定番同士だから、戦いはし烈!?

 3社を取材して感じたのは、定番回帰志向がすっかり定着したこと。そしてそれゆえ、売り場での競争が激化しているということだ。味の種類で人目を引ける“バラエティ鍋”と違い、寄せ鍋は差異化が難しい。であれば、メーカーやブランドのイメージで選ばせるしかない。そのせいか、どのブランドもロゴマークがゴールドで、非常に大きく配置されて目立っている。

 鍋つゆ市場では、2008年の「カレー鍋」、2009年「トマト鍋」のヒット以降、 バラエティ鍋つゆのヒットが出てない。かろうじて2011年に丸大食品が「スンドゥブシリーズ」3品を含む韓国シリーズ全体で約30億円を売り上げた程度だ。そのヒットを受けて2012年には大手3社が韓国料理をアレンジしたバラエティ鍋つゆを発売したものの、これも定番化には至らなかった(関連記事:「2012年「鍋」新トレンドは“ネオ韓国”、ひとり鍋もブレイク!?」。

 思えばバラエティ鍋の始まりは、家庭で鍋を食べる頻度が増えたことによって「鍋はシーズン終わりには飽きてくる」という悩みからだった。バラエティ鍋が出尽くし、今また定番に回帰したことで、今度は「定番でも食べ飽きない鍋」が求められるようになっているのだ。

 しかし、素人にはこれが難しい。「寄せ鍋程度にわざわざ鍋つゆを買う必要はない」という意見もあるが、食べ飽きない味にしようとすると、だしのほかに鶏肉、貝類など、だしがとれる素材を複数組み合わせて深みを出さなければならず、意外に高くつく。350円前後でこれだけ完成度の高い味を出せるなら、定番味の鍋つゆはむしろ「買い」ではないかと感じた。今後も鍋つゆは食べ飽きない味に向かって進化していくのかもしれない。

キッコーマンの調査では食べ飽きない鍋つゆのポイントとして「さっぱりした味」「だしが効いている」が多く挙がったという
キッコーマンの調査では食べ飽きない鍋つゆのポイントとして「さっぱりした味」「だしが効いている」が多く挙がったという

(文/桑原恵美子)