高まる期待値のフェーズに合わせ、キャンペーンは進化する

 こうした数々の戦略が実って、「コカ・コーラ」は2019年も炭酸飲料市場でリーダーシップを取っている。島岡氏は「コカ・コーラ」ブランドの2020年の戦略をこう語る。

 「来年は、東京2020オリンピックという国民的なイベントがあります。『コカ・コーラ』には、アムステルダム1928大会以来、90年以上にわたりオリンピックを支援してきた歴史があり、消費者の中でもオリンピックといえば『コカ・コーラ』というイメージは強いと思います。そもそもオリンピックのような巨大なイベントは、新しい飲用者を獲得する最大のモーメントです。大会が盛り上がるタイミングに合わせて『コカ・コーラ』ブランドの露出をしっかり行い、『コカ・コーラ』を飲用する総人数を増やしたいと考えています」

 2020年の年明け1月6日からは「東京2020オリンピック観戦ペアチケット」が1,010組2,020名に当たるキャンペーンがスタートする。対象製品を購入した際に、「コカ・コーラ」公式スマートフォンアプリ「Coke ON」で「チーム コカ・コーラ オリンピック応援ポイント」を貯めると、12ポイントごとに抽選に参加できる仕組みだ。「コカ・コーラ」ブランド製品もその対象で、そのキャンペーンを象徴するのが現在発売中の「コカ・コーラ」オリンピック観戦チケットキャンペーンボトルだ。

 「オリンピックがあるから記念ボトルを出すという域を超え、大会に向けて高まる期待値のフェーズに合わせ、キャンペーンも進化させていきたいですね」と島岡氏は構想を話す。その背景には、2019年に日本を熱狂させたラグビーでの“反省”があるのだという。ラグビーは大会が始まってから急激な盛り上がりを見せたが、「もっと早くワクワク感をつくることもできたのではないか?」と島岡氏は振り返る。

 ラグビーの国際大会は開催期間が約1カ月半あったが、実は東京2020オリンピックの大会開催期間は約2週間と意外に短い。そこで、東京2020オリンピック聖火ランナーが走り始める春先から話題作りをスタートさせるなど、消費者の気持ちの高まりをキャンペーンの設計にうまく取り入れたいと考えているのだ。

 「オリンピックの楽しみはゲームそのものだけでなく、そのコンテクストを友人や同僚と話題にしたり、まだ見たことのないスポーツに関心を持ったりすることにもあります。オリンピック開催に向かう世間の盛り上がりを綿密に計算しながら、いろんな仕掛けを準備して、『コカ・コーラ』ブランドのファンを増やしていきたいと思っています」

「コカ・コーラ」オリンピック観戦チケットキャンペーンボトル 500ml PET(左から、「コカ・コーラ」、「コカ・コーラ ゼロ」、「コカ・コーラ ゼロカフェイン」)
「コカ・コーラ」オリンピック観戦チケットキャンペーンボトル 500ml PET(左から、「コカ・コーラ」、「コカ・コーラ ゼロ」、「コカ・コーラ ゼロカフェイン」)

飲用スタイルの多様化に合わせ、最適な新容器サイズを投入

 2020年の1月13日からは、持ち帰りに最適な新容器サイズが登場する。350ml PETと日本初導入の700ml PETを東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県内のスーパーマーケット、ドラッグストア、ディスカウントストアの約8500店舗で先行販売する。

 新容器導入の背景には、少人数世帯が増加して、炭酸飲料の飲用習慣が変化しているという事情がある。コンビニや自動販売機では、いわゆる“即時消費”が多いが、スーパーマーケットなどで購入される“将来消費”の場合、用途が多様化しているのだ。

 「例えば家では、少人数世帯化によって大型サイズを大人数で分けるより小型サイズを少人数でシェアして飲むことが多くなっています。炭酸飲料は、時間が経つと冷たさが消え、炭酸が抜けておいしさが失われてしまうため、飲み切りサイズが重要になると考えています」

 700ml PETなら、オリンピックを自宅で観戦しながら2人で飲み切るのにちょうどいい。チャネルごとの購買に合わせた新しいパッケージを、まずは一番需要が見込める東京2020オリンピック開催のタイミングで導入するという戦略だ。

「コカ・コーラ」の新容器サイズ(左:350ml PET、右:700ml PET)
「コカ・コーラ」の新容器サイズ(左:350ml PET、右:700ml PET)

 東京2020オリンピックが開催される2020年は、世代や人種を超えてさまざまな人を繋ぐという、「コカ・コーラ」のブランド・パーパスが最大限に実現されるチャンスとも言える。

 島岡氏はこう断言する。「家族や仲間たちと、楽しく盛り上がっている場面には、必ず『コカ・コーラ』が寄り添っていたい。オリンピックが最高に盛り上がるタイミングで、『コカ・コーラ』を思いっきりおいしく飲んでいただき、新しい時代に前向きに挑んでもらう。それこそが、炭酸飲料のリーダーブランドである『コカ・コーラ』の使命だと考えています」

協力:日本コカ・コーラ