少子化でビジネスとして成立するかが疑問視されていた

 ユニクロによると、マタニティーアイテムの商品化を求める声は3~4年ほど前から増えていて、店舗側からも要望の声が伝えられていたという。だが、「マタニティー専用商品でなくても、妊娠期に着用できる商品がユニクロにはたくさんある。そこで従来は、『既存のユニクロ商品で妊娠中にお使いいただけるアイテムを紹介する』という方法で、そのニーズに応えてきた」(ユニクロ グローバル商品本部 ウィメンズバリュークリエーション&プランニング部門の松崎里美リーダー)。

 同社がマタニティー専用商品を販売していなかった理由はいくつかあるが、一つには「マタニティーアイテムは、ごく一部の層にしか必要とされない特殊な商品」という認識が社内にあったこと。「少子化で今後もターゲット層が減少していくなか、ビジネスとして成立するのか」を疑問視する声が多かったのだという。

 店舗から繰り返しマタニティー商品の要望があるなか、松崎リーダーは育児休暇が明けて職場復帰。自身の妊娠後期を振り返り、おなかが大きくなるにつれて既存商品では替えのきかないアイテムも出てくるという実感から、インナーとボトムスに特化した商品を提案。すると積極的な賛成ではないものの、OKが出たという。

 その裏には、親会社であるファーストリテイリングが2017年2月、江東区有明に物流倉庫と一体になったユニクロの新本部を構えたことも関わっている。六本木にあったオフィスでは、ユニクロの商品開発や物流などの部署は複数のフロアに分かれていた。だが新オフィスはエリアをほとんど壁で仕切らず、複数の部署が一つのフロアで働く形になり、同時にそれまでは部署ごとに分かれていた働き方を変え、事業部制のようになった。「マーケティング、デザイン、生産部門が一つになって商品開発に取り組むことになったのも、提案が採用された要因かもしれない」(ユニクロ グローバル商品本部 ウィメンズバリュークリエーション&プランニング部門の桜居純子リーダー)。

マタニティーアイテムの開発を担当したユニクロ グローバル商品本部 ウィメンズバリュークリエーション&プランニング部門の松崎里美リーダー(左)とユニクロ グローバル商品本部 ウィメンズバリュークリエーション&プランニング部門の桜居純子リーダー(右)
マタニティーアイテムの開発を担当したユニクロ グローバル商品本部 ウィメンズバリュークリエーション&プランニング部門の松崎里美リーダー(左)とユニクロ グローバル商品本部 ウィメンズバリュークリエーション&プランニング部門の桜居純子リーダー(右)
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