ビールが売れない時代に、2019年一番搾り缶は、過去8年で最高売上(※)を達成した。今ここまで人気の理由を、品田英雄が分析する。
(※)2012年~19年一番搾り<缶>出荷実績において
協力:キリンビール
業界は低迷、価値観も変化する中、今選ばれるビールとは?
ビールが売れない時代といわれています。それは、なぜか。理由のひとつは、会社の飲み会のようなお仕着せのつきあいが敬遠されるようになったことにあります。こうした集まりでは、連帯感を高めるためにもみな一様に「とりあえずビール」で乾杯するのが当たり前でした。
ところが今は、もっと自由に、個人個人が親しい仲間と好きなものを選んで飲むのが主流。そういう価値観の変化が、ビールだけでなくアルコール全般との関わり方を変えていったのでしょう。
その一方で、昨今のクラフトビール人気などを背景に、「ビールはおしゃれな飲み物」という印象が世界的に高まりつつあるのも事実です。もちろん、おしゃれだからと手に取ってみても、飲んで本当においしくなければ、リピートにはつながりません。逆に、消費者の心に響いたものはSNSなどで瞬く間に拡散され、共有される時代です。
企業発信ではなく、消費者目線で選ばれるリアルなおいしさ。そこに、“売れない時代にも売れる”ビールの秘密があります。