2020年に控えた教育大改革の目玉の1つが、プログラミング教育の導入だ。第1回では、中高生にプログラミングなどを教えるライフイズテック株式会社 代表取締役CEOの水野雄介氏に、子どものプログラミング教育の現状と、今からできる準備について聞いた。
協力/インテル
プログラミング教育は約40年ぶりの教育大改革の目玉
2020年、日本の教育が大きく変わる。その柱となるのは、現在の大学入試センター試験に代わる新しい試験制度の導入、小学校における英語を中心とした外国語教育の強化、そして、やはり小学校からのプログラミング教育の必修化だ。
2020年に学校教育にプログラミングが導入される背景として、2030年には国内のIT人材が59万人不足するという予測がある(出典:経済産業省「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」)。こうした動きは日本だけで見られるものではなく、例えば米国では、オバマ政権下からSTEM教育(STEMはScience、Technology、Engineering、Mathematicsの頭文字)の強化が進められてきた。今後、プログラミング教育は加速することはあっても、停滞することはないだろう。
このプログラミング教育は、多くの大人にとって未知の分野。受験や外国語教育は経験があっても、プログラミングに関しては未経験で、我が子にプログラミングを教えられるのか、今から不安を覚える親世代も少なくないはずだ。それを見越したかのように、街中ではプログラミング教室の看板を見かけることも多いだろう。そうした中、スクールやキャンプのスタイルでプログラミングなどを教えるライフイズテックが注目されている。

子どものモチベーションは目の前の“ワクワク”から生まれる

2011年に活動を開始したライフイズテックでは、これまでに延べ約28,000人の中高生を対象に、プログラミングやITを使ったデザインなどを教えてきたが、まずは子どもたちにその場の楽しさを提供するようにしているという。
「『できると将来役に立つ』『できる人が増えると経済が活性化する』と言われて、プログラミングを好きになる子はいません。『ものづくりは楽しい』でも響きません。そもそも、その場にいることが楽しい、そこで先輩に教わりながら仲間と作業することが楽しいと感じてもらうようにしています。そして、『これができるようになったら楽しそうだな』と思ってもらい、初めて作ったiPhoneアプリやLINEのスタンプを公開し、ダウンロードされたらうれしいと感じてもらう。そこがスタートです」(同社代表取締役CEO 水野雄介氏、以下同じ)
ライフイズテックに足を運ぶ中高生の多くは、自宅にパソコンはあるものの個人所有はしておらず、日常的に触れているツールは、タブレットやスマートフォンが中心だという。
「ここへ来る子どもはユーザーとしてはITに触れて育ってきていますが、クリエーターとしては8割が初心者で、彼らにとってライフイズテックが初めてのITを学ぶ場です。ここでITを嫌いになってしまうと、彼らにとって一生の損となってしまう可能性があるので、そこには十分に注意しています」
例えば、アプリ作りを教える場合には、いきなりプログラミング言語やアルゴリズムを教えるのではなく、普段使っている電卓の、それぞれのボタンの役割を考え直すところから始める。すると、子どもたちは何気なく押していた数字のボタンの役割が数式で表せることに気付き、電卓がプログラムであることが分かり、電卓以外のものもプログラムで作れる可能性を自ら見いだしていくという。
水野氏は「教える側の役割は、難しいことをいかに簡単に思わせるか」だと断言する。「子どもたちのモチベーションはいつでも『将来、必要になるから』ではなく『今、ワクワクするから』です」
現代の子どもにとってITは武器でありリテラシー
近い将来、IT系の人材不足が心配されているということは、IT系のスキルがあれば、より良い職業を選択できるということだ。
「ここでITのことがとても好きになった子の中には、将来、AIなどを学べる大学へ進みたいという高いモチベーションで受験に臨み、その先で、アマゾンやグーグルのような第四次経済成長を牽引する企業で働く子も出てくるでしょう。ITを知っているということは、グローバルな仕事ができる武器を持つことでもあります」
しかし、すべての子どもがエンジニアになるわけではない。
「IT企業で働かなくても、他の好きな仕事にITの知識やスキルを生かすことはできます。FinTechという言葉があるように、金融の仕事にもITは密接に関わります。スポーツの世界でも、データ分析が当たり前になってきました。10代のうちにITをたしなみ最低限のリテラシーを身につけ、学ぶことの楽しさやチームワークを体感しておくことは、お子さん一人ひとりの将来の選択肢を増やし、幸せになる確率を上げることだと思っています。私たちがライフイズテックでしていることは、人生を変えるような体験の提供です」
そうした体験のきっかけは、プログラミング教室だけでなく家庭でも与えられる。ただし、家庭で子どもにパソコンを使わせる際、注意すべきところもあると話す水野氏。
「小中学生の多くは、パソコンとは何ができるツールなのかが、まだ分かっていないことが多いので、ゲームをしたり動画を見たりと受け身の使い方だけをしてしまいがち。それだと、スマートフォンやタブレットを使うのと同じになってしまいますよね。また、プログラミングスキルを身につけてほしいと考える親御さんも、お子さんが自室にこもってパソコンと向き合ってばかり、とはなってほしくないはずです。なので、お子さん一人でパソコンを使わせることはせず、親御さんと一緒にパソコンを使うこと。『使うときはリビングで』などのルールを設けることも大事ですね。まずはプログラミングなど、スマートフォンではできないパソコンだからできるIT系のものづくりの楽しさに触れ、興味を持ってもらうことから始めてみてはどうでしょうか」
パソコンを通じて親子の新たな会話が生まれる

加えて、親が使い慣れた種類のパソコンを子どもが使うようになれば、家庭内で新たな話題も生まれる。
「お子さんと一緒にパソコンに触れるようになったお母さんが、エンジニアであるお父さんの仕事の雰囲気を理解できようになった、お子さんにお父さんへの尊敬の念が芽生えたといった話もよく伺います」
また、“何が何でもプログラミング”と親が固執しないことも重要。パソコンで作り出せるのは、プログラムに限らない。映像も音楽も、ITによる創作物だ。
「もしもお子さんがバンドを組んで音楽を楽しんでいるのなら、『だったら、カッコいいミュージックビデオを作ってアピールしていこう』といったアプローチをする、アニメのキャラクターが好きならそのキャラクターを使ったプロジェクションマッピングに挑戦してみるなど、今、お子さんが好きなものとITを結びつけていくことが、ITを好きになる近道だと思います」
子どもの好きなものを、ITを通じて親が理解する。それが、子どものITへの関心を高め、スキルを磨く第一歩となるはずだ。
薄くて軽いボディのため子どもでも持ち運びしやすく、さらに2in1モデルであれば、プログラミングをするときなどはノートパソコンとして、親子でゲームや動画を見るときはタブレットとして使うことができるのだ。また、バッテリー駆動時間も長く、長時間使用できるうえに、インテル Core プロセッサー搭載、SSD搭載のため処理速度も速い。他にも、直に操作できるタッチスクリーンやペンの機能もあるため、イラストを描くなどいろいろな使い方ができるのも魅力の1つ。子どもも親も使えるインテル一押しのパソコンをぜひチェックしてみては?
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協力/インテル