2017年2月に三越伊勢丹とカルビーの協業で開催し、話題を呼んだ流通菓子の期間イベントショップ「Yesterday’s tomorrow」(関連記事:「カルビーが百貨店に“懐かし菓子専門店”を作った理由」)。カルビーがその常設店として「Yesterday’s tomorrow ルミネエスト新宿店」を2017年10月28日にオープンした。約178平米の店舗に、日本各地のメーカー約120社の菓子を約800点集めた。

「Yesterday’s tomorrow ルミネエスト新宿店」(ルミネエスト新宿地下1階)。営業時間は平日が11~22時、土日祝日が10時半~21時半。場所はJR新宿駅中央東口改札近く
「Yesterday’s tomorrow ルミネエスト新宿店」(ルミネエスト新宿地下1階)。営業時間は平日が11~22時、土日祝日が10時半~21時半。場所はJR新宿駅中央東口改札近く
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 目玉は、季節ごとにコラボメーカーやメニューが替わる「出来立てキッチン」。オープン日から2018年2月14日までは森永乳業のひと口アイス「ピノ」のデコレーションバージョンや、カップアイス「MOW(モウ)」のソフトクリームなどのスペシャルメニュー、ギンビスの「たべっ子どうぶつ」のビッグサイズをできたてで提供する。

森永乳業のアイス「MOW」を使った「MOW ソフトクリーム」(税込み480円、以下、価格は全て税込み)。MOWの開発当初の狙い「牧場で食べるソフトクリームのようなアイス」を具現化したような商品。濃厚なコクとすっきりしたミルクの味わいが特徴。カップかコーンが選べる
森永乳業のアイス「MOW」を使った「MOW ソフトクリーム」(税込み480円、以下、価格は全て税込み)。MOWの開発当初の狙い「牧場で食べるソフトクリームのようなアイス」を具現化したような商品。濃厚なコクとすっきりしたミルクの味わいが特徴。カップかコーンが選べる
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 菓子コーナーの注目は約200種類の個包装菓子を量り売りする「ぐるぐる」。選んだ商品は店内の包装機でラッピングし、オリジナルのギフトを作ることもできる。

約200種の個包装菓子を量り売りで買える「ぐるぐる」
約200種の個包装菓子を量り売りで買える「ぐるぐる」
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カルビーの工場で使っているものと同型の包装機でラッピングできる
カルビーの工場で使っているものと同型の包装機でラッピングできる
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 店内で販売する他社の菓子は全て店舗を運営するカルビーが買い取っており、「そのための物流体制を構築するのが大変で、準備に約1年半かかった」と同店を企画したカルビー上席執行役員の鎌田由美子事業開発本部長は話す。一体なぜ、同社はそこまでの時間と手間をかけて、他メーカーの菓子を売る店を出したのだろうか。

菓子市場を大きくしたい

 同社の松本晃会長兼CEOは「他社との競合とか、そういう小さなことは問題にしていない」と説明する。

 「菓子市場はこの15年ほど大きくなっていないので、面白いことをして市場を活性化して、パイを大きくしたい。競合他社との首位争いはその先の話」(松本会長兼CEO)

カルビーの鎌田由美子事業開発本部長(左)と松本晃会長兼CEO(右)
カルビーの鎌田由美子事業開発本部長(左)と松本晃会長兼CEO(右)
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 また、鎌田本部長も、価格競争に陥っている現状に危機感を覚えていると話す。「工場では1円に苦しみながら努力し続けて質が高い商品を作っているのに、店頭では売価しか注目されていない。価格競争ではなく、もっとお菓子の楽しさで選んでもらえる場を作りたかった」(鎌田本部長)。

さまざまなメーカーのロングセラー菓子のキャラクター、ロゴを店舗のオリジナルグッズとして商品化。精密な刺しゅうで作られたお菓子のワッペンなどの他に、マスキングテープやクリアファイル、ノート、付箋などの文具があった
さまざまなメーカーのロングセラー菓子のキャラクター、ロゴを店舗のオリジナルグッズとして商品化。精密な刺しゅうで作られたお菓子のワッペンなどの他に、マスキングテープやクリアファイル、ノート、付箋などの文具があった
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流通菓子をアレンジしたスイーツを提供する「出来立てキッチン」の「大きなたべっ子どうぶつ」(1枚210円、5枚セット1050円)。焼きたてなので、ふだん食べているたべっ子どうぶつと(いい意味で)別物のおいしさだった
流通菓子をアレンジしたスイーツを提供する「出来立てキッチン」の「大きなたべっ子どうぶつ」(1枚210円、5枚セット1050円)。焼きたてなので、ふだん食べているたべっ子どうぶつと(いい意味で)別物のおいしさだった
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1粒ずつトッピングしている「Happino(ハッピーノ)ガーリーピンク」(540円)はインスタ映え抜群で女性に受けそう。11月下旬からは「オトナキャメル」も提供予定
1粒ずつトッピングしている「Happino(ハッピーノ)ガーリーピンク」(540円)はインスタ映え抜群で女性に受けそう。11月下旬からは「オトナキャメル」も提供予定
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店内にはイートインスペースもある
店内にはイートインスペースもある
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地味な「地元の菓子」が意外と人気

 実際に店内を回ってみた。入り口を入ってすぐにクリスマスコーナー、個包装菓子を量り売りする「ぐるぐる」、ハロウィーンのイベントコーナー、地方菓子コーナーがあり、突き当たりが出来立てキッチンとイートインコーナー、その向かいにグッズコーナーがある。

 クリスマスコーナーには大中小3種類の「ヘクセンハウス(お菓子の家)」があり、華やかな店内でもひときわ目を引く。一番小さいものは「うまい棒」「トッポ」「クランキーチョコレート」など市販の流通菓子だけで作ることができる。合計11種類の菓子を全部買い集めるのはなかなか大変そうだが、面白いアイデアだ。

プロが作った芸術的なヘクセンハウス(写真中央)と「うまい棒」「トッポ」などで作ったヘクセンハウス(写真右)
プロが作った芸術的なヘクセンハウス(写真中央)と「うまい棒」「トッポ」などで作ったヘクセンハウス(写真右)
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市販の流通菓子で作れる小型のヘクセンハウスは作り方もレシピとして配布
市販の流通菓子で作れる小型のヘクセンハウスは作り方もレシピとして配布
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 特に面白いと感じたのが、クリスマスイブまでの毎日、日めくり部分をめくっていくと小さなプレゼントが出てくる「アドベントカレンダー」。一般的なアドベントカレンダーは中身の菓子が入った状態で販売されているが、この店舗では中に詰める菓子や雑貨を店内の商品から自由に選べる。世界でひとつだけのアドベントカレンダーは小さな子どもへの“プレクリスマスプレゼント”に喜ばれそうだ。

「アドベントカレンダー クリスマス(15日)」(864円)。ほかに31日バージョンもある
「アドベントカレンダー クリスマス(15日)」(864円)。ほかに31日バージョンもある
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量り売りの個包装菓子がちょうどぴったりのサイズ。店内の包装機でクリスマス用のピローで密封できる
量り売りの個包装菓子がちょうどぴったりのサイズ。店内の包装機でクリスマス用のピローで密封できる
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スチール缶製で毎年、繰り返し使えるアドベントカレンダー「GW-037 レブクーヘン」(1万4040円)。子どものいる家庭へのクリスマスプレゼントに良さそうだ
スチール缶製で毎年、繰り返し使えるアドベントカレンダー「GW-037 レブクーヘン」(1万4040円)。子どものいる家庭へのクリスマスプレゼントに良さそうだ
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 また、子どものクリスマスパーティーのゲームとして受けそうだと感じたのが、お菓子を詰めるくす玉「ピニャータ」。中南米の国などで子どものイベントに使われるものだ。高いところからつり下げ、目隠しした子どもが棒でたたいて割ると、中に詰められたお菓子やおもちゃなどが落ちてくる。

お菓子を詰めるくす玉「ピニャータ」(3996円)は、子どものパーティで受けそうだ
お菓子を詰めるくす玉「ピニャータ」(3996円)は、子どものパーティで受けそうだ
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 こうした華やかなコーナーに比べると少し地味に感じるのが、店内中央にある地元菓子のコーナー。だがイベントショップではこのコーナーが意外にも人気だったという。「小さいころによく食べていた菓子を自分の子どもにも食べさせたいという親からの反響が多かった。地元ではなじみのある菓子でも東京では手に入りにくいため、喜ばれたのだと思う」と同社事業開発本部 新規事業企画部の吉岡健太郎部長は分析する。

 客単価は800~1200円。鎌田本部長は「売り上げが1日3桁(100万円)を超えるような店にしたい」と力強く語った。

地方菓子コーナーに置かれた、栃木県の菓子「ちいさな一口かるめ」(162円)
地方菓子コーナーに置かれた、栃木県の菓子「ちいさな一口かるめ」(162円)
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(文/桑原恵美子)

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