MaaS(マース=Mobility as a Service)という言葉がニュースを賑わせるようになったが、その明確な定義があるわけではない。一般的には「いろいろな種類の交通サービスを需要に応じて利用できる1つの移動サービスに統合すること」と言われている。小田急電鉄は、このMaaSにおいて1つの回答を示した。2019年10月末にサービスを開始したMaaSアプリ「EMot(エモット)」である。

協力:小田急電鉄株式会社

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 EMotでは小田急グループの鉄道やバスだけでなく、複数の事業者と提携し、タクシー、航空機、カーシェアリング、自転車シェアリングなどのサービスも複合的に利用できる。同社経営戦略部課長兼次世代モビリティチーム統括リーダーの西村潤也氏はこう語る。

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 「EMotはモビリティサービスによる移動(Mobility)と、日々の生活での新たな体験と感動(Emotion)を提供したいという想いを込めた名前で、『会いたいときに、会いたい人に、会いに行ける』次世代のモビリティ・ライフを目指しています」

 同社は2018年4月に策定した中期経営計画において、「次世代モビリティを活用したネットワークの構築」を掲げた。まさに全社を挙げて取り組んでいるMaaS先進企業と言っていい。西村氏はチームリーダーとして「小田急MaaS」のあり方を模索してきた。

 「新宿と箱根をつなぐロマンスカーを大事にしてきました。それは、単なる乗り物ではなく、箱根への玄関口としての空間をデザインすること、つまり体験価値を重視することが当社のDNAになっています」

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西村潤也(にしむら・じゅんや)。小田急電鉄株式会社 経営戦略部 課長 次世代モビリティチーム統括リーダー

タクシーやカーシェアまで検索・予約できる

 顧客体験を志向するEMotでは、旅行や日常的なショッピング・飲食と組み合わせたサービスを展開する。そのため、様々なパートナーとの連携が必要であり、「サービス名に敢えて小田急の冠を入れていない」(西村氏)と言う。

 現在、タイムズ24(カーシェアリング)、ドコモ・バイクシェア(自転車シェアリング)、日本航空、ジャパンタクシー、DeNAなどと提携している。機能面から見ると、サービス開始時には「複合経路検索」と「電子チケット」に分かれる。

 複合経路検索は鉄道、バス、タクシー、自動車や自転車のシェアリングサービスなどのモビリティをシームレスに検索し、その結果から連携する事業者の予約や決済もできるという便利なサービスだ。ユーザーが持っている定期券や購入した電子チケット(フリーパスなど)を考慮して自動的に最適経路を選ぶこともできる。このシステムは「駅すぱあと」を開発したヴァル研究所の「mixway API」を活用している。

 検索条件は「早い」「安い」「らくらく」の3つがある。らくらくは乗り換えが少ないなど楽な経路という意味である。

 一般的な路線検索では、駅から駅の間は鉄道やバス、飛行機、徒歩が基本だが、EMotの複合経路検索では、これに加えて○駅から○駅までタクシーを使う方が「早い」とか、自転車シェアリングで「安く」行けるなどの選択肢が表示され、予約もできる。

 電子チケットでは「箱根フリーパス」など自社のチケットのほか、遠州鉄道の企画チケットの購入も可能だ。例えば「箱根フリーパス」では、小田急電鉄のほか、箱根登山鉄道、ケーブルカー、ロープウェイ、遊覧船、登山バスなど箱根全域での利用が実現した。

 また、沿線商業施設でのショッピングや飲食などに応じて無料でモビリティが利用できる特典チケットがもらえるほか、フリーパスなどと連携した優待施設情報も手に入る。

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複合経路検索では、タクシーやシェアリングサービスを含めたルート検索ができるうえ、それぞれの金額、待ち時間なども表示される

3つのタイプの実証実験

 EMotの普及を図るため、2019年10月末から翌20年3月まで、3つのタイプの実証実験をスタートさせる。

(1)観光型MaaS ※ ……EMotの電子チケット機能で前述した箱根フリーパスを購入し、実際に使用する実験で、スマホのみで周遊できるユーザーの体験価値の検証と、スマホ型フリーパスを使ってオペレーション上の課題の洗い出しなどを行う。

(2)郊外型MaaS……商業施設「新百合ヶ丘エルミロード」で2500円以上のショッピングをしたユーザーに、新百合ヶ丘駅発着の小田急バスの往復無料チケットをEMotの電子チケット機能で発行する。これによって、公共交通利用を促進するためのデジタル的手法の有用性を検証する狙いがある。この観光型と郊外型実証実験は国土交通省の新モビリティサービス推進事業に採択された。

(3)MaaS×生活サービス……飲食のサブスクリプションモデルの実証実験であり、1日1回対象店舗で利用できる飲食チケットをEMot内で販売する。対象店は新宿駅や新百合ヶ丘駅の箱根そば、おだむすび(おにぎり)、HOKUO(ベーカリー)など。1日500円相当の30日券をほぼ半額の7800円で提供する。

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xTREND EXPO2019のブースでも関心を集めた

 EMotは小田急電鉄がヴァル研究所の支援のもと開発した日本初のオープンな共通データ基盤「MaaS Japan」上で動いており、他の交通事業者や自治体などが開発するMaaSアプリもこの基盤を活用できるほか、交通データ・交通サービスの予約・配車システムとMaaSアプリとのハブ機能も担っている。

 「MaaS Japanでは、交通事業者や自治体の皆さまがMaaSへの取り組みを加速できるような環境の整備を進めていきたい」と西村氏は語る。

 同社では沿線まちづくりの推進のため、スポーツエンターテインメントアプリ「ARUCLUB(アルクラブ)」を開発し、その第1弾として同社が支援するサッカークラブ「FC町田ゼルビア」を応援するため、小田急線鶴川駅からスタジアムまで歩いたユーザーの歩数に応じてクーポン券やTシャツなどをプレゼントしている。

 「今後はこうした取り組みもEMotと連携し、MaaSとスポーツ、医療、ヘルスケア、飲食店、ホテル、不動産など様々な分野への展開を考えたい」と西村氏。MaaSをテコに鉄道会社のDX(デジタルトランスフォーメーション)を図るようだ。

※ 台風19号の影響を踏まえ、箱根エリアでの「観光型MaaS」の実験は延期している(2019年10月末現在)

移動に新たな体験と感動を提供する「EMot」
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協力:小田急電鉄株式会社