TRENDY EXPO TOKYO 2015の2日目である11月21日、映像の進化、スーパーフード、地方発ヒットをテーマにパネルディスカッションが行われた。

映像の進化がエンターテインメントの可能性を広げる

 TRENDY EXPOの2日目のセッションは、「映像の進化が止まらない!」をテーマにした講演とパネルディスカッションからスタート。ネイキッドの代表、村松亮太郎氏に続き、ソニー・コンピュータエンタテインメントから吉田修平氏、DMM .futureworksから黒田貴泰氏、バンダイナムコエンターテインメントから玉置絢氏が登壇。それぞれの領域で進化を続ける映像の魅力が語られた。

プロジェクションマッピングという表現方法

 日本におけるプロジェクションマッピングは、2012年12月に東京駅で開催された「東京ミチテラス2012」での『TOKYO HIKARI VISION』がブレイクポイントだろう。観客が殺到したために上映中止になったことでさらなる話題を集めることになった。あれから3年、現在のプロジェクションマッピングはどのような進化を遂げたのか。その最前線で活躍する村松氏が、作品や進行中の取り組みとともに見解を語った。

ネイキッド 代表 村松亮太郎氏
ネイキッド 代表 村松亮太郎氏
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 ネイキッドの制作実績には、建造物のほか立像などリアルな物体に投影したCG合成のような見え方のもの、三面マッピングを用いて仮想空間を作り出したものなどがある。プロジェクションマッピングを、技術を活用した映像表現と捉えることで、その可能性がさらに広がることに気づく。

 「映画には100年の歴史がある。その間、スクリーンの大小はあれども、映画にはフレームが存在した。プロジェクションマッピングの最大のおもしろさは、このフレームからの解放にあります」(村松氏)

 映像がフレームという枠から飛び出すということは、すべてのものが投影可能な場所になるということ。「枠のない世界に映像が出てくるとどうなるか?」という観点でプロジェクションマッピングという映像表現を考えると、白黒テレビしかなかった時代にカラーテレビが登場した以上の変革であり、その広がりは無限であることに気づかされる。

 特に建造物に投影する場合は、「建築、照明のような感覚を取り入れながら表現を追求することで、プロジェクションマッピングの魅力を最大限に引き出せるのではないでしょうか。映像だが映像ではない、そんな固定観念を覆すような感覚が必要です」と村松氏は語る。

プロジェクションマッピングの未来

 プロジェクションマッピングが転機を迎えたのは、2014年夏に行われた新江ノ島水族館でのナイトアクアリウムという企画という。普段は見られない夜の水族館に“体験型の神秘的な深海”を映像で作り出したのだ。リアルタイムで映像を生成、投影することで、廊下を曲がると足元に波が打ち寄せる仕掛けなどを用意し、さらにメインの大水槽では透過性のフィルムを使った大掛かりなプロジェクションマッピングを展開した。プロジェクションマッピングに企画と演出を持ち込み、新しいエンターテインメントを作り出す契機となった。

 「スペースではなく、人が介在し情景があるSCENE(シーン)を作ることで、トレンドが生まれるのではないか」(松村氏)

 プロジェクションマッピングという表現方法はエンターテインメントとしてブラッシュアップされ、人の心に残るシーンづくりに欠かせないものになりそうだ。

【TRENDY EXPO】映像の進化、スーパーフード、地方発ヒット…11月21日のセッションをレポート(画像)
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VR(ヴァーチャルリアリティ)の最前線

 エンターテインメント業界で注目を集める3人によるパネルディスカッションは、それぞれのプレゼンテーションから始まった。

 吉田氏は、2016年に発売が予定されているプレイステーションVRを紹介した。プレイステーションVRは、プレイステーション4につないで楽しむヴァーチャルリアリティシステムだ。

 「家庭用ゲーム機の歴史は30年ほどで、その間に変わらなかったことは、ゲームプレイヤーは常にテレビのスクリーンの前にいて、ゲームの世界はテレビ画面の後ろにあるということ。そのため、ゲームプレイヤーはゲームの世界をのぞき込むようにしてプレイしていました。ゲーム制作者の我々は、いかにしてその世界に没入してもらうかを考えてきました。このVRの出現によって、初めてゲームプレイヤーにゲームの世界に入ってもらうことができました。これは全く新しい体験です」(吉田氏)

ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ(SCE WWS)プレジデント 吉田修平氏
ソニー・コンピュータエンタテインメント ワールドワイド・スタジオ(SCE WWS)プレジデント 吉田修平氏
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 玉置氏からは、キャラクターコミュニケーションを題材としたVRコンテンツ『サマーレッスン』が紹介された。プレイヤーは、日本の女子高生やアメリカ人女性を教える家庭教師に扮してゲーム内に登場する。サマーレッスンは、コミュニケーションの仕方に特徴があり、ヘッドセットを使って普段のコミュニケーションと同じように、首を縦や横に振るだけで意思表示ができる。また、プレイヤーの視線が認識されるので「よそ見しないで」とか「距離が近すぎない?」などと指摘されることがあり、現実世界で起こりうるコミュニケーションが再現されている。

 「キャラクターをより魅力的に見せることが最も難しい問題でした」と玉置氏。そのため、本当にそこに人がいるような実在感を充実させることに取り組み、「背景のディテールにもこだわるり、さらに没入感を高めることに成功しました」(玉置氏)。

 「日本のコンテンツビジネスでは、キャラクターを好きになってもらうことが重要です。そして、そのキャラクターが、自分と同じ世界に存在してほしいというニーズがトレンドとして強くなっているため『サマーレッスン』が支持された」(玉置氏)とも。

バンダイナムコエンターテインメント CS事業部 第1プロダクション プロデューサー/ゲームディレクター 玉置 絢氏
バンダイナムコエンターテインメント CS事業部 第1プロダクション プロデューサー/ゲームディレクター 玉置 絢氏
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 横浜駅西口にDMM VRシアターを作った黒田氏からは、VRの新しい領域としてホログラフィックが紹介された。DMM VRシアターは、ホログラムを使い存在しないキャラクター、人物、風景をステージ上に再現して、ライブパフォーマンスのような演出をする空間だ。ステージに特殊な機材を設置し映像を投影することで、そこにキャラクターがあたかも立っているように見えるという。

 VRシアターでは、リアルとヴァーチャル(ホログラムの)キャラクターがステージに共存できるのが特徴。

 「大きな仕掛けがステージ上にある」と考えるのがシンプルで、舞台演劇の分野では200年ほど前からあった仕掛けを、最新のテクノロジーを使って表現しています。ホログラムの存在感そのものが希薄だった以前のクオリティーから、そこにいるような存在感を実現するまでになった」(黒田氏)と語った。

DMM .futureworks 代表取締役 黒田貴泰氏
DMM .futureworks 代表取締役 黒田貴泰氏
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技術がVRの表現に追いついた

 VRに関する興味・関心は世間にも広まりつつある。とはいえVRという言葉自体は以前からあり、現在のVRはどこまで進化したのだろうか?

 「映画やテレビ番組で取り上げられたことで、90年代はセンセーショナルにVRがはやった時代。しかし、当時のコンピューターのパフォーマンス、ディスプレイ技術の拙さが理由で根付くことはありませんでした。研究者や開発者の夢はありましたが、ビジネスとして回収のメドが立ちませんでした。それが、スマートフォンの普及と重なり、一般の方が手に取れる価格でVRを身近に感じられるようになったのが今です。さまざまな環境が整った今回のブームは本物で、体験するとその実力を実感できると思います」(吉田氏)

 「ゲームを作る立場としても、VRが技術により制限されてきた部分が大きいです。一番分かりやすいのは顔の表情の再現で、今のようなリアルな表情を作り出すのにかなりの時間がかかっています。VRの世界は、その中にいると錯覚することが大切。そのためには膨大な情報量が必要で、近年はそれを人工で作ることが容易になったと思います」(玉置氏)

 一方、DMM VRシアターについては、提携したい企業が増えているのだとか。

 「上映館を増やすという観点では、世界中からオファーが来ています。国内では、地域のインバウンドに結びつくなら、場所を提供したい、旅行の目的地の一つにしたいというお話をいただきます。もちろん、シネコンからのオファーもいただいています」(黒田氏)

 最後に来年、再来年の将来像を聞いた。

 「来年はプレイステーションVRをはじめさまざまなVRシステムが世に出てきます。コンテンツも一斉に作られ始め、ゲーム業界全体が活気に満ちた1年になると思います」(吉田氏)

 「VRシアターに関しては、3~5年の間に10~20館のフランチャイズ化を進めて行く予定です。今後はどのようなコンテンツで公演ができるのか、それがどういう価値を提供できるか考えておきたいと思います」(黒田氏)

 「VRの世界のキャラクターが『本当にいるとしか思えない』と考えられるようなトレンドになると思います。その結果、VRは次なるステージに行けるのではないかと思います」(玉置氏)

 プロジェクションマッピングにVR。映像による演出・表現は驚くべき勢いで進化を遂げ、さまざまな可能性が広がった。今後、映像の進化はどこまで行きつくのだろうか。

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