メディアの強みをフル活用して生活者の「価値観」に寄り添う

 「Air Letter」が戦略的に狙う読者ターゲットは、子育て世代(30~40代)の女性だ。パナソニックの独自調査では、白物家電の購入決裁者のほとんどが女性だが、エアコンの購入決裁の場合では男女比が半々になる傾向がある。意思を持って購入している人も決して多くはない。「『いい空気を選ぶ』という価値観を伝えることができれば、他の白物家電同様に、女性により興味を持っていただけるのではないかと考えました」と語るのは、オールアバウト プラットフォーム開発部 マネジャーの大和田誠氏だ。

 そもそもエアコンを購入するタイミングの多くは、結婚や出産、住宅購入など人生のターニングポイントだという。「そこできちんと選んでもらうには、お客様に必要と思ってもらえる寄り添った情報を発信し、エンゲージメントを築いていくことが大事だと考えました」と清水氏は強調する。さらに季節要因も大きく、「エアコン」というキーワードの検索数は、6~7月に急上昇し山型のグラフを描く。需要が高まる時期を前に、特に関心を持ってもらうことも大切だ。

 ターゲットとなる子育て世代の女性に、「いい空気を選ぶ」ことを自分ごと化してもらいたい、ライフステージに合わせてよい製品として思い出してもらいたい、需要期前にアプローチを強化したい。そうした細かなセグメントに応えられるのが、メディア活用の強みの一つだ。大和田氏は「メディアはユーザーがどのような行動で閲覧するかのログを収集することができます。オールアバウトの場合、18万本の記事すべてで、読者がどのようにサイト内を回遊するのかを把握しています。恣意的な調査では見られない、自然なインサイトを見ることができるため、ご提案につなげられることが可能です」と言う。

「Air Letter」は、(1)「空気の質」に関する生活者の悩みや関心に応えるコンテンツと、(2)これらの課題に応える「Eolia」の魅力を伝える2種類の情報をセットで発信。生活者目線に寄り添いながらブランドを訴求するための導線を築いた
「Air Letter」は、(1)「空気の質」に関する生活者の悩みや関心に応えるコンテンツと、(2)これらの課題に応える「Eolia」の魅力を伝える2種類の情報をセットで発信。生活者目線に寄り添いながらブランドを訴求するための導線を築いた

生活者の「価値観」を捉えるために、インサイト解析を軸に記事を制作

 こうした戦略により「Air Letter」のアクセスは女性比率が60%と男性を上回った。さらにブランドサイト全体でも約5%女性が増えており、総流入数は2017年度から2018年度にかけて約25%増加。「もともとブランドサイトは他の商品に比べて、商品名から検索されてきた男性の流入が非常に多かったのですが、『Air Letter』からの流入が合わさることで、女性の比率を大幅に増やすことができました」と清水氏は話す。

施策を通して、エアコンサイトへ全体での女性属性の流入は5%向上。「Air Letter」からの流入では女性比率が60%と男性を上回った  ※2017年度1 ~12月/2018年度1~12月 Google Analytics実績より
施策を通して、エアコンサイトへ全体での女性属性の流入は5%向上。「Air Letter」からの流入では女性比率が60%と男性を上回った ※2017年度1 ~12月/2018年度1~12月 Google Analytics実績より

 続いて大和田氏は、どのようなコンテンツがエンゲージメントを得られたかを紹介。集客数が多く反響があった記事として、「産後、生活環境で気を付けたいこと」を取り上げた。子どもが生まれるタイミングには、家庭内で価値観の変化が起きること、産後に生活環境が変わることを解説。「その結果、子育て室内環境はキレイな空気がよいことを訴求しました。記事の読了率も高かったです」と大和田氏は言う。

 さらにこの記事について、オールアバウトのどの関連ページからの流入が多かったのか、タイトルや本文からキーワードを抽出してインサイト分析を実施。すると、産後の女性が(1)「貯蓄」「保険」「経済状況」など将来的なお金に関する情報収集を行っていること、(2)「友人や交流関係、コミュニケーション」に課題感を持っていること、(3)「身体」に関する情報や「睡眠」への課題感を持っていること、が分かったという。このような調査結果はその後コンテンツの制作にも反映されており、「お金」や「睡眠」に関する記事を増やしている。

 「最近の『Eolia』のCMで訴求しているのは、『ナノイーX』がエアコンの中やお部屋に浮遊するカビ菌を抑制していること。一見するとキレイな部屋でもカビの危険があります。空気は目に見えませんが、カビは意外なところに潜んでいるのです。カビに強いという側面を発信し、エアコンの中を少し気にしてみませんか? とメッセージを発信しています」と清水氏は説明する。これを受けて、オールアバウトでは、メディアの読者の閲覧履歴やコンテンツ内容から「カビ」にひも付くキーワードを抽出し、分析中だという。

さらなるエンゲージメント強化を目指して、新たな取り組みを推進

 現在、ブランドと生活者のエンゲージメント施策のさらなる拡大のために「Air Letter」の施策の延長として推進するのが、オールアバウトが提供するコンテンツマーケティングプラットフォーム「All About PrimeAd(プライムアド)」の活用である。

 「PrimeAd」では、オールアバウトが主体となり、信頼性の高い90以上の一次情報メディアと連携してコンテンツを制作・配信する “メディアオーケストレーション”と呼ばれる取り組みを行っている。提携メディアの中から、企画ピッチにより選ばれた数メディアが強みを生かした共感性の高いコンテンツを制作し、これを提携メディアネットワークへ配信。統一指標のリポートから総合的に施策の効果を評価できる仕組みだ。

「主婦目線」「住まい環境」「子育て環境」など、メディアにはそれぞれが強みとする特性がある。そうした特性と、クライアント企業のプロモーションに最適なテーマを組み合わせたコンテンツを提携メディア間で制作・配信することで、生活者の興味喚起・理解促進の向上を図るのが「PrimeAd」による“メディアオーケストレーション”の取り組みだ
「主婦目線」「住まい環境」「子育て環境」など、メディアにはそれぞれが強みとする特性がある。そうした特性と、クライアント企業のプロモーションに最適なテーマを組み合わせたコンテンツを提携メディア間で制作・配信することで、生活者の興味喚起・理解促進の向上を図るのが「PrimeAd」による“メディアオーケストレーション”の取り組みだ

 これにより、クライアント企業は、メディアの選定や組み合わせ、コンテンツ設計といった難題をオールアバウトに一任しながら、効率的に横断的なプロモーションを実施することができる。制作進行にかかる工程の大幅な削減とともに、一貫性のあるタイアップ広告を打ち出すことで、情報取得感度が高まっている生活者の「価値観」を効果的に醸成する、最適なアプローチが可能だ。

 「生活者には多様な価値観があります。ブランドメッセージを、生活者に自分ごと化してもらうためには、これを把握しているメディアを活用してメッセージを作り伝えていくことが重要です。メディアが持っている資産や価値に改めて注目していただき、有効活用していただければと思います」と大和田氏は語り、講演を締めくくった。

協力:パナソニック株式会社株式会社オールアバウト