1982年、松下電器貿易(現Panasonic)入社。87年、米Panasonic(シリコンバレー支社)出向を経て、93年にPanasonicディスクシステム事業部、帰任。96年、トレーサーテクノロジージャパン設立、代表取締役就任。2002年にトライアルカンパニー入社。ティー・アール・イー代表取締役、トライアルカンパニーグループCIOなどを歴任。20年4月より現職

これまで一番達成感を得た仕事は?

 流通小売業における最大のデータ資産、ID-POSデータを分析することに特化した高性能のデータ処理・分析基盤である「e3-SMART」の企画、設計、構築をリードしたことが、トライアルグループの期間で、最も達成感を得たプロジェクトでした。オープンソースを生かすことと、同時にコアの差別化には高度な技術の導入が必要です。オープンイノベーションを行うという手法において、学ぶことが多かったプロジェクトです。

商品・サービス、事業開発で重要だと思うことを3つ挙げてください

 技術視点を起点にするのではなく、ユーザー起点、ニーズ側を起点として考えることを心掛けなければなりません。ひとりよがりのシステムやサービスを作ってしまい、使われない、普及しないという結果におちいります。できるだけ内製することで、ファーストムーバーになることを心掛けますが、一方で社外のパートナーと組むことでよりスピードを上げることができる可能性があります。バランスよく考える必要があります。

 また、問題に気づく、失敗であろうと認識したとき、素早くピボットできることが肝心です。最後に、自分が提起したアイディア、技術選定などにこだわることなく、バランスよくオープンマインドで変化の決断ができることも重要と考えます。

これから仕掛けたいことは?

 業界横断や業界を越えてデータを統合することで、まったく新しいデータ分析やAI活用の価値創造を手掛けたい思いがあります。

最近気になっている言葉や現象、技術は?

「サイバーフィジカル(Cyber Physical)」
 実店舗の世界をデータ化して可視化する取り組みを行なっております。その取り組みにぴったり当てはまる言葉と認識しました。

 技術に関しては、機械学習、ディープラーニングの進化が、どこまで我々が持っている課題群を解決手段として活用できるかが興味の対象です。

尊敬するマーケター、経営者、研究者…と、その理由は?

 社会人の最初が、Panasonicグループでの仕事でした。松下幸之助創業者は、偉大な経営者であり、ビジネスパーソンであり、マーケターでもあったのではないかと思います。ただし、その活躍した時代ならではということが言えます。尊敬して学ぶにおいても、本質を学んだうえで、今の時代、これからの時代にどう応用すべきかの翻訳が必要であると思っています。

最近、読んだ本で仕事の参考になったものは?

「対デジタル・ディスラプター戦略 既存企業の戦い方」(マイケル・ウエイド他、著)
 我々流通小売企業が「どうデジタル・トランスフォーメーションしていくか」を中期的戦略としてを考えるうえで参考になります。