大のゲームファンであり、人気実況プレイヤーとしても知られる本田翼氏。そんな同氏によるゲーム開発の計画がつい先日発表され、大きな注目を集めている。長年の夢であった、ゲームプロデューサーとして、ゲームの開発から配信までを手がけるという壮大なプロジェクトは決して平易な道ではない。しかしその夢の実現に向け日夜挑戦を続ける同氏とこの夢の伴走者である、日本マイクロソフトの米倉規通氏とともに、開発の舞台裏やゲームへの熱い想いを語っていただいた。

協力:日本マイクロソフト

ゲーム開発者・本田翼の夢を日本マイクロソフトが応援?

──以前からの夢であったゲーム開発に着手しているそうですね。ここに至るまでの経緯を教えてください。

本田:昨年、LINEモバイルのCM発表会で抱負を聞かれたときに、「ゲーム開発をしたい」と答えたんです。私自身ゲームが大好きで、日に日に自分でも作りたいという気持ちが募っていて、その想いを吐露したんですね。そうしたら、ありがたいことにいろんなゲーム会社さんからお話をいただいて。

米倉:今だから聞きますけど、なぜ日本マイクロソフトを選んでくれたんですか?

本田:「一緒にゲームを作りましょう」とお声がけくださった会社さんはいくつかあったんですが、日本マイクロソフトさんは、「本田さんの夢を応援します」とおっしゃってくれた。それがスッと心に響いて、この会社なら本当に私のやりたいことができると直感したんです。

本田 翼 氏 1992年東京都生まれ。中学時代にモデルとしてデビュー以降、数々の映画やドラマへ出演。自他ともに認めるゲーム好きで、YouTube「ほんだのばいく」でゲーム実況も配信。現在、日本マイクロソフトとともにゲーム開発を進行中
本田 翼 氏 1992年東京都生まれ。中学時代にモデルとしてデビュー以降、数々の映画やドラマへ出演。自他ともに認めるゲーム好きで、YouTube「ほんだのばいく」でゲーム実況も配信。現在、日本マイクロソフトとともにゲーム開発を進行中

米倉:嬉しいですね。もともと当社は、「Empower every person and every organization on the planet to achieve more.(地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする)」をミッションに掲げていて、夢を後押しすることが本来の仕事。今回のプロジェクトは、まさにそれを実現するものだと考えています。

本田:夢を叶える主体は、あくまでも私個人。それだけに、ゲーム作りってこんなに大変なんだっていうのを身をもって実感しています(笑)。

米倉:正直にいうと、話を聞いたときは、本当にできるのかという不安もありました。でも実際に本田さんに会ってお話してみると、ゲーム業界に15年以上いる僕よりもずっとゲームに詳しいうえに、ゲームに対する情熱や真剣な想いがあることがわかった。これはすごいプロジェクトになるぞと確信しましたね。

日本マイクロソフト株式会社 ゲーム&エンターテイメント営業本部 本部長 米倉 規通 氏 2001年日本マイクロソフト入社。Xboxに関する事業に長年携わる。2018年からXboxの枠を超え、マイクロソフトのゲームビジネス全域を担当。Microsoft Azure を中心とし、360度全方位でゲーム会社へのサポートを行う。2019年より新設されたゲーム&エンターテイメント営業本部をリードしている
日本マイクロソフト株式会社 ゲーム&エンターテイメント営業本部 本部長 米倉 規通 氏 2001年日本マイクロソフト入社。Xboxに関する事業に長年携わる。2018年からXboxの枠を超え、マイクロソフトのゲームビジネス全域を担当。Microsoft Azure を中心とし、360度全方位でゲーム会社へのサポートを行う。2019年より新設されたゲーム&エンターテイメント営業本部をリードしている

ゼロからのゲーム作りを多彩な技術で包括的にサポート

──今回のプロジェクトにおける両者のご関係を教えてください。

本田:マイクロソフトさんと技術支援の契約を結び、技術面でのサポートをいただきながら、ゲームパブリッシャーとしてゲームの開発と配信を受け持ちます。

米倉:当社には、Xbox で長年ゲームプラットフォーマーとして培ってきた知見もありますし、Microsoft Azure のクラウドパワーを用いて、ゲームのバックエンドを支援させていただくことが可能です。さらに Surface のようなハードウェアがあり、Microsoft Teams といった当社製品での開発環境でのサポートも充実しています。マイクロソフトの様々な技術、製品、サービスを駆使して本田さんの想いを実現させていくことができれば、と思っています。

昨年7月に新設されたゲーム&エンターテイメント営業本部を統括する米倉氏。「当社は、ゲームクラウドである Microsoft Azure に加え、Surface や Microsoft Teams といったビジネスツールの提供により、ゲーム開発を包括的に支援します」
昨年7月に新設されたゲーム&エンターテイメント営業本部を統括する米倉氏。「当社は、ゲームクラウドである Microsoft Azure に加え、Surface や Microsoft Teams といったビジネスツールの提供により、ゲーム開発を包括的に支援します」

本田:私がこうしたいという意見を、米倉さんは決して否定することなく、じゃあこういう技術があるよとか、この人に相談してみようとか、必ず解決の道筋を用意してくれるんです。ゲーム作りが初めての私には、本当に頼りになる環境です。

米倉:本田さんの情熱があるからこそ、そこに応えなくては、と。実をいうと、当初は本田さんのご要望をもとにある程度こちらで各ステークホルダーの役割を調整して、そこに本田さんが乗っかるような座組みで進めるべきかな、と思っていたんですよ。プロジェクトが進んで、ある程度形がみえてきたころ、打ち合わせが終わった後の雑談で、「どう?」って聞いたら、本田さんが「うーん。。」って、正直焦りましたね (苦笑) そしたら本田さんが当時の企画書の裏にいきなり絵を描き始めて、「こんなキャラクターのイメージで、こういうゲームシステムにしたいんです」って。

本田:うまく言葉にできなかったので、イラストで訴えました(笑)

米倉:本田さんの想いを引き出しきれていなかったことを反省しましたね、そして、その場で、「これまでのものを全部白紙にしよう、本田さんのこの想いで仕切りなおそう」と決めて、ゼロから再スタートです。でも、そこから一気にプロジェクトが動き始めたんです。ですから、正真正銘で、この案件に関して弊社はあくまでも彼女のサポートに過ぎず、ゲームの原案からシステム設計、キャラクターデザイン、シナリオまですべて本田さんが担当しています。

企画書の裏に本田氏が描いたキャラクターイラスト。まだお見せできないがこれをもとにプロジェクトが本格始動した
企画書の裏に本田氏が描いたキャラクターイラスト。まだお見せできないがこれをもとにプロジェクトが本格始動した

──開発作業はどのように進められているんですか。

本田:昨年の6月から話し合いをスタートさせて、開発を本格始動したのが昨年の10月で、それからは私も日本マイクロソフトさんのオフィスに通っていました。何度も話し合いと試行錯誤を重ね、今ではキャラクターを動かしてプレイできるところまで進んでいます。もちろん、コロナ禍での自粛期間中は出社できなかったんですが、Surface や Microsoft Teamsを使ったテレワークで作業は問題なく進行できました。ゲーム作りだけじゃなく、こうした想定外の事態においても手厚いサポートをしていただけたのは心強かったですね。

米倉:そこがうちの強みでもあるので、ご理解いただけて光栄です。本田さんは女優業もお忙しいので、今後もテレワーク環境は必須になると思います。

本田:米倉さんにはゲーム開発のノウハウ以外にも、仕事の進め方やマネタイズについても教えていただき、本当に勉強になります。私にとっては、まさに頼れる先輩なんです。

今回のプロジェクト進行に欠かせないのが、Microsoft Surface Laptop 3。自粛期間中は、Microsoft Teams を活用したオンライン会議やデータのやりとりにより、離れていても円滑なコラボレーションワークを実現した
今回のプロジェクト進行に欠かせないのが、Microsoft Surface Laptop 3。自粛期間中は、Microsoft Teams を活用したオンライン会議やデータのやりとりにより、離れていても円滑なコラボレーションワークを実現した

ゲーム好きも苦手な人もみんなで遊べるスマホゲームへ

──気になるゲームの内容についてご紹介いただけますか?

本田:まだ発表できることは少ないのですが、プラットフォームはスマートフォンになります。私はコンシューマーゲームで育ったので、どのハードにしようか悩んだ時期もあったのですが、より多くの方々に遊んでもらいたいと考えた結果、この選択に踏み切りました。

米倉:「え、マイクロソフトなのに Xbox じゃないの?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。でも当社が目指しているのは、コンソールの壁にとらわれず、ユーザーが好きな時に、好きなデバイスでゲームプレイができる世界を作っていくことです。デバイスを超越して多くの人に新しい体験を届けたいという本田さんの考えは、我々の理念にも通じるところがあったのです。

本田:私のようなゲーム好きはもちろん、ゲームに慣れていない女性や初めての方でも楽しめるように、システムも色々と試行錯誤と工夫をしています。

「ゲームの魅力は気軽に非日常体験できること」と本田氏。ゲームが得意な人もそうでない人も同じように素敵な体験が得られるよう、システム設計には配慮している。「わからないことを誰かに聞けたり、困っている人を導いてあげたり、そんな助け合いの交流や温かさを感じられる、人にやさしいゲーム空間を作りたいですね」
「ゲームの魅力は気軽に非日常体験できること」と本田氏。ゲームが得意な人もそうでない人も同じように素敵な体験が得られるよう、システム設計には配慮している。「わからないことを誰かに聞けたり、困っている人を導いてあげたり、そんな助け合いの交流や温かさを感じられる、人にやさしいゲーム空間を作りたいですね」

米倉:ゲームっていわば一種のコミュニケーションツールなんですよね。このコロナ禍で最近特にその役割を強く感じています。本田さんはユーザーの観点からそれをわかっているから、こういう発想が出てくる。ゲーム作りに大切なことだと思います。本田さんのアイディアを形にすることには大きな意義を感じています。ここから生まれる新しい技術にも期待していただきたいですね。

技術支援の一環として、日本マイクロソフトのデジタルイベント「de:code 2020」内で本田さんのフル3Dモデルとのコラボレーションも実現
技術支援の一環として、日本マイクロソフトのデジタルイベント「de:code 2020」内で本田さんのフル3Dモデルとのコラボレーションも実現

──最後に、今後の展開と読者に向けたメッセージをお願いします。

米倉:日本マイクロソフトは、様々な技術やサービスを駆使して、ゲーム開発者だけではなく、みなさんの夢を応援する企業です。今回のプロジェクトを通じて、多くの人にそれを認識いただけると嬉しいです。そして、本田さんと互いに切磋琢磨することで、マイクロソフトの技術で面白いゲーム体験を提供し、ユーザーの皆さまに喜んでいただき、ゲーム業界に貢献していければ、と思います。

本田:私は兄の影響で、小さい頃から本当にゲームが大好きでした。その楽しさを広めたくて実況配信を始めたのですが、今度はプレイする側から作る側に。とても大きなチャレンジではあるものの、夢に向けて動いているので毎日が充実しています。私が作りたいのは、幅広い年代や性別の方々が一緒に楽しめるゲーム。そのための努力は惜しまないし、一切の妥協もしません。ぜひ来春のリリースを楽しみにお待ちください!

協力:日本マイクロソフト

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