サントリーコミュニケーションズのデジタルマーケティング本部は、サントリーグループの事業会社のマーケティングにおけるデジタルトランスフォーメーション(DX)推進を支援する役割を担う。デジタル人材の育成や営業先への提案資料の作成のために日経クロストレンドをフル活用している。

協力:サントリーコミュニケーションズ

サントリーコミュニケーションズ デジタルマーケティング本部の室元隆志本部長、人材育成を担う関島達矢氏、営業のDXを推進する吉田武生氏(左から時計回りに)
サントリーコミュニケーションズ デジタルマーケティング本部の室元隆志本部長、人材育成を担う関島達矢氏、営業のDXを推進する吉田武生氏(左から時計回りに)

 サントリーコミュニケーションズ デジタルマーケティング本部は2019年に、同本部の全社員約50人がクロストレンドを活用できるよう法人契約をした。

 日経クロストレンドを業務にどのように生かしているのか、デジタルマーケティング本部の室元隆志本部長、本部の人材育成を担う関島達矢氏、営業のDXを推進する吉田武生氏に話をうかがった。

──サントリーグループのマーケティングにおけるDXを進めるに当たり、デジタルマーケティング本部が果たす役割とは何でしょうか。

室元氏:サントリーコミュニケーションズのデジタルマーケティング本部は、2017年にサントリーグループの事業会社、営業会社それぞれにあったデジタル部門が統合されてできた部署です。

サントリーコミュニケーションズ デジタルマーケティング本部の室元隆志本部長
サントリーコミュニケーションズ デジタルマーケティング本部の室元隆志本部長

 サントリーグループの業務内容は非常に幅広く、グループ全体でのDXの方針を1つに決めるのは難しいため、どのようにデジタルを活用してトランスフォーメーションしていくのか、事業会社ごとに提案、実践していくのが我々に課せられたミッションとなります。マーケティングだけでなく、もう一つ上のレイヤーであるビジネスモデルについても視野に入れながら仕事を進めています。

 2020年4月に大きく組織改定をしました。これまでは、事業会社ごとの担当チームが窓口的な対応をしつつ、その背後でデータ解析やメディア担当の機能を持つチームが支えていました。それを、各事業会社の課題を抽出し案件化するアカウンティングチームと、その課題解決の施策を考え提案するソリューションチームに分け、より柔軟にさまざまな形のプロジェクトに対応できるようにしました。

デジタルは「営業や広告で培ってきたやり方とは180度違う」

──事業課題の解決方法を考えられ、デジタルにも明るい人材となると、かなり高度なスキルや経験が求められると思います。そういった人材はどのように確保されているのでしょうか?

室元氏:2017年に組織ができた時は、デジタルに明るくない人が約半数を占めていました。そこで、デジタルスキルを底上げする人材育成から始めました。2018年以降は、デジタルの素養を身に付けた人が、今度はそれを教えることによってさらに自分のスキルを高めていくという「人材育成のエコサイクル」を構築し、デジタル人材を再生産する仕組みができつつあるところです。

 また、デジタルやUXに長けた人材が経験者採用で加わっているので、事業や営業の経験を積んでいる人も、「デジタルやUXのプロとはこういうものだ」というのを見ながら、みながそれを目指すような環境になってきています。

 基本的には、事業や営業を理解する社内の人材が、デジタルを分かった上でのソリューションを遂行できるようにしています。サントリーには根っからのデジタル人材はほぼいません。今まで営業や広告で培ってきたやり方とは180度違うんだよ、というところから基礎教育していくことになります。大変ですが、非常に大切なことだと思っています。

──デジタルマーケティング本部において、求められる人物像やスキルセットとは、どんなものなのでしょうか?

関島氏:各事業会社の事業をきちんと理解し、プロジェクトをリードして、DXにつなげられる人ですね。論点を整理したり、課題の優先付けをしたりできるといったビジネススキルとともに、ツールやテクノロジーに精通し、ユーザー体験をリアルでの体験も含めた上でデジタルで設計できるデジタルスキルの両方が求められます。

サントリーコミュニケーションズ デジタルマーケティング本部 関島達矢氏
サントリーコミュニケーションズ デジタルマーケティング本部 関島達矢氏

 ここでいうデジタルスキルとは、ツールありきではなく、あくまでユーザー目線でいかにデジタルを活用するかを考えられることです。いわゆるデジタルにおけるカスタマージャーニーを考えることができる、ということですね。

「考え方や発想を広げるのに、とても役立っています」

──そんな中、日経クロストレンドをどのように活用しているのですか。

関島氏:他の業界や競合他社がどういうことをやっているのか、どういうテクノロジーがあってそれがどう使われているのかなど、各事業会社に提案する材料の引き出しを増やすという意味で、日経クロストレンドの記事はいろいろなものがまとまっているので、とてもありがたいです。

 現在、50人ほどがアカウントを持って利用していますが、どの記事を読むかは自主性に任せています。(ウェブサイトの人気記事を集めた)月刊の冊子は、全員の机の上に置いているので、興味あるところはしっかり読んでほしいとは思っていますね。面白い記事を見つけたときは、メールで全員に配信してお薦めすることもあります。

室元氏:私はもともと、個人的に日経クロストレンドを購読していました。当時は自ら興味を持った記事の情報をメンバーに共有することで、視野を広げてもらうことに期待していました。特にマネジャーには、メンバーよりももう少し高い視点でものを見てほしい。そのような切り口の記事があると、今はURLをメールで送るなどしています。また、課題の発見にも役立てています。違う業界にある課題を我々の業界や事業に置き換えると何が起きるか、問題を発掘できるのがいいです。

吉田氏:私は営業と一緒になって、リアル店舗でのDX推進を担当しています。リアルの店舗では、データの収集、分析、アプローチという一連の流れがまだまだスムーズにできていないと感じています。それを解決するようなテクノロジーの情報へのアンテナを張っており、日経クロストレンドはその情報収集に利用しています。

 例えば、データの収集の観点ですと、「アリババLSTの真価 日本企業が中国130万店で売れるデータ戦略」という記事が面白かったです。(データを活用した顧客への)アプローチの観点では、「ECでも個人売り上げ月1000万円超「オムニチャネル店員」の衝撃」にあった「STAFF START(スタッフスタート)」の事例が非常に興味深かった(アパレル店員がSNSを活用して売り上げを伸ばすシステム)。日経クロストレンドは、考え方や発想を広げるのに、とても役立っています。何かうまく組み合わせられないか、提案に使えないかなど、社内でのディスカッションの起点となりました。

ニュース性よりも、深掘りしている記事に価値を感じる

──どのようなタイミングで、日経クロストレンドを読んでくださっているのでしょうか。

関島氏:私は、毎朝送られてくる「日経クロストレンドメール」がフックになることが多いです。気になるキーワードがあると、そこから記事に飛んで読みます。その時に面白そうな特集を見つけたりすると、特集をフォローして後で読むといった動きですね。基本的に仕事モードの時にパソコンで見ています。

吉田氏:毎月、机に置かれている紙媒体で読みます。営業部門の窓口をやっているので、競合に情報収集力で負けられないという気持ちがあり、机の上に置かれると読まなければいけないという気になりますね。メールで気になるタイトルのものがあったときは、読むこともあります。

サントリーコミュニケーションズ デジタルマーケティング本部 吉田武生氏
サントリーコミュニケーションズ デジタルマーケティング本部 吉田武生氏

室元氏:朝、送られてくるメールでタイトルをざっと見て、私がすでに知っている内容でも、より深掘りしてあるような記事があれば、それを読んでメンバーに共有するようにしています。日経クロストレンドにはニュース性というよりも、どうやって読み解くのか、どういう考え方でものを見るのか、といった記事に価値を感じています。例えば、私が常々伝えたい「人より意図」という言葉があります。それに触れた記事(「【追悼】クリステンセンは『ターゲット=人』の常識をディスラプトした」)をメンバーに共有したことがあります。

 UX(ユーザーエクスペリエンス)を考える際、ユーザーの属性的な考え方からなかなか脱却できない。「属性」ではなくて(ユーザーが解決すべき)「ジョブ」で考えるんだと言ってもなかなか伝わらないのです。本当はクレイトン・クリステンセンの著書『ジョブ理論』を読んでほしいのですが、分厚くてみんな怯んでしまいます。そういうときに、キーワードを含んだ記事があると、日経クロストレンドを読んでよかったなと思いますね。

──日経クロストレンドに対してのご意見、ご要望などございましたらお聞かせください。

関島氏:特集としてまとめられているのが個人的にはすごく読みやすいと感じています。これをまるまるプリントアウトして共有できると、さらに使いやすくなりますね。記事のURLを渡しても、普段の業務が忙しくて読めないという人が多いんです。うちの部署は半数が女性で、その半数がママさんであったりします。時短でいかに効率良く働くかという中で、なかなか時間がなくて読めないというのが現状です。紙だと持ち帰って読んでくれたりもするそうなので、そこを解決できるといいですね。

室元氏:今後、各事業会社におけるDX人材育成を支援する中で、アカウントを持っていない人にも記事を共有できるようになればうれしいです。人事部門にもDX人材を作るプロジェクトチームができました。人事部での人材教育にも活用したいです。

──実は、日経クロストレンド有料読者が使える「ギフト機能」で対応可能です。記事タイトル下のギフトボタンから発行できるギフト用アドレスを送れば、発行後24時間以内であればどなたでも読んでいただけます。現時点では、1読者月30回まで発行できます。

室元氏:そうでしたか!ぜひ使ってみたいですね。

──このたびは貴重なご意見をいただき、ありがとうございました。皆さまのご要望をうかがい、実務に役立つ情報、機能をさらに充実させていきたいと考えております。

サントリーコミュニケーションズ株式会社
業種:食品・飲料(サントリーグループ)
事業内容:サントリーグループのマーケティングコミュニケーション業務
従業員数:155人(グループの従業員数は4万210人<2019年末時点>)
本社所在地:東京都港区

(執筆協力/橋本史郎、写真/山田愼二)
協力:サントリーコミュニケーションズ