日経クロストレンドのアドバイザリーボードの面々が、「ポスト平成」の注目キーワードを占う本特集。第2回は、日本でMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)の普及を目指すMaaS Tech Japan社長の日高洋祐氏、リアル店舗の改革を進める蔦屋家電エンタープライズの木崎大佑氏、デジタルイノベーション経営を進める一休社長の榊淳氏が、2019年を語る。

写真/ShutterStock
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 注目キーワード 
「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」

MaaS Tech Japan 代表取締役
日高 洋祐氏

 MaaSとは、鉄道やバス、タクシー、カーシェア、レンタサイクルなど、あらゆる移動サービスを統合させて、そのパッケージによって価値を生み出すモデルです。フィンランドのMaaSグローバルのように月額サブスクリプションモデルで公共交通などの乗り放題サービスを提供する例もあり、動画配信サービスの米ネットフリックスや音楽配信サービスのスポティファイの「移動サービス版」と考えると分かりやすいと思います。

 移動のプラットフォームができて定額制や無償化に近づくと、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に代表されるインターネット産業のユニコーン企業のような巨大ビジネスが、移動にまつわるリアルな場所やコンテンツ側で発生する可能性があります。

 MaaSをめぐっては、国内でもトヨタ自動車やJR東日本、小田急電鉄など、様々なプレーヤーが参入を表明しています。19年にはいくつもの実証実験が計画されているため、国内における“MaaS元年”と言っていいほどの盛り上がりをみせるでしょう。我々MaaS Tech Japanも、MaaSの価値ある社会実装を目指してプラットフォーム構築、地域の課題解決やMaaS事業のビジネス成功に導くコンサルティング事業を担っていきます。また、日本初のMaaS推進団体として一般社団法人JCoMaaS(ジェイコマース)という組織も立ち上がりました。国内のMaaSプレーヤー同士のネットワークや、より迅速な社会実装を目指します。

 最後に19年に向けては、日経クロストレンドの連載にもあるように「Beyond MaaS(ビヨンドマース)」というコンセプトが重要だと感じています。ともするとMaaSは自動車業界や交通業界に閉じた話のように感じられるかもしれませんが、移動の先にある「目的」側には小売りしかり、不動産しかり、様々な産業が関係してきます。これらとの融合モデルを国内でどう築いていくか。それは世界にもない新しいビジネスモデルになるはずです。様々なMaaSプレーヤーと共同でワークショップやコンセプト開発を行い、形にしていこうと思います。

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