明治のブースが人だかりに! そのワケは?
明治といえば、「きのこの山」(1975年発売)、「たけのこの里」(1979年発売)などロングヒットセラーを多く持つメーカーだ。2000年代に入って日本では海外製品がブームになり、カカオ成分の高いチョコレートが好まれ、チョコレートは大人の嗜好品になってきた。
この時流に乗って、ビーン・トゥー・バー製法(Bean to Bar - カカオの選定、発酵方法、焙煎などの加工を通し、チョコレートがカタチになるまでを統合して作り上げる)で、カカオ成分が50%以上のザ・チョコレートを発売。明治のスタッフも自ら現地に出向き、農家の人々と直接やりとりをして、カカオの生産から管理して生み出した本格派のチョコレートである。
「マスメーカーでは珍しく、効率ではなく手間ひまをかけて作っています。チョコレートのおいしさの7割程度は、カカオで決まるとも言われています」と佐藤氏。ザ・チョコレートは、明治チョコレートの集大成ともいえる製品なのだという。
カカオベルトといわれる、赤道から北南20度周囲にあるべネズエラ、ブラジル、ドミニカ共和国の3カ国のカカオ産地と協力してつくりあげた、この自信作を掲げて世界のチョコレートの祭典に乗り出した明治。小さなブースだったが、目の前の他社のブースを隠してしまうほどの人だかりだった。というのも「この“ザ・チョコレート”を一枚試食して、アンケートに答えてください」というストラテジーが見事に成功したからだ。
実は、広いサロンの会場内は試食が余り多くなく、有名ショコラティエのブースに至っては皆無に近い。チョコレートファンにとって日本からの新作の試食なのだから、試さないではいられないだろう。また、この明治のブース内のきちんとスーツを着たスタッフの数の多さにも驚いた。今回ここに10人以上のスタッフが来ているという。ショコラティエが自ら素材を説明したり、チョコレート色のエプロンを着た販売員が即売のためほほ笑んでいるほかのブースとは一線を画した、日本のメーカーならでは隙のないぴりりとした空気も感じられた。