気鋭のバーテンダーも認めた麹の可能性

 「麹の豊かな香り、甘みと酸味をあわせ持つ柑橘系の香りが感じられ、これはおもしろいと感じました。カクテルベースとして“使いがいのあるスピリッツ”だと思います」

 こう語るのは、Bar BenFiddich (バー ベンフィディック)の鹿山博康氏。Bar BenFiddichは、ウイリアム・リード・ビジネス・メディアグループが発表する「The World’s 50 Best Bars」で36位を獲得し、「Asia’s 50 Best Bars」にも毎年ランクインするほどの有名店だ。鹿山氏自身が「薬草酒マニア」であり、スピリッツ、薬草酒、ハーブ、フルーツなどを使ったオリジナルカクテルを求め、国内外からカクテル好きが訪れる。

Bar BenFiddich(バー ベンフィディック) 鹿山博康氏。常にオリジナルカクテルづくりを探究する鹿山氏の名は、日本はもちろん、海外のカクテル愛好家にも広く知られている
Bar BenFiddich(バー ベンフィディック) 鹿山博康氏。常にオリジナルカクテルづくりを探究する鹿山氏の名は、日本はもちろん、海外のカクテル愛好家にも広く知られている

 「私の店はカクテルがメインで、お客様も『どんなカクテルに出会えるか』を楽しみにしています。言葉を交わしながら、一人ひとりのお客様が求めるカクテルのイメージを固めていきますが、個性が際立っているスピリッツのほうが提案しやすいし、お客様にも喜んでもらえると思います。『WAPIRITS TUMUGI』は、西洋のジン、ウォッカにはない風味を持つ和のスピリッツで、全麹仕込みの麹フレーバーは極めて個性的。カクテルのベースとして使うのはもちろん、最後の香りづけとして使っても存在感があり、そういう意味で“使いがいのあるスピリッツ”です」(鹿山氏)

 個性的という表現はよく使われるが、鹿山氏の言う「個性」は深い。店内のバックバーには、世界中の薬草酒のボトルと一緒に、薬草を自ら漬け込んだ「インフューズド・スピリッツ」が並ぶ。それだけでなく、ハーブ類の中で手に入りにくいニガヨモギ、アニス、フェンネルなどは、埼玉県の実家にある自らの畑で栽培しているという。「Farm to Glass」、つまり畑からグラスまでという、稀有なスタイルがこの店の魅力あふれる個性である。

 「全麹で仕込み、国産のフレッシュなボタニカルを使う『WAPIRITS TUMUGI』は、バランスや効率性重視からは決して生まれないもの。私のバー経営、カクテルづくりも同じで、共感する部分がありますね。海外のイベントなどに招待されたとき、『WAPIRITS TUMUGI』を使ったカクテルの評判がいいと、うれしく感じます」(鹿山氏)

 鹿山氏の名は世界のカクテル愛好家の間で知られているため、日本への旅行の記念としてBar BenFiddichを訪れる外国人も多い。「日本らしいカクテル」に期待する人が大勢おり、鹿山氏から「WAPIRITS TUMUGI」を使ったカクテルを提案する機会も多いという。

 「SAKEは知っていても、日本のスピリッツ、しかも麹を使ったものだと聞くと、興味を示されますね。カクテルの前に、少量のテイスティングを薦めると、だいたい皆さん驚かれます。『こんな風味の酒は初めてだ!』と」(鹿山氏)