東京・渋谷にある「スペイン坂」。日々、若者でにぎわう街だ。今回はこのストリートを「歩きやすく」「快適に」したいという街の人々の悩みを、光のパブリック・アートで解決することに挑戦する。多様かつ精緻な映像作品を使って人通りをコントロールしようという試みだ。この活動を進めるクリエイターと、それを支えるPCに焦点を当てた。
協力:マウスコンピューター
東京・渋谷。「渋谷パルコ」横から井の頭通りに抜けるなだらかな坂道「スペイン坂」。2019年11月、渋谷パルコがリニューアル・オープンしたことから人通りが増えているという。このストリートから「人の渋滞」を減らし、より快適にしたいというスペイン通り商店会の想いがあり、課題解決を目指して、まずは実験的に光のパブリック・アートをトライすることにした。商店街の通りでプロジェクション・マッピングによるパブリック・アートを展開し、「人通り」を整理しようという、これまで東京では例を見ない試みだ(※)。
スペイン坂の一部分を使い、その路面にプロジェクション・マッピングによるパブリック・アートを映し出す。該当する通りに面した店舗の協力を得て、店舗の一角に設置したプロジェクターから投影する。映像コンテンツは店舗内などに用意されたバックヤードに配置したハイスペックのPCから再生した。
このパブリック・アートを創り出したのは、東京駅プロジェクション・マッピング「TOKYO HIKARI VISION」や、東京の街を舞台としたアートイベント「TOKYO ART CITY BY NAKED」、豊洲・日本ユニシスビル「大型マッピング広告実証実験」など、都市のメディア化に向けた取り組みを行っているネイキッド。同社のアートディレクター 衛藤一郎さんは企画の狙いをこう語る。「街の景観を崩さず、デジタル技術を駆使した映像投影によって通りの快適さを生み出したかった」。
演出効果には、ブロックや矢印などの「通行」をイメージしたデザインや、「渋谷」の文字などを使用。「子供の頃、道路の白線や歩道を思わず歩いたり、避けたりした経験をモチーフにした」(衛藤さん)という。
映像表現は日々多様化、描写も精緻に
スペイン坂の課題解決と「歩きたくなる街」の演出。この2つのテーマに向き合った衛藤さん。「人通りの多い商店街で、それぞれが避け合いながら歩くことはとても難しい。そこで、歩くことにアート表現を加えることで、歩行者の動きを整えられるような拡張表現を作った」。
プロジェクション・マッピングのような映像作品は、その表現を豊かにすればするほど映像のデータ量が多くなり、PCでの作業も「重たく」なってくる。4Kや8Kなど映像再生技術の進歩に伴い、作品もその表現は多様になり、描写も精緻になっている。そこで生じるのが、映像制作中の「待ち時間」だ。映像制作アプリケーションなどの作業中に、映像を書き出し(レンダリング)たり、保存する際にPC処理にかかる時間、つまり待ち時間が短いほうが良い。
クリエイターは「待ちたくない」
「技術の進歩で日々、表現できることの幅が広がっています」と衛藤さん。その一方で「思いつくものをすぐ形にしたい。リアルタイムに表現内容を確認したいというのも本音」と語る。本取り組みの作品作りにはマウスコンピューターに協力してもらい、インテル® CoreTM i9-9900Kを搭載したハイエンドデスクトップPC「DAIV Z9」を使った。「プロセッサーの高速化で映像制作アプリケーションの動作が高速になったことを体感できた。プレビューまでの時間が短縮できているのは、『待ちたくない』というクリエイターの気持ちをよく分かってくれていると思う」(衛藤さん)。
「クリエイターに使ってもらいたいから、このスペックのPCを作ったのです」と語るのは、マウスコンピューターで「DAIV」シリーズの販売促進を担当する譜久島基さん(マーケティング本部 販売促進部)。さらにこう続ける。「DAIVはクリエイターが創りたいものを表現するために使うツールの一つ。スペックだけでなく、価格やデザイン、堅牢性、使い心地、購入後のサポート、それらがユーザーに最適化された状態で初めてクリエイティブに役立つと言えます」。
販売促進活動ではいつも、クリエイターが思い描く作品を実現するためのPCを提供したいと願っているが、DAIVで作られた作品そのものを知る機会は、実は少ない。本取り組みでは、提供したDAIV Z9で映像作品を作るところも見て、そして作品そのものも体験。スペイン坂を歩く人々を見て、「プロジェクション・マッピングだけが成果物ではなく、街の課題を解決する新しい文化として展開したアート作品が人々の心を動かしているところを体験、メーカー冥利に尽きる」と譜久島さん。
創作活動ではデスクトップ型PCが活躍するが、いざ現場、スペイン坂ではノート型PCの出番が待っている。プロジェクション・マッピングの成否は、複雑な映像アートをいかに制御するかにかかっている。今回はマウスコンピューターの「DAIV 5N-OLED」を使い、開催前、開催中の調整に活用した。
スペイン坂での取り組みは、スペイン通り商店会の他、たくさんの関係者の協力があって実現した。「街の課題をアートで解決」という意図に賛同協力した団体、企業の中からもらった、今回の取り組みについてのコメントを紹介する。この取り組みは今回に限らず、さらに活動の枠を広げていく予定とのこと。今後に期待したい。
スペイン通り商店会 代表 熊谷 康夫さん
渋谷区観光協会 代表理事、渋谷未来デザイン 理事 金山 淳吾さん

■価格:24万4800円
■スペック:
OS Windows 10 Home 64ビット
CPU インテル® CoreTM i9-9900K プロセッサー
グラフィックス GeForce® RTX 2070 SUPERTM
メモリー 32GB PC4-19200
ストレージ M.2 SSD 512GB、ハードディスク 2TB

■価格:22万9800円
■スペック:
OS Windows 10 Home 64ビット
CPU インテル® CoreTM i7-9750H プロセッサー
グラフィックス GeForce RTXTM 2060
メモリー 16GB PC4-19200
ストレージ(標準搭載) M.2 SSD 512GB NVMe対応
ストレージ(追加搭載) 2.5inch SATA 2TB HDD
有機ELパネル 15.6型 4K-UHDグレア
問い合わせ先
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協力:マウスコンピューター