福島復興支援にもYextが効果的

 前述した、訪日外国人増加に伴うMEO対策として、宇陀氏は福島の復興支援を挙げた。

 「最近、福島の復興支援をご依頼いただいて、色々と調べてみると、京都を訪れた外国人が約660万人に対して、福島の方は、約7万人ということが分かりました。昨年の訪日外国人の実績が3000万人とすると、わずか0.3%です。中国人の立場に立って百度マップで検索してみると、明らかに、表示される観光地やお店の表示数が違いました。福島の方は、何もなくて、誰も住んでいないような表示結果だったのです。実際には、素晴らしい桜の名所や観光地、おいしい酒や米、肉、野菜果物など豊富であるにもかかわらずです。

百度マップで京都と福島を検索した際の結果比較。どちらの土地も魅力的な観光地やグルメがあるにもかかわらず、京都は観光地が多数表示されるのに対し、福島はまったく表示されない
百度マップで京都と福島を検索した際の結果比較。どちらの土地も魅力的な観光地やグルメがあるにもかかわらず、京都は観光地が多数表示されるのに対し、福島はまったく表示されない

 百度で正しい情報を中国語で提示できるようにしておかないと、いくらホームページで中国語での情報発信をしていたとしても、中国人観光客にとっては、情報がないに等しいのです。福島復興にきちんとした成果を実現したいと考えています」

 観光立国を目指す日本では、個々の店舗ではなく観光地としても、求められる情報を探しやすく提供することが重要になっていく。行きたいところを見つけ、ホテルを探し、予約する。これらはすべてインターネットでできる時代だからだ。観光客を呼び込みたい地方は、こうしたユーザーに向けた情報提供が欠かせない。

旅行前の下調べにインターネットの利用は当たり前で、予約まで完結するケースも多い。ここで見つからなかった観光地やホテル、飲食店などは、旅行検討者にとって存在しないも同然になってしまう
旅行前の下調べにインターネットの利用は当たり前で、予約まで完結するケースも多い。ここで見つからなかった観光地やホテル、飲食店などは、旅行検討者にとって存在しないも同然になってしまう

 「ところが、福島以外でも、さまざまな観光資源を持つはずの地方の中には、他国語で地図検索をすると何の情報も表示されないところもありますし、中国人観光客は朱や金色の建造物を好むという傾向を考慮せずに、日本人向けと同様の写真を提示する例も見られます。しかし、正しい情報を提供することでその地方に観光客が増えれば、雇用が生まれ、ホテルや旅館が建造されるなど、産業は連鎖的に活性化されます」と宇陀氏は話す。

どこにいてもシーンに応じた適切な正解を提供する

 この6月、同社はロゴを一新し、“Perfect Answers Everywhere.”というフレーズを掲げた。これまで主に、店舗展開をする企業を対象に情報検索のサポートを行ってきたが、今後は、あらゆる検索結果の正確性の向上に挑戦していくとしている。

 またYextは、音声検索など、新しいテクノロジーの普及にも大きな鍵を握る。2020年には検索の50%は音声または画像で行われると推測され、今後、文字で検索し文字で答えを得る人の割合が減っていく。文字での検索対策ばかりしていては、後手に回りかねないのだ。AIスピーカーのApple、Google、Amazonの3社全てと提携しているのは、現時点ではYextだけだといえるだろう。

 最後に宇陀氏は、提示された情報にお墨付きを与えることも視野に入れていると展望について語った。

 「どのようなテクノロジーについてもいえることですが、便利なテクノロジーには、悪用しようとする人たちの存在がつきものです。実際に米国では、検索結果を逆手に取った詐欺なども発生しています。これまでユーザーは、検索などで表示された結果が正しいものなのか、不安も抱えながら検索を行ってきました。しかしこれからは、私たちYextが情報に対してベリファイ(書き込まれたデータが正確かどうか確かめる)し、Yextのロゴがついているから安心だと思っていただけるようにもしていきたいと考えています」

 さらには、ナレッジグラフ※と呼ばれるGoogleの検索エンジンが使用するデータベースの拡充にも挑戦していく。この拡充がAIの進化に伴い、検索シーンに応じて、正確なだけでなく適切な情報の提示をも可能にするのだ。

※ナレッジグラフ:Googleの検索アルゴリズムの仕組みの一つ。単に検索キーワードを含む情報を検索結果に表示するのではなく、人物や作品、場所などあらゆる物事について、それぞれの情報の関係性や属性を認識、把握したうえで、それを反映した検索結果を表示する機能

 検索すれば当たり前のように、情報提供者側にとっても検索者側にとっても、最適な情報が示される。Yextは、そうした世界の実現のために進化し続けるプラットフォームを提供していく。

協力:株式会社Yext