世界でも権威あるスピリッツコンペティション「International Spirits Challenge 2020」のOther World Spiritsカテゴリーにおいて、「Double Gold」を受賞した「WAPIRITS TUMUGI」。これは、今年3月に米国で開催された「San Francisco World Spirits Competition 2020」にて受賞した「Best in Class」に続く快挙となった。三和酒類のスピリッツ担当・渡辺宏氏と、世界中のカクテル愛好家に名を知られたバーテンダー・鹿山博康氏に、麹からつくる和のカクテルベーススピリッツの魅力について聞いた。

協力:三和酒類

麹を使った酒づくりから生まれた、日本発のカクテルベーススピリッツ「WAPIRITS TUMUGI」
麹を使った酒づくりから生まれた、日本発のカクテルベーススピリッツ「WAPIRITS TUMUGI」

日本の麹を使った酒づくりを極めるために

 ユネスコ無形文化遺産にも登録される日本人の伝統的な食文化「和食」。その食文化を支えてきたのが「麹」だ。素材の持つうま味を引き出し、豊かな風味を与える麹は、味噌、醤油、酢などの発酵食品を通じて我々の生活に溶け込んでいる。日本酒、焼酎もまた、麹の存在抜きに語ることはできない固有の文化だ。

 「私たちの酒づくりの原点は麹文化。 日本酒や本格焼酎同様、日本ならではの麹を使ったカクテルベースのスピリッツをつくってみよう、そんな思いから生まれたのが『WAPIRITS TUMUGI』です」と三和酒類の渡辺宏氏は語る。

 「WAPIRITS TUMUGI」の原料となるのは良質な二条大麦。大麦の持ち味を生かすべく、まず、手間をかけてじっくりと大麦麹をつくる。糖化(=大麦のデンプンを麹が糖分に変える)と発酵(=酵母の作用により、糖分をアルコールと炭酸ガスに変える)を一度の工程で行う並行複発酵、豊かな香りを引き出す単式蒸留と、「WAPIRITS TUMUGI」には、同社が手掛ける「いいちこ」で培った技術が惜しみなく注がれているという。

 こうして出来上がった、麹菌が育んだスピリッツ(本格麦焼酎)には、麦の香りや甘み、ふくよかな味わいが感じられるのだ。 

 これに大分産かぼす、日田産ミント、三ヶ日産みかん、四国産ゆず、瀬戸内産レモン。フレッシュなボタニカルと麹由来の原酒からつくられたスピリッツを絶妙にブレンドすることで、麹の風味を引き出したのが「WAPIRITS TUMUGI」なのだ。

 「麹を使った酒づくりの伝統技術に、国産ボタニカルという時間と手間のかかる工程をプラスすることで、麹の風味と柑橘系の爽やかさを持つ、和のカクテルベーススピリッツは生まれるのです」(渡辺氏)

 そんな「WAPIRITS TUMUGI」は、世界でも権威あるスピリッツコンペティション「International Spirits Challenge 2020」において、世界中の優れたスピリッツの中から厳正なる審査を経て、Other World Spiritsカテゴリーで「Double Gold」を見事受賞。

 世界でも認められた「WAPIRITS TUMUGI」は、海外でも名の知られた気鋭のバーテンダー・鹿山博康氏の目にどう映るのか。次ページから紹介していく。

気鋭のバーテンダーも認めた麹の可能性

 「麹の豊かな香り、甘みと酸味をあわせ持つ柑橘系の香りが感じられ、これはおもしろいと感じました。カクテルベースとして“使いがいのあるスピリッツ”だと思います」

 こう語るのは、Bar BenFiddich (バー ベンフィディック)の鹿山博康氏。Bar BenFiddichは、ウイリアム・リード・ビジネス・メディアグループが発表する「The World’s 50 Best Bars」で36位を獲得し、「Asia’s 50 Best Bars」にも毎年ランクインするほどの有名店だ。鹿山氏自身が「薬草酒マニア」であり、スピリッツ、薬草酒、ハーブ、フルーツなどを使ったオリジナルカクテルを求め、国内外からカクテル好きが訪れる。

Bar BenFiddich(バー ベンフィディック) 鹿山博康氏。常にオリジナルカクテルづくりを探究する鹿山氏の名は、日本はもちろん、海外のカクテル愛好家にも広く知られている
Bar BenFiddich(バー ベンフィディック) 鹿山博康氏。常にオリジナルカクテルづくりを探究する鹿山氏の名は、日本はもちろん、海外のカクテル愛好家にも広く知られている

 「私の店はカクテルがメインで、お客様も『どんなカクテルに出会えるか』を楽しみにしています。言葉を交わしながら、一人ひとりのお客様が求めるカクテルのイメージを固めていきますが、個性が際立っているスピリッツのほうが提案しやすいし、お客様にも喜んでもらえると思います。『WAPIRITS TUMUGI』は、西洋のジン、ウォッカにはない風味を持つ和のスピリッツで、全麹仕込みの麹フレーバーは極めて個性的。カクテルのベースとして使うのはもちろん、最後の香りづけとして使っても存在感があり、そういう意味で“使いがいのあるスピリッツ”です」(鹿山氏)

 個性的という表現はよく使われるが、鹿山氏の言う「個性」は深い。店内のバックバーには、世界中の薬草酒のボトルと一緒に、薬草を自ら漬け込んだ「インフューズド・スピリッツ」が並ぶ。それだけでなく、ハーブ類の中で手に入りにくいニガヨモギ、アニス、フェンネルなどは、埼玉県の実家にある自らの畑で栽培しているという。「Farm to Glass」、つまり畑からグラスまでという、稀有なスタイルがこの店の魅力あふれる個性である。

 「全麹で仕込み、国産のフレッシュなボタニカルを使う『WAPIRITS TUMUGI』は、バランスや効率性重視からは決して生まれないもの。私のバー経営、カクテルづくりも同じで、共感する部分がありますね。海外のイベントなどに招待されたとき、『WAPIRITS TUMUGI』を使ったカクテルの評判がいいと、うれしく感じます」(鹿山氏)

 鹿山氏の名は世界のカクテル愛好家の間で知られているため、日本への旅行の記念としてBar BenFiddichを訪れる外国人も多い。「日本らしいカクテル」に期待する人が大勢おり、鹿山氏から「WAPIRITS TUMUGI」を使ったカクテルを提案する機会も多いという。

 「SAKEは知っていても、日本のスピリッツ、しかも麹を使ったものだと聞くと、興味を示されますね。カクテルの前に、少量のテイスティングを薦めると、だいたい皆さん驚かれます。『こんな風味の酒は初めてだ!』と」(鹿山氏)

個性がとがっているものが、長く愛される

 鹿山氏が、使いがいのあるスピリッツという「WAPIRITS TUMUGI」を使った、2種類のカクテルを実際につくっていただいた。

(写真左)「Oryzae Sour(オリゼサワー)」。鮮やかな緑色はキューカンバー(きゅうり)で、麹によく合う。(写真右)「TUMUGI TONIC」。氷の上に冷凍パイナップルをすりおろすことで、トロピカルなテイストになる
(写真左)「Oryzae Sour(オリゼサワー)」。鮮やかな緑色はキューカンバー(きゅうり)で、麹によく合う。(写真右)「TUMUGI TONIC」。氷の上に冷凍パイナップルをすりおろすことで、トロピカルなテイストになる

 1つは、「WAPIRITS TUMUGI」のカクテルコンペでも優勝した「Oryzae Sour(オリゼサワー)」。Oryzaeは「Aspergillus Oryzae(二ホンコウジカビ)」からのネーミングで、「WAPIRITS TUMUGI」をベースに使っている。フレッシュなキューカンバージュース、ライムジュース、グレープフルーツジュース、さらにひよこ豆の煮汁などを含む独創的なカクテルで、麹の甘みと、フレッシュジュースの甘みの調和が見事。

 もう1つは、「WAPIRITS TUMUGI」をトニックウォーターで割った「TUMUGI TONIC」。氷の上に冷凍パイナップルをすりおろしたカクテルで、飲むと、まずパイナップルの香り、次いで麹の香りが立ち、ふくよかさと爽快感の両方を感じられる。

 「『WAPIRITS TUMUGI』は自宅でも手軽に楽しめます。オンザロックにして、氷を溶かしながら香りが広がっていくところを味わってもいいし、トニックウォーターとレモンがあれば『TUMUGI TONIC』を簡単につくることもできます。お湯割りにすれば、より香りを楽しめるでしょう。原料の大麦麹は発酵食品と相性がよく、和食と合わせて食中酒としても味わえるし、実はチーズともよく合います」(鹿山氏)

 スピリッツもウイスキーも、万人受けするものは多い。しかし、長く愛されるものは「平均的ではなく、実はとがったところがあるもの」だと鹿山氏は言う。合う人にはとことん深く刺さるのだ。

 「『WAPIRITS TUMUGI』はそういうお酒だと思うし、だからこそ私は使いたい。これからも、お互いの個性を高め合うような関係でいたいですね」(鹿山氏)

 欧米を中心に日本の食文化に注目が集まる昨今。まずは我々日本人が、日本の伝統的な食文化を支える麹から誕生した「WAPIRITS TUMUGI」を堪能してみてはいかがだろう。

Bar BenFiddich(バー ベンフィディック)
東京都新宿区西新宿1-13-7 大和家ビル9F
03-6258-0309
バーテンダーであり、ハーブを栽培するファーマーでもある、鹿山博康氏が経営するバー。自身がアブサンにはまったことがきっかけとなり、フレッシュハーブを使ったカクテルを提供している。ハーブに加え養蜂も始め、同じ畑からとれたハーブ、ハチミツで「ロマン的整合性のあるカクテルをつくること」を目標に掲げ、愛好家をうならせるオリジナルカクテルを提供し続けている

協力:三和酒類

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