン

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