Amazonは、18年10月以降Amazon Echoシリーズの新製品を日本市場に投入。Echoシリーズの頭脳となるAlexaに対応する国内メーカーのスマートホーム家電も増えてきた。そんな中、様々な企業でもAmazon Echoを活用したサービスの展開をスタートさせている。 先行的な3つの事例を紹介しよう。
提供:アマゾン・ジャパン
分譲マンションでのEcho Plus全199戸一括導入
横浜市住宅供給公社が提供する「横浜MIDベースタワーレジデンス」は、国内で初めてマンション全戸にEcho Plusを導入した。

Amazon Echo導入に踏み切った理由を、横浜市住宅供給公社の赤堀氏は、「家電操作の利便性もさることながら、豊かな生活の実現には“会話”というコミュニケーションが重要だと考えていたから」だという。同公社で供給した住宅の中には、過去に高齢者向けにコールセンターから生活状況を確認し、コミュニケーションを図る定期的な発信サービスを実施したものもある。「Alexaとの会話は新たなコミュニケーション効果が見込める」と赤堀氏は期待を込める。

全戸導入の際には「Echo Plusの設定が特に高齢者世帯でも行えるのか」という懸念もあり、Echo Plus設定の説明会を実施したという。結果は意外にもスムーズに設定は行われた。
「Amazon Echoの利用には、Amazonアカウントが必要ですので、Amazon アカウントの取得方法からの説明を準備していたのですが、全199戸中アカウントをお持ちでなかったのは、わずか3~4名。Amazon利用者のすそ野の広さを実感しました」(赤堀氏)
現在では、音楽再生(※1)や家電操作(※2)の際の利便性はもちろんのこと、タクシー手配なども音声で行えることから、コンシェルジュのようだという感想も聞こえてくるそうだ。
「今後は、例えば1階のロビーにAmazon Echoと連携したデジタルサイネージのコンシェルジュを設置するといったことも考えています。また舞台を広げ、福祉施設や保育所、街ぐるみのコミュニケーションに利用していけたらと考えています」(赤堀氏)
※2 スマートホーム家電の操作には、Amazon Echo以外にも、別途、デバイスを接続するためのハブ(別売)が必要となる場合がある

「リノベる」は、Amazon Echoでスマートホームをアピール
一方、ワンストップリノベーション事業を手掛ける「リノベる」では、11月下旬から、都内4カ所のショールームでEchoシリーズを体感できる「Touch & Try 体験コーナー」を開設した。

リノベるでは、リノベーションを通してお客様一人ひとりのライフスタイルに合った暮らしづくりの提案を行っている。その中でスマートホームは重点事項となる。自らがAmazon Echoのユーザーだという「リノベる」の斉藤氏は、「ライフスタイルが人ぞれぞれ異なるからこそ、住まいや関連機器に求めることは異なる」という。だからこそ、“まずは体験してもらうべき”という考えからAmazon Echoの体験コーナーを開設した。
「スマートスピーカーとしてEchoシリーズを選択した理由は、なんといっても海外でのシェアが高く、スキルが豊富なこと。今後できることの幅が広く、深度も深くなっていく期待があったからです」(斉藤氏)

ショールームでは、音声によるテレビ・照明の操作や、1つの呼びかけで複数の家電が動くといった、Amazon Echoとスマート家電の連携を生活空間の中で体験できるのが魅力(※2)。まずは半年程度体験コーナーを継続し、スマートホーム導入の利点を来場者にアピールしたい考えだ。
「我々は“アップデートができる家”を目指しています。パワフルな成長性と拡張性を持つAlexaは、まさにその目標を加速させるもの。今回は住宅を対象としていますが、当社ではホテルやオフィスのリノベーション事業も行っているので、それらへの展開も考えられます。例えば、ホテルのホスピタリティとして室内にAmazon Echoを設置し、海外の旅行客に周辺情報の提供ができれば、インバウンドでも需要の高いサービスになるのではないでしょうか」(斉藤氏)

「アパマン」自社管理物件をEcho Spotでスマートホーム化
日本最大級の不動産賃貸店舗「アパマンショップ」を手掛けるApaman Network。同社では、全国の自社管理物件及びアパマンショップ加盟企業の管理物件の一部をスマートルーム化する「AI スマートルームキャンペーン」をこの11月に発表した。

室内にEcho Spotとスマートリモコンを設置し、スマートルームとして物件の付加価値を高める取り組み。Apaman Network CMOの大滝氏は「エリアは全国を対象に一部の自社及びアパマンショップ加盟企業管理物件からスタート。さらに趣旨に賛同いただける管理会社物件へとできるだけ戸数を拡大したい」考えだ。
「単に音声で生活を便利にするだけでなく、入居者様のお困りごとの解決や、新生活に便利な情報・サービスを提供していきたい。例えば、“水が漏れている”“ガラスが割れてしまった”というときに連絡先を素早く提示するなどのAlexaスキルを、今後開発していき、こちらからプッシュ型の配信もしたいので、スクリーンがあることを重要視しました」と同社の湯浅氏も語る。
また、同社が注目したのは、Alexaには、一般の開発者による追加機能Alexaスキルがあること。「アパマン」というAlexaスキルを開発・公開できることで、Alexaを通して、自社のサービスが多くの方に提供できると考えたという。キャンペーンへ向けた本格稼動は10月に入ってからだというが、11月には発表に漕ぎつけ、1-3月の繁忙期に間に合わせられたのは、自社の動きはもちろんAmazon側のレスポンスの早さにあると評価をする。

「現在は、スマートルームの機能は、Echo Spotと家電コントローラを介した家電の連携、そして同社からの生活情報サービスが中心となるが、今後は住まいの設備との連携も視野に入れていきたい」(大滝氏)。とするほか、別事業での展開も考えているという。
「当社では、シェアリングエコノミー事業を展開し、コワーキングスペース『fabbit』の直営施設も急激に数を伸ばしています。例えばコワーキングスペースにAmazon Echoを設置し、ビジネスのマッチングなどに活用できたら面白いですよね。色々な可能性が考えられるのはワクワクします」(湯浅氏)

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