12月21日、ディズニー映画の新作『シュガー・ラッシュ:オンライン』が公開される。前作『シュガー・ラッシュ』に引き続きプロデューサーを務めたクラーク・スペンサー氏に製作の背景を聞いた。同氏は11月29日(木)に東京国際フォーラムで開催される「日経クロストレンドEXPO」に登壇(入場無料)。当日は、想像力にあふれた製作の舞台裏や、壮大なストーリーを作り上げるチームマネジメントなどについても語ってもらう。

アーケードゲームの世界を舞台にした前作から、『シュガー・ラッシュ:オンライン』ではインターネットを舞台にした理由は?
クラーク・スペンサー氏(以下、スペンサー氏) 続編を作るならば、作る必要性があります。それは何なのか。そう考えていくうえで、僕らが思い付いたのが、世界を広げることだったのです。
もともとのアーケードゲームの世界ではなく、インターネットに行ってラルフがインターネットを破壊するというのはどうか、というのが最初のアイデアでした。それが会話の始まり。
だけどそこからが大変でした。どんな方向に物語を進めるのか。例えば「東京についての映画を作ろう」と言ったとします。それはどんな東京なのか。小津安二郎監督の描くような東京なのか。宮崎駿監督が描くような東京なのか……。一言に“東京”と言っても、いくつものテーマやストーリーが広がる可能性がある。
この映画は、二人の友情についてのもので、そこにインターネットがあるという構成にしました。
ただ単に前作がヒットしたので「続編を作りましょうか」というところから始まったわけではないんです。
アイデアを語り始め、インターネットという構想が出てきて、ようやく、「その話は語りたいかもしれない」となったんです。
素晴らしいキャラクターを生み出すことができて、それらのキャラクターと彼らの住む世界を心から愛してしまったら、またそこに戻りたいと思うもの。
だけど、ただそれだけの理由で次を作ってはいけません。次を語る、確固とした理由がないのなら、やるべきではないのです。
インターネットはその理由をくれました。その世界が大きいからではなく、僕たちが毎日直面することを語ることができ、さらに友情とその変化というものについても触れるからです。

現代のSNSの重要性や、使い方を誤ることによる危険性について、伝えたかったことは?
スペンサー氏 映画には、人気動画サイトのカリスマ運営者“イエス”というキャラクターが登場するのですが、彼女が「コメントは読むな」とアドバイスするんです。
ネット上で中傷されたり、いじめられたりする子供たちがいるけれど、決して“関わっちゃダメ”なのだと。そういう意地悪な人たちは、放っておくべきで、自分を愛してくれる人、自分が愛する人たちを信じるべきなんだよと伝えます。
ラルフは、インターネットの世界でそのことも学びます。自分が好きな人を信じ、他の雑音は無視すること。
親も子も、この映画からそのメッセージを受け取ってくれると思います。
ディズニー・アニメーションを制作する際、ダイバーシティのトレンドなどはどう意識したか?
スペンサー氏 この映画に登場するアプリやウェブサイトなど、アメリカ人にとってのインターネットの話ではなく、世界を意識しました。
意識的に他の国のウェブサイトなども入れているのです。そうすることで、ここはもっと“世界”に見える。
インターネットの世界のデザインに関して、特に意識したのは“東京”です。
東京のカラフルさ、大きさ、混雑ぶり、そして美しさ……東京を大きな参考材料にしているのです。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ のクラーク・スペンサー氏が登壇
※同時通訳あり

日時 11月29日(木) 12:40~13:20
会場 東京国際フォーラム(東京・有楽町)
<入場無料。申し込みはこちら>