インスタグラムやユーチューブに投稿されたコンテンツ(UGC)を自社サイトで活用する企業が増えている。ユーザー目線のコンテンツを掲載することにより、顧客とより良い関係を築くことができるとして、ブランディングに力を入れる企業から注目を集める。UGCと自社サイトを連携するためのサービスを展開するのがvisumo(ビジュモ)だ。UGCを活用したマーケティングの効果を聞いた。
協力/visumo
急増する企業のUGCマーケティング
いまやマーケティングの主役はSNSといわれる。とくにインスタグラムに代表されるような画像や動画を活用したUGCマーケティングが、新しいパワーコンテンツとして注目を集めている。UGC(User Generated Content、ユーザー生成コンテンツ)は文字どおり、ユーザーが発信するコンテンツである。企業関係者ではない第三者の発信であるため、消費者からの信頼度が高いのが特徴だ。「購買を後押しする」として、UGCをマーケティングに活用する企業が増えている。
2017年にUGCを活用するサービスをスタートし、業界を牽引しているのがvisumoだ。同社取締役の井上純氏は、自社サイトにUGCを採用する企業が急増している理由を次のように語る。
「ちょうどvisumoがUGCマーケティングのサービスを展開した頃から、日本ではインスタグラムなどSNSの投稿を自社のオウンドメディアに取り入れる企業が増加し始めました。その理由としては、第三者の投稿を掲載することで、ブランディングを高めると同時に、ユーザーのロイヤルティーも強化できることがあげられます」(井上氏)

UGCには親しみやすさがあり、商品を生活の中でどのように取り入れるかを想像しやすい。その結果、購買に結びつきやすいというメリットがある。
実際にvisumoは月間で30億PVを超えるトラフィックを、導入する企業のサイトで生み出している。そのコンテンツの多くはユーザーにとって新しい情報源である。代表的な成功事例がワークマンだ。visumo導入後、UGCがあることでECサイト注文率も増加するというデータをだしている。
現在、visumoを導入する企業は600社を超える。ニトリ、カネボウ化粧品、ミキハウス、日産自動車など様々な業種業態の企業がvisumoを利用して、UGCの活用に取り組んでいる。
ユーザー発信のビジュアルが持つ説得力
具体的に企業はどのようにUGCを活用しているのか。visumoを代表するサービス「visumo social」について井上氏はこう説明する。「インスタグラムやツイッターから、使いたい写真・動画を自動的にピックアップするのがvisumo socialです。企業の担当者は集めた画像や動画の中からサイトに掲載したいものを選び、その投稿者に許諾を取ります。あとは管理画面から自動的にコンテンツ化できるという仕組みです」。
掲載した投稿写真や動画から関連する自社コンテンツへと導線を結ぶことで、サイト内の回遊率を高めて、購買へと結びつきやすくする。このようにユーザー発信型のクリエーティブを活用するvisumo socialを井上氏は「レビューのビジュアル化」と表現する。「顧客は、商品について少し気になるという初期の段階では、レビュー記事を読み込むというよりは、ビジュアルをたくさん見ます。UGCを活用することによって、自社で制作するより多くのビジュアルをサイトに掲載することができます」。

visumo socialを導入して大成功を収めているのがワークマンだ。同社は2019年に「ワークマンアンバサダー・プログラム」をスタート。その結果、CMを辞めた後でも、様々なメディア露出によるPR効果があるという。
アンバサダーはワークマンの熱烈なファンであるため、無償で商品開発への協力やPRを引き受けている。ユーザー視点で開発した商品はヒットを連発し、ワークマンがアンバサダーと一緒に開発したPB(プライベートブランド)は、取扱商品の3分の1を占めるほどになった。
この「アンバサダー・プログラム」を最大限活用するためにワークマンが導入したのがvisumo socialだ。
「アンバサダーが『#ワークマン女子』などのハッシュタグをつけて投稿した写真をECサイトに掲載。これが啓蒙活動となり、さらに拡散していきます。アンバサダーの拡散力ももちろんありますが、写真や動画を見たユーザーが『自分もワークマンのサイトに載りたい』とハッシュタグをつけた投稿が増加したのです」(井上氏)

このような「自分も好きなブランドのサイトに載りたい」という心理こそが、UGCマーケティングの鍵だ。井上氏は「コーディネートを投稿するアパレルはもちろんですが、インテリアやペット、クルマといった、趣味嗜好性が強い商品を展開しているブランドと非常に相性がいい。たしなみ方はユーザーによって様々だからこそ、十人十色のUGCが活用できるのは企業の大きな利点だ」と語る。
企業とユーザーのコミュニケーションを促進
visumo socialのメリットはそれだけではない。企業にとってもうひとつの魅力は、ユーザーとのコミュニケーションの機会創出だ。企業は投稿の掲載許可を取るために投稿者にコンタクトを取るが、その過程でユーザーとの距離感が縮まっていくという。
「ユーザーは自分の写真や動画が企業のオウンドメディアに掲載されることによって、そのブランドにより親しみを感じます。さらに企業の担当者と直接やり取りをすることで、距離がどんどん近くなる。最近だと、さらに商品開発に協力するような機会も増えて、ますますブランドのコアなファンになっていきます」(井上氏)
そういうコアなファンは積極的に自らPRしてくれるので、その周辺やフォロワーにもファンが広がっていく。そんなプラスのサイクルが回るようになるのだ。
動画の活用やスマートフォンからの投稿も
さらにvisumoでは、よりUGCを手軽に活用できるよう、「visumo video」や「visumo snap」というサービスも展開している。
visumo videoは、ECサイトで動画を活用しやすくしたもの。動画は写真に比べて情報量が多い。例えば、洋服なら360度見ることができたり、動いたときのシルエット変化を確認できたりするのが強みだ。

また、商品の説明や使い方を紹介したインスタライブやユーチューブをオウンドメディアに掲載することも可能だ。動画には目次機能があり、「ユーザーは目当ての商品や解説部分をワンクリックで再生できます」(井上氏)。
一方、visumo snapはスマートフォンで簡単に投稿できるサービスだ。ユーザーにとって身近な店舗スタッフが、スマートフォンを片手に店頭から手軽に写真やコメントをアップする。
visumo snapの導入事例に、カネボウ化粧品のコスメブランド「KATE」が2022年2月にオープンした没入体験型ECストア「KATE ZONE」がある。実店舗がないKATEがブランドの持つハウツーや使い方のコツを発信する手段として、スタッフやインフルエンサーがスマートフォンで撮影した写真や動画をvisumo snapでアップ。カラーバリエーションやメークの仕上がり、質感など、ユーザーが知りたいと思うような細かい情報を発信していく。

UGCがオウンドメディアをパーソナライズ化
このようにECサイトを筆頭に、さまざまな企業が独自の工夫を凝らしながらUGCマーケティングを採用している。今後、UGCマーケティングがその存在感を増していくことは間違いないだろう。
「消費者が情報を捉える視点が、以前とは、大きく変わってきました。自分の興味・関心に近い情報がレコメンドとしてあがってくるのがSNSです。そういうSNSの仕組みに慣れ親しんでいるユーザーに対して、自分から好みのものを探しにいかなくてはいけないのが今の企業のオウンドメディアです」と、井上氏は今のSNSによるインターネット体験とオウンドメディアのギャップを指摘する。
そのひとつの解決策となるのが、オウンドメディアのパーソナライズ化だ。「オウンドメディアが個人にパーソナライズすることで、サイトを開いた瞬間に自分の好きなもの、興味・関心があるものがチェックできるように進化することになるでしょう。しかし、それを自社だけで行うのは限界があります。必然的にUGCを最大限活用していくことになるはずです」(井上氏)。
visumoではそのような新しいニーズに応える機能も、β版として3月末にリリースする。
「デジタルネーティブのZ世代は、UGCへの信頼も非常に高く、その価値を高く評価しています。SNSでつながる人への信頼が、そのままその人が薦める商品やサービスへの信頼になるということ。そういうSNSがつなぐ信頼をビジュアル化し、実際の購買にまで確実につなげていくのがvisumoです」(井上氏)
これからますますニーズが高まるUGC活用において、さまざまな業種の企業をサポートすべく、visumoも進化を続ける。

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