聖地は武道館からZeppへ

 2010年前後、当時多くのアイドルが輩出されたことから、“アイドル戦国時代”と呼ばれる時期があったのは記憶に新しい。現在は「AKB48」グループや「ももいろクローバーZ(以下、ももクロ)」など少数のトップグループを中心としたピラミッド構造をもって、アイドルシーンは一旦安定したかのように見える。しかし、実は水面下で、以前の戦国時代より一層激しい合戦が繰り広げられていることは、意外と一般に知られていない。その理由は、こうしたトップグループに取って代わることができる新たな大型アイドル候補の不在にある。

 @JAMの総合プロデューサーで自らも複数のアイドルグループのプロデューサーを務めるZeppライブの橋元恵一氏は、「でんぱ組やももクロ、BABYMETALのような大型グループを生み出す土壌が作りづらくなっている」と言う。これまで、ほとんどのアイドルが出演ステージの一つの目標として“聖地”武道館を掲げてきた。ところがここに来て、目指すステージがZepp東京やZeppダイバーシティ東京に変わってきたという。集客力からいうと、5000人~1万人規模から2000~3000人規模への縮小だ。

Zeppライブで@JAMの総合プロデューサーを務める橋元恵一氏
Zeppライブで@JAMの総合プロデューサーを務める橋元恵一氏

 個々のアイドルがファンを集めにくくなった原因は、アイドル側の集客能力の低下にある。アイドル(およびアイドルプロデュース)への参入障壁が下がり、極端に言えば「誰でもアイドル(アイドルプロデューサー)になれる」ようになった。こうしたアイドルは集客のためのプロモーション力や資金、ノウハウを十分持たないため、結果的に個々のアイドルの集客力は減少しているのが現状だ。また、参入障壁の低下によって、当然、全体のアイドルやアイドル系事務所の数は増える傾向にある。これに呼応するようにアイドルイベントの数も増加している。しかし一方で、「アイドルファン全体の数はここ数年増えていないように思う」と橋元氏。ハッキリした統計があるわけではないが、ファンの数が変わらないのに増えるアイドルグループ。結果、熾烈なファン争奪戦が起こっているというわけだ。