ニュースアプリ「SmartNews(スマートニュース)」に用意されている異色のチャンネルが「クーポン」だ。トップページから「クーポン」をタップすると、コンビニエンスストアやドラッグストアのほか、マクドナルドや吉野家、牛角、バーミヤンなど全国の外食チェーンなどで利用できる割引クーポンが数多く掲載されている。ニュースアプリがクーポンを集めたチャンネルに力を入れている理由とは?

協力:スマートニュース

※この講演は2020年11月に実施されたものです。

 ニュースアプリ「SmartNews」の開発・運営を行うスマートニュース。「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」ことをミッションに掲げ、最新のニュースなど選りすぐりの情報をアプリで配信している。国内と米国で事業を展開し、月間アクティブユーザーは2000万人、ダウンロード数は5000万にのぼる(ともに日米合算)。2018年3月に大手外食チェーンやコンビニエンスストアで使えるクーポン情報をまとめた「クーポンチャンネル」をリリースした。クーポンチャンネルは月間1000万人以上のユーザーが利用しており、クーポン利用数はこれまで3億回を超える。(いずれの数字もスマートニュース発表)

ニュースアプリ「SmartNews」を展開するスマートニュース。2019年に評価額が10億ドルを超え、「ユニコーン」企業としても注目を浴びている
ニュースアプリ「SmartNews」を展開するスマートニュース。2019年に評価額が10億ドルを超え、「ユニコーン」企業としても注目を浴びている

 そもそも、なぜニュースアプリにクーポンが? と疑問を抱く人も多いかもしれない。

 スマートニュース マーケティング プログラムズ アソシエイトの福田麗氏は、「私たちはニュースという言葉を『人々の生活に役立つ、ひいては人生を良い方向に導くことができる情報』と広い意味で捉えています。大手メディアが発信するニュースだけでなく飲食店などのクーポンも、そのような良質な情報の一つと考えているのです」と語る。

 アプリを開くとクーポンのほか、映画・ドラマなどの予告編が見られたり、漫画やゲームなどのチャンネルもある。ニュースだけでなく、人々の日常生活に寄り添った幅広い情報が集約されており、その中の一つとしてクーポンがあるわけだ。

「SmartNews」は月に51回以上閲覧するユーザーの割合が多い。ユーザーの年齢・性別・居住地には偏りがなく、幅広い層に利用されている
「SmartNews」は月に51回以上閲覧するユーザーの割合が多い。ユーザーの年齢・性別・居住地には偏りがなく、幅広い層に利用されている

 飲食店にとって、SmartNewsはクーポン配布場所として魅力がある。月間51回以上アプリを開くユーザーの割合を見ると、SmartNewsは41%でTwitterやFacebook、Instagramを上回る。ユーザーは地方を含め全国各地にいて、男女比はほぼ半々、年齢層は総務省発表の人口推計の数値と比例している。老若男女幅広いユーザーに、高い確率でリーチできるポテンシャルを持っている。

 ユーザーにとっては、クーポンチャンネルならではの使い勝手の良さがある。従来、飲食店はそれぞれ自社アプリや折り込みチラシなどでクーポンを配布していた。つまり情報があちこちに散らばっている状態だった。それらがクーポンチャンネルに集約されたことにより、ユーザーは手軽に横断的に、色々なクーポンを見比べることができるようになった。

 「クーポンチャンネルの登場により、ユーザーの行動に変化が起こり、『クーポンを探すならSmartNewsを見よう』『お腹がすいたらSmartNewsを開こう』と変わってきています」(福田氏)

SmartNewsは朝の利用率が高いのが特徴の一つ。ユーザーは朝、クーポン情報を見て、ランチやディナーのお店を検討することができる
SmartNewsは朝の利用率が高いのが特徴の一つ。ユーザーは朝、クーポン情報を見て、ランチやディナーのお店を検討することができる

 もう1つ、ニュースアプリとクーポンには相性が良い面がある。午前中、特に朝の利用率が高いということだ。「朝、テレビの情報番組でニュースや天気予報を見るように、SmartNewsでニュースをチェックして、その流れでクーポンチャンネルを見て、『今日のお昼はここにしよう』と決めている」と福田氏は言う。これにより、飲食店が自社アプリでクーポンを配布する場合と、クーポンチャンネルで配布する場合との効果の違いが生まれている。

 「自社アプリで配布されるクーポンの多くは、ユーザーが『今日はこの店で食事をしよう』と決めた後、『そういえばこの店にクーポンがあったな』という形で利用されます。つまり、クーポンが来店のきっかけになるのではなく、単価を下げる目的で使われる。これに対してクーポンチャンネルは、ユーザーがどの店に行くかを決める前に、来店のきっかけをつくる形で使われます。この点でクーポンチャンネルは自社アプリによるクーポンと差別化ができており、成功の要因になったと考えています」(福田氏)

 クーポンチャンネルを通じて客が増え、売り上げが増加することで、店舗側はさらに魅力的なクーポンを提供することができ、それがまた次の送客につながる――。そのような好循環が作られているというわけだ。

クーポンチャンネルには課題も

 利用が拡大してきたクーポンチャンネルだが、課題もあった。

 その1つが、地域ごとに情報を出し分ける機能がなかったことだ。例えば、大阪にしか店舗がない飲食店のクーポンを載せると、全国のユーザーにそれが表示される。東京や北海道に住んでいるユーザーが見ると、「なぜこのクーポンが表示されているんだろう?」と困惑する原因になる。飲食店にとっても、商圏内にいる顧客にしっかりリーチできているのか、分かりにくい側面があった。

 もう1つの課題は、クーポン情報が増えるにつれて、ユーザーにとって不要な情報も増えること。アプリの視認性が悪くなり、ユーザーエクスペリエンスに支障をきたす。

2020年11月、SmartNewsに新機能「クーポンマップ」が追加され、ユーザーは近隣のクーポン情報をより手軽に検索できるようになった
2020年11月、SmartNewsに新機能「クーポンマップ」が追加され、ユーザーは近隣のクーポン情報をより手軽に検索できるようになった

 これらの課題を解決するため、20年11月にリリースされたのが「クーポンマップ」だ。スマートフォンの位置情報を活用した新機能で、クーポンチャンネルの表示画面上部にあるバナーをクリックすると、地図画面が現れ、近くでクーポンが使える店の情報が表示される。身近でローカルな情報を知りたいという、ユーザーニーズを満たす機能となっている。

 クーポンマップは「クーポンの利用体験を一新する機能」であると福田氏は言う。

 例えばグルメサイトでは、エリアを選んで、ジャンルを決めて、店を比較して、さらにクーポンを確認して――と、何度もステップを踏む必要があった。しかし、クーポンマップは開くだけで近くの店舗情報が一気に表示される。ユーザーにとって、クーポンマップはより利便性が高い。

 「クーポンマップには『宝探し』のような楽しさがあります。そんなワクワク感も加えながら、ユーザーの日常生活をもっと楽しいものにできれば良いと考えています」(福田氏)

 今回の機能追加は飲食店側にもメリットをもたらす。商圏内にいる来店意識の高いユーザーに、より効果的にアプローチができるようになったからだ。さらに、「これまでは全国展開するブランド(外食チェーンやコンビニエンスストア)に限ってクーポンを掲載してきましたが、クーポンマップの登場により、地元に根付いたチェーン店や個店の皆様にもクーポン掲載を検討してもらえるようになりました」(福田氏)。

SmartNewsでは今後、よりローカルな情報発信に力を入れ、地域の消費行動活性化につなげていく構えだ
SmartNewsでは今後、よりローカルな情報発信に力を入れ、地域の消費行動活性化につなげていく構えだ

 コロナ禍で人々の行動範囲が狭まる中、ローカル情報の価値が見直されている。福田氏は、「スマートニュースはクーポンの提供を通じて地域の消費生活を活性化し、ユーザーと飲食店の日常をサポートする存在になりたい」と同社が目指す方向を、思いを込めて語った。

本記事の講演動画はコチラ

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