地方発ヒット商品開発の弱点といえば、素材や伝統の技術は素晴らしいのに、市場の大きい現代の都市生活者のニーズにマッチしていないことだ。自慢の技を持つ地域にマーケティングの専門家が入ってアドバイスすると高い質感を持った逸品が出来上がった。
 今回紹介する品々は11月25日から27日まで東京・ビッグサイトで開かれる家具インテリア専門の展示会「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング」でお披露目される。

 地方発ヒット商品開発の弱点といえば、素材や伝統の技術は素晴らしいのに、市場の大きい現代の都市生活者のニーズにマッチしていないことだ。自慢の技を持つ地域にマーケティングの専門家が入ってアドバイスすると高い質感を持った逸品が出来上がった。

 今回紹介する品々は11月25日から27日まで東京・ビッグサイトで開かれる展示会「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング」でお披露目される。

国産和綿で働く女性をオフィスの冷えから守るショール&膝

 衣料品などの綿製品の原材料となる綿花はほぼ100%を輸入に頼っている。伝統の和綿作りから綿製品までを国内で有機無農薬栽培し、化学処理や染色を一切しない工程で商品を作るプロジェクトが、奈良県、大和高田市で進んでいる。とても安全性の高いものは作れるのだが、すべて手摘みで加工するためどうしても原料がコスト高になる。現在はギフト用のベビー服を作り、京都の百貨店1件だけで販売している。

 今回、この素材を使って働く女性向けの商品開発をあらたに試みることになった。まず市場ニーズをさぐるために、日経ウーマンオンラインの読者にアンケート調査を実施し、ショールや膝かけについてどのような要望や価格イメージを持っているかを調べた。

 この調査を踏まえて、こうした雑貨を扱う日本百貨店の安齋礼恵店長に、メーカーまで足を運んでアドバイスをお願いした。

地域の素材を生かして都市生活者の市場を狙う逸品が続々(画像)
[画像のクリックで拡大表示]
地域の素材を生かして都市生活者の市場を狙う逸品が続々(画像)
[画像のクリックで拡大表示]

 訪ねたのは、大和高田市のニット製品メーカー3社。ショール作りは、細い糸を使った製品を得意とする高井ニットにお願いした。糸の太さや1本取りか2本取りか、編み方の種類や柄など、幾種類もの試作品から、市場ニーズを踏まえてさまざまなアドバイスを基に改良していく。

 その結果、軽くてふわふわの仕上がりで、かつさまざまなシーンで利用できる製品が出来上がった。  さらにショール以外にもいくつかの小物を他のメーカーさんと開発することになった。 「IFFT/インテリア ライフスタイル リビング」の会場でぜひそのその肌触りを実感してほしい。

地域の素材を生かして都市生活者の市場を狙う逸品が続々(画像)
[画像のクリックで拡大表示]
 

日本一の革どころたつの市で特別なiPadケースを発注してきた

 平成の大改修を終えて真っ白な姿を見られるようになった世界遺産の姫路城。その膝元・JR姫路駅から姫新線各駅停車で20分ほどで本竜野に着く。関西ではおなじみの薄口しょうゆの発祥の地であり、全国に知られる素麺のブランド揖保の糸の生産地でもある。本竜野の駅舎内にあるカフェでは、地元の特産品である革製品も売られている。実はこの姫路・たつの地域は日本の革製品の素材の大半を出荷する革産業の聖地でもある。たつの市だけで国内市場の70%の革材料を算出しているほどだ。当然その素材は有名ブランドの素材にも当たり前のように使われている。

地域の素材を生かして都市生活者の市場を狙う逸品が続々(画像)
[画像のクリックで拡大表示]
地域の素材を生かして都市生活者の市場を狙う逸品が続々(画像)
[画像のクリックで拡大表示]
龍野市の革工房のサンプルルーム。さまざまな素材で色や仕上げを変えた革のサンプルが数百種類も(中島皮革にて)

 革はなめしと染色、表面加工や仕上げという工程を経て、バッグや靴などの製品を作るメーカーに納品される。今回訪ねたのは、たつの市の中に3エリアある革生産の集積地の1つ沢田地区。ここに拠点を構える松岡皮革の松岡哲矢市は、地域の若手タンナー(革職人)を束ねるリーダー的存在でもある。

 伝統の技術は踏まえながらも、新しい技術開発にも積極的に取り組んでいる。今回その実力を探るために、一頭の仔牛の背中の中心部分の革を使い、そこからわずか2枚しか取れない革を使ってタブレットのケースを作ってもらった。製牛の厚い革と違い薄くしなやかでしっとりとした手触りの高級皮革である。

 タブレットのケースは様々なデザインや機能のものがあるが、今回は革の素材感を重視して、ただ折り返して収納するシンプルなものにした。

 40代から50代の持ち物にしっかりとしたこだわりのあるビジネスパーソンをターゲットに置いた。

試作中のiPad miniケース。下に敷いているのは柿渋を使って仕上げたエゾシカの革。軽いためジャケットなど衣料品に向く
試作中のiPad miniケース。下に敷いているのは柿渋を使って仕上げたエゾシカの革。軽いためジャケットなど衣料品に向く
[画像のクリックで拡大表示]

広島県・府中の桐タンス工場があらたなジャンルに挑戦

 こちらも駅前にお城がある広島県東部の福山からJR塩福線で40分ほど行くと、山間の地方都市府中市に着く。広島といえばお好み焼きが有名だが、府中は広島風とはまた違う独特のお好み焼き文化を持った土地だ。かのミシュランガイドで、コストパフォーマンスに優れたビブグルマン印を付けられたお好み焼き専門店がいくつもある。

 古くからの地場産業のひとつが木工業だ。今回は桐箪笥などを主に手掛ける豊田産業に、桐の持つ断熱性や軽さを利用した便利グッズを開発してもらった。  コンビニコーヒーやカフェがヒットしたせいで、都市部のビジネスパーソンが淹れたてのコーヒーをショップからカップや保温ボトルに入れてオフィスに持ち帰ることが珍しくなくなった。今回はそんなときに便利なカップホルダーを新たに開発してもらった。

 折りたためてコンパクトに収納できることと、企業のロゴなどを焼き印で入れてノベルティグッズとしても使えることが開発コンセプトだ。

 形や仕上げなどまだまだたくさんのアイデアがあり、バリエーションとともに試作を繰り返している。

地域の素材を生かして都市生活者の市場を狙う逸品が続々(画像)
[画像のクリックで拡大表示]
地域の素材を生かして都市生活者の市場を狙う逸品が続々(画像)
[画像のクリックで拡大表示]
地域の素材を生かして都市生活者の市場を狙う逸品が続々(画像)
[画像のクリックで拡大表示]
「技のヒット甲子園」展示会 (feelNIPPONブース)
IFFT/インテリア ライフスタイル リビング
入場料 2000円(招待状持参者およびWeb来場事前登録者は無料)
・11月25日(水)~27日(金)
・10時~18時
・東京ビッグサイト(東京国際展示場) 西1・2ホール+アトリウム
 詳細はhttp://ifft-interiorlifestyle-living.jp.messefrankfurt.com/tokyo/ja/visitors/fair-profile.html

(構成/技のヒット甲子園)