テクノロジーの進化によって多くのライブ配信サービスが登場するなか、コンテンツの発信スタイルも多様化。その先進的モデルとしてFM802とNTT西日本がタッグを組み始動した「REALIVE360 VR ZONE」の魅力を探る。
協力:NTT西日本
「ICT」で社会的課題に向き合い魅力ある「体験」を提供
デジタル技術の変革を受け、様々なライブストリーミングサービスやオンラインコンテンツが盛り上がりを見せるなか、今までにないリアル感を追求したライブ配信プロジェクトが話題を呼んでいる。
「REALIVE360 VR ZONE(リアライブサンロクマル ブイアール ゾーン)」。NTT西日本グループのVR(バーチャルリアリティ)アプリ「REALIVE360」を活用し、関西にゆかりのあるアーティストのライブを公開後から3ヵ月間無料で配信している。スマホにアプリをダウンロードすれば、臨場感あるライブを楽しめるという趣向だ。
そもそも、同アプリの開発がスタートしたのは2018年のこと。その際の課題として「都市部と地方の『体験の格差・機会格差』をICTの力で解消できないか。そんな強い思いが契機となりました」。そう明かすのはNTT西日本ビジネスデザイン部担当課長笹原貴彦氏だ。
音楽ライブをはじめエンターテインメント系のイベントは公演数や動員数など、都市部に集中している。地方在住の音楽ファンにとって遠方から交通費・時間をかけて参加するのはハードルが高い。さらにハンディキャップを持つ方やシニア、小さな子供を持つファミリーなど、音楽が好きでもライブ会場に足を運びにくい層は多く存在する。
同社は社会的課題に対し前線に立ち、ICTの力で解決する「ソーシャルICTパイオニア」を標榜している。多様なサービスやソリューション、新規事業創出により、新たな価値創造と地域貢献の実現をミッションに掲げる。「その取り組みの一環として注目したのが、エンタメをはじめ教育など、様々な活用シーンが期待できるVRでした」(笹原氏)。
事業化に際しては同社の配信技術に加え、映像制作を手掛けるベンチャー企業などと協業体制を構築。2019年末には同アプリが手掛ける第1弾アーティストとして「ももいろクローバーZ」のライブを展開し、大きな話題を呼んだ。
今回のプロジェクトは、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、アーティストやライブ、音楽フェスなど音楽カルチャーに関わる諸活動が変容を迫られるなか、「弊社は地域に寄り添うことを大切にしているので、まずは関西圏のアーティストやライブハウスをバックアップするとともに、音楽カルチャーの新しいスタイルの発信ができないかという思いからプロジェクトをスタートしました」(笹原氏)。
そこで、音楽・エンタメに関する知見を求め、関西の音楽シーンをけん引する在阪ラジオ局「FM802」と音楽業界が抱える課題、新しいライブ体験創出にかける思いを共有。2社がタッグを組んだ今回のプロジェクトが誕生した。
スマホ(※)があれば誰でも未来型ライブを体験できる
「REALIVE360 VR ZONE」ではVRカメラで収録したアーティストのライブの配信がスタートしている。実際に「REALIVE360」を使ってどのような体験ができるのか。笹原氏は3つのポイントを挙げる。
1つ目は今までにない「高画質」を追求していること。独自の技術で従来、360度動画ストリーミング配信が抱えていた画質の粗さの解消を図ること。「4K/8Kの高画質を低容量で楽しめるのもポイントです」(笹原氏)。
2つ目は「マルチアングル」。複数のアングルから、ユーザーが見たいアングルを自由に選択できるため主体的・能動的に好みのアングルでライブを楽しめる。
3つ目が「立体音響」。ステージ右寄りと後方など、各アングルから聞こえる音をリアルに再現。専用のゴーグルやヘッドセットなどは不要で、スマホ1台でVRの世界を楽しめるのも画期的といえよう。
「REALIVE360 VR ZONE」の醍醐味はテクノロジーだけではない。 関西の音楽好きから絶大な支持を誇る「FM802」が担うアーティストの選定、演出へのこだわりも要注目だ。同局ではラジオ番組を通じた音楽発信だけでなく、関西圏を中心に多くのライブや音楽フェスの企画・運営を手掛けている。
「新しい音楽の発信スタイルとして『REALIVE360』には以前から注目していました」。そう語るのは同局を代表する人気DJ・中島ヒロト氏。実際にライブ収録に携わり、視聴してみてその臨場感は予想以上だったという。「マルチアングルでバンドの好きなメンバーにフォーカスしたり、スワイプでギターの手元に注目したり、あるいは普段は見られないステージ上からのシーンを満喫したりと生のライブとは違う楽しみ方ができる。『REALIVE360』ならではの演出もアーティストと相談しながら、工夫をこらしています」と語る。
中島氏はこのプロジェクトを通じ音楽業界をサポートするとともに、「全国の方に“音楽の力”をお届けできるよう、ラジオでも情報発信していきますし、ぜひ『REALIVE360』を通じて、新しいカタチで音楽を楽しんで頂きたいです」と意気込む。
また、VR活用の可能性は音楽や演劇、スポーツといったエンタメ分野に限るものではない。笹原氏は「REALIVE360」の活用シーンとして幅広い展開を見据える。
「例えば観光PRや大学の社会人向けリカレント教育、企業向けのシミュレーション型研修プログラムなどとの親和性も高い。様々な構想を練っています。VRの映像内や冒頭に企業広告を展開するプランも検討中です」と語る。
さらに今回のプロジェクトを踏まえ、業界の垣根を越えたパートナーシップも視野に入れ、「広く意見をいただきながら様々なビジネスシーンの課題解決や新規バリュー創出につなげていきたいと考えています」と笑顔を見せた。
VRの可能性を探るなら、まずは「REALIVE360 VR ZONE」をチェック。手元のスマホで今までにない「未来型ライブ」を体感してみてはいかがだろうか。
「802 RADIO MASTERS REALIVE360 VR ZONE」
「REALIVE360 VR ZONE」(※)では随時新コンテンツが登場!
協力:NTT西日本