パーソナライズ基盤を固め、カスタマー志向マーケティングを実践

 セミナー第2部では、第1部で行われたカスタマーサクセス志向マーケティングに関する魚住氏、宗宮氏の講演を受け、「2020年に向けて備えるべきパーソナライズ基盤とは?」と題するトークセッションが行われた。宗宮氏が提案した「ジャーニーオーケストレーション」のうち、データマネジメント領域を支援するCDP(カスタマーデータプラットフォーム)の開発企業であるトレジャーデータ マーケティング担当ディレクターの堀内健后氏がファシリテーターを務め、コミュニケーションマネジメント領域を支援するCMS(コンテンツマネジメントシステム)を開発するハートコア 代表取締役社長 兼 CEOの神野純孝氏、両社のユーザー企業である中古車販売大手IDOMデジタルマーケティングセクション 221616ユニットの村田創氏とトークを繰り広げた。

堀内:まずは、CDP、CMSのユーザー企業としてカスタマーサクセス志向マーケティングを実践しているIDOMの村田さんに、事業の概要と簡単な自己紹介をお願いします。

村田:当社は「ガリバー」のブランドで中古車の販売・買取店を全国に展開しているほか、自動車サブスクリプションサービスの「NOREL」、個人間自動車売買サービスの「ガリバーフリマ」、個人間カーシェアアプリの「GO2GO」など、自動車に関する多彩なサービスを提供しています。私自身は、オウンド集客サイトの責任者として、主にWebサイトの運用などに携わっています。

堀内:IDOMは、ハートコアのCMSをパーソナライズされたコンテンツ配信に活用されているそうですね。どんな点が魅力なのでしょうか。

村田:「HeartCore CXM」を活用して4年、そしてこの秋に「HeartCore CXM Cloud」を導入しましたが、コンテンツが非常に作りやすく、パーソナライズされた情報を、大量かつタイムリーに配信できるのが大きな魅力の一つですね。使いやすさや、コンテンツの作りやすさは、カスタマー志向マーケティングを実践するうえで欠かせない基本条件だと思います。

神野:ありがとうございます。弊社の「HeartCore CXM Cloud」は、使いやすさを徹底追求しているだけでなく、トレジャーデータのCDPである「Arm Treasure Data CDP」等、お客様が既に構築をされているCDPと連携し、収集・分析したデータを基に、最適にパーソナライズされたコンテンツをタイムリーに配信できる機能を備えています。しかもメールやWebのみならず、SNSをはじめとするあらゆるメディアや、スマートフォン、スマートウオッチ、情報家電、店舗の情報端末など、パソコン以外のあらゆる端末に配信できる、今やCMSのスタンダードとなりつつあるヘッドレス機能を備えた「HeartCore CMS」を中核に開発されたパーソナライズプラットフォームであることが大きな特徴です。

本格的な「5G時代」が到来する前に準備を

堀内:当社が提供する「Arm Treasure Data CDP」は、企業が保有するさまざまな自社データを収集・分析し、外部データと連携したり、その結果を各種施策ツールにシームレスに連携する機能を持っています。当社の「Arm Treasure Data CDP」とハートコアの「HeartCore CXM Cloud」を組み合わせることで、先ほど宗宮さんがおっしゃっていた「ジャーニーオーケストレーション」が実現するわけです。

 また、当社は2018年8月に半導体設計やIoTプラットフォームを手がける英国Arm社のグループ会社となり、パソコンやスマートフォンだけでなく、さまざまなIoT機器からデータを取り込む技術に関する大きなアドバンテージを得ました。今後、5Gの普及とともにIoT経由のデータ収集はますます活発化するはずですが、より幅広いチャネルからデータが集まることによって、パーソナライズされたマーケティングの精度もさらに上がっていくはずです。

神野:私は既に5Gサービスが始まった米国に住んでいますが、技術的な課題があるようで、サービス展開は当初の予定よりもかなり遅れています。5Gが本格的に普及するまでには、まだ時間がかかりそうですね。

左からハートコアの神野氏、IDOMの村田氏、トレジャーデータの堀内氏。「ジャーニーオーケストレーション」に関する3人のトークセッションは終始、熱気に満ちあふれていた
左からハートコアの神野氏、IDOMの村田氏、トレジャーデータの堀内氏。「ジャーニーオーケストレーション」に関する3人のトークセッションは終始、熱気に満ちあふれていた

堀内:見方を変えれば、それはチャンスと言えるかもしれません。まだ変革のための時間的猶予があるということですからね。今のうちに「ジャーニーオーケストレーション」のような仕組みや基盤を整え、5G時代のマーケティングの変化に備えておきたいものです。

 ところで、IDOMは「ジャーニーオーケストレーション」によって、どのようなマーケティングの変革を目指しておられるのですか。

村田:チャット履歴などの自社データや、パーソナライズを軸とした顧客ロイヤルティの向上やデジタルによるビジネス変革を可能とするプラットフォーム「Arm Treasure Data CDP」が収集する外部データをリアルタイムで巧みに組み合わせながら、顧客がそのとき、本当に求めている自動車が、タイムリーにWebのトップページの最上段に表示されるような仕組みを作りたいですね。また、ヘッドレスである「HeartCore CXM Cloud」の機能を活用して、そうした情報を実店舗の端末や営業担当者のスマートウオッチにも表示し、クロージングに役立ててもらえるような仕組みも考えています。

堀内:より多くのデータ、多様なチャネルが活用できる基盤を整えることが、パーソナライズされたマーケティングを実践するうえでのカギを握るわけですね。本日はありがとうございました。

 セミナー全体を通じて、5G時代にパーソナライズされたマーケティングを実践するには、「ジャーニーオーケストレーション」の概念に沿ったデータ活用とコンテンツ運用の基盤づくりが欠かせないということが明らかになった。2020年代に向けていち早く変革に取り組む企業だけが、サブスクリプション型ビジネスへの転換に柔軟に対応しながら生き残っていけるのだろう。

協力:電通デジタル