「生活(消費)が変わるトレンド&イノベーション」をテーマに東京・秋葉原で開催された「TRENDY EXPO TOKYO 2015」。ベルサール秋葉原1階の展示会場奥に設置されたシアター会場でもさまざまな講演が行われた。その2日目の様子をレポートしよう。

ペッパーは何もできないけどスゴイ!

 ペッパーを発表当初から取材してきたITジャーナリスト 神崎洋治氏は、いきなり「ペッパーは現時点ではそのままでは驚くようなことは何もできない」としながらも、そのペッパーの革新的な部分や将来性について述べた。

ITジャーナリスト 神崎洋治氏
ITジャーナリスト 神崎洋治氏
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 ペッパーは本体の販売ではもうけはほとんどなく、3年間の使用料で収入を得るビジネスモデル。またスマホアプリのようにロボアプリを開発して利用でき、すでに200社以上がアプリ開発に参入しているという。状況を判断して自律的に動くのがペッパーの特徴だが、現在のところ受付業務などに使うのにとどまっている企業が多い。

 ペッパーがロボットの世界において衝撃的だったのは、感情認識エンジンを持つロボットであり、さらに感情生成エンジンによってロボットに心を入れることに挑戦していることだという。感情認識エンジンは、相手の話し方などから感情のデータを学習して蓄積し、それを理解できるようになる機能のことだ。感情生成エンジンは、電子的に疑似的な神経伝達物質を持ち、感情を作ってタブレットで表現する。こうした取り組みの裏には、ロボットが人のために活躍する漫画やアニメが多い日本ならではの発想があるという。

 将来の可能性として、ペッパーはすでにIBMの質問応答システム「ワトソン」との連携を果たしているが、コンピューターが人間の脳を超えるシンギュラリティ(技術的特異点)が近い将来に訪れるといわれており、こうしたクラウド、ビッグデータ、人工知能、IoTとの連携が進むことでペッパーは無限に性能アップしていける可能性があるという。

昭和なモノづくり精神と家電ベンチャー

 わずか2カ月で17種類24製品を取りそろえて「UPQ」ブランドを立ち上げたUPQ代表取締役 中澤優子氏の講演は、立ち見も出るほどの盛況だった。

UPQ 代表取締役 中澤優子氏
UPQ 代表取締役 中澤優子氏
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 今はモノがあふれ、製品同士の違いが分かりづらく選びにくいという。例えばスマートフォンの厚みがコンマ数ミリ違うなどメーカーが技術を競っても、それはユーザーが求めているものではなく、製品を選ぶ動機にはなりにくい。

 UPQが目指しているのは、既存カテゴリーの中で他とは明確に違いを語れる家電・家具の販売だ。買いたいという衝動が起きるのは、他の製品との違いをユーザー自身が明確に語れるような製品であり、買った人が誰かにちょっと自慢できるような、ポイントの立った製品作りを心がけているという。

 UPQの製品は中国で生産しており、設計も多くの部分を中国側に任せている。しかしただ打ち合わせをするだけではなく、毎週のように現地の工場に行き、現地で検討を重ねてしっかり指示して作っているため、コミュニケーション不足によるミスは少ないという。

 そして、昭和のモノづくりの精神と呼べるようなものが、今はむしろ中国の工場など海外に残っているといえるのではないかという。ガラス製のタッチ式キーボードを発売したが、その製造において現地の基準では問題ないような小さいミスが見つかった。しかし現地の工場側からクオリティーに納得できないと正直に申告があり、自主的に作り直してくれたという。こうしたモノづくり精神のある人たちは世界中にいて、一緒にやっていけるだろうと話す。

 UPQが製品を発表したところ、大手家電量販店などからすぐにコンタクトがあり、店頭で取り扱ってもらえるようになったという。小規模ロットの生産ができる環境があり、流通もベンチャーの製品を販売してくれるようになってきた。環境が整ってきたことで、これからはUPQのような小規模なモノづくりベンチャーが日本でも増えてくるだろう締めくくった。

(文/湯浅英夫、写真/稲垣純也)