1961年生まれ。85年、慶應義塾大学経済学部卒業、キリン・シーグラム入社。89年、マーケティング部新商品開発グループにて国内外ウイスキー、スピリッツの商品開発。97年、キリンビールのマーケティング部 商品開発研究所で「麒麟淡麗<生>」開発、ブランドマネジメント。2000年から「キリン氷結」ほか、「杏露酒」、「キリンフリー」など開発プロジェクトリーダーを担当。09年、キリンディアジオで「ギネス」ブランドディレクター。11年、キリンビールの商品開発研究所リーダーとして「ハードシードル」「スプリングバレーブルワリー」プロジェクトをスタートし、15年にスプリングバレーブルワリー社長に就任。18年10月より社長交代し、同社の顧問/ファウンダーとして引き続き兼務しつつ、キリンビールのマーケティング部に復職し、次なる新規プラットフォーム構築へのチャレンジを鋭意画策中。20年4月より現職

これまで一番達成感を得た仕事は?

・発泡酒「麒麟淡麗<生>」、チューハイ「キリン氷結」の開発

 80年代前半の学生時代、AIはじめコンピュータープログラミングの未知なる世界にハマりつつも、洋酒・ワインの彩り豊かで奥深い世界とライフスタイルに魅せられ、85年にキリン・シーグラムに入社。4年間の営業経験の後、89年より本社マーケティング部でウイスキー、バーボン、ブランデー、ジンやラムなどのスピリッツ、リキュール、ワイン、RTDなど、さまざまなカテゴリーの国産・輸入ブランドマーケティング、新商品開発・新カテゴリー創造などに携わり、革新的な商品提案で世界を驚かせようと果敢にあれこれチャレンジするも、洋酒マーケットの長期低迷やバブル経済崩壊などもあり、ほとんど成功せず、ヒットには縁遠かった。

 転機はキリンビールのマーケティング部商品開発研究所に移った97年。同社初の発泡酒事業参入プロジェクトで 『麒麟淡麗<生>』の開発を担当し、98年に上市。そのまま2年間強ブランドのブランドマネージャーとしてブランドマネジメント・広告開発などを行った後、2000年にキリン初のチューハイ開発リーダーとして『キリンチューハイ氷結』の商品開発を指揮し、01年に上市。その後『アップルヌーボー』や『シャルドネスパークリング』などをはじめとした『氷結』シリーズを拡充しつつ、『新・杏露酒』などその他のリキュールやRTD群の開発を統括した。

・ノンアルコールビール「キリンフリー」、クラフトビール「スプリングバレーブルワリー」の事業開発

 ビール市場再活性化に目を向け、キリン創業100年に当たる07年『キリン・ザ・ゴールド』を開発。また、世の中から飲酒運転やアルコールによる悲惨な事件・交通事故を完全にゼロにしたいという個人の強い想いから、世界初の完全ノンアルコールビール『キリンフリー』による世界的な0.00%市場創造に向けた提案へと続く。

 09年に合弁会社キリンディアジオ社創設プロジェクトに携わり、そのまま出向し 『ギネス』などディアジオブランド群のマーケティングを指揮。11年に再度キリンビール商品開発研究所に復帰し、『キリン ハードシードル』の開発を行うなどイノベーティブな新市場創造商品を模索。キリンの社内ベンチャーとして『スプリングバレーブルワリー』プロジェクトを立ち上げ、15年1月より自ら代表取締役社長に就任し、クラフトビール事業参入と市場の飛躍的拡大をリード。代官山、横浜、京都(17年)、銀座ソニーパーク(18年、ソニーとのコラボ店)と店舗を展開し、彩り豊かなクラフトビールの新しい魅力の提案を継続している。

商品・サービス、事業開発で重要だと思うことを3つ挙げてください

① 創造的破壊による市場構造の変革
(自社内カニバリを辞さない、従来の構造基盤自体を大きく揺るがし崩し、新たな秩序を創造するパワフルな新カテゴリー創造型新商品)
② 未来の原型を創る
(現在市場内でのポジショニング図は無視し、未来市場予想図を洞察し、そのド真ん中にポジションされ得る商品原型、競合が真似をする商品をプロットしていく)
③ 世界平和、社会的価値の創造への貢献
(独善的、利益目的ではなく、より良い世の中の仕組みをつくっていくような商品やサービスしか意味がなくなる時代の到来)

これから仕掛けたいことは?

 いろいろ模索中です。(笑

最近気になっている言葉や現象、技術は?

・シェアリングの適用範囲の広がり
・ソーシャルバリュー/ソーシャルグッド

尊敬するマーケター、経営者、研究者…と、その理由は?

 イーロン・マスク
 その発想が、志が、実行力全てが凄いの一言。
 スティーブ・ジョブス
 理由は不要でしょう。

AIDMAなどのマーケティング理論や法則で実践、重視しているものは?

 しいて言えば、マーケティング3.0での共創。

 また、食の未来を考える際のアベセデス(農業的・工業的×ローカル・グローバルのマトリクス)理論

トレンドをウオッチしている他業界は?

 宇宙開発、AI、IoT、デジタルヘルス、自動運転、ヒューマノイドなどテクノロジー全般。テクノロジーの発展によって社会の枠組みやあり方、人類の未来全てが変わることから。

 また、解明されつつある人体・生命体・DNAと健康・思考・行動などとの関係にも興味を持っている。

直近のヒット商品、サービスで気になっているものは?

 Uber
 シェアリングが今後の未来市場のさまざまなもの・コト・ビジネスの原型になりそうだから