よりパーソナルなサービスに

 オーダーシステムは店側にもメリットがある。大きなメリットのひとつとして在庫を抱えなくて済むことが挙げられる。在庫がないということは、狭い店舗スペースでも出店が可能で、将来的には駅ナカなどに展開もできる。「ビジネスマンが出張先で『新幹線に乗るまでの時間、ちょっと空いてしまった。だったらちょっとディファレンスに寄って、スマホ上では決定しきれずに迷っている生地を触ってみようか』という使い方もできます」(中嶋氏)

 今後、コナカの既存のカスタムオーダーレーベル「O・S・V」は、順次、ディファレンスに切り替えていく予定。まずは2017年2月より、銀座・新宿・横浜など7店舗がディファレンスとしてオープンする。「3~4年以内に40~50店舗まで展開していきたい」(中嶋氏)。

 カスタマイズやDIYでひと手間加えることに慣れている20~30代なら、このように自分仕様に仕立てる商品とは非常に親和性が高いように思える。洋服はサイズがしっかり合っていれば、印象は驚くほど変わり、スタイルもよく見える。しかし、きっちり標準規格体形という人はむしろ少数派。胴体のわりに手足が長い・短い、肩幅が狭い・広いなど、それぞれ悩みがあるのが普通である。デザインが素敵でも、大きすぎたり小さすぎたりすれば、清潔感がないイメージに見えることもある。スーツ姿がビシッと決まり印象が底上げされれば、ビジネスシーンでもパフォーマンスが向上するに違いない。

メンズの場合、ベルトも素材やバックルなどパーツごとにオーダーできる
メンズの場合、ベルトも素材やバックルなどパーツごとにオーダーできる
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 「空いた時間にどこででも簡単に」。スマホの長所を最大限に利用したこのオーダーシステムは、合理的でありつつも、テーラー特有のおもてなし感と高級感、気分が高揚する特別感を大切にしている。2回目からはすべてをスマホ上で完結させることも可能だが、もちろん店舗でみっちり2時間、担当とマンツーマンでオーダーすることもできる。「忙しいから90分も時間は割けないが、生地の手触りだけはショップで確認したい。10分だけ寄ってみよう」という人もいる。ディファレンスが「パーソナライズ」というテーマを掲げているように、その人に合った個々の距離で付き合える、現代型のテーラーショップなのだ。

(文/三井三奈子)