「世界中のコーヒーをあらゆる選択肢で味わえる場所になる」

 ハワード・シュルツ会長兼CEOのスピーチの後に流されたシアトルのロースタリーの動画では、ハンドドリップでコーヒーをいれるシーンも多かった。またステージ上に展示されていたツールが、サイフォン式とハンドドリップ式のサーバーだったことから、会見では、「次世代スタバは、エスプレッソからハンドドリップに移行するのでは」という質問も飛んだ。シュルツ会長兼CEOはそれには直接答えず、「サードウェーブとは関係なく、私は1年間に300日、30カ国を回って質の高いコーヒー豆を探し求めている。ロースタリーは世界中の質の高いコーヒーを、あらゆる選択肢で味わえる場所。教育の場でもあり、シアターのようにロマンスを感じられる場所になるだろう」と答えた。

 中目黒といえば、ブルーボトルコーヒージャパンが国内5号店目となる「ブルーボトルコーヒー中目黒カフェ」を2016年10月28日にオープンする。8席とカフェスペースの席数こそ少ないが、敷地面積は417.78平米と5店舗の中で最大。旗艦店である清澄白河ロースタリー&カフェ(241平米)の2倍近い広さだ(関連記事:「“コーヒー界のアップル”上陸! 「ブルーボトルコーヒー」のルーツは日本!?」)。

 スターバックスのロースタリーはその約2.8倍もの広さとなる。発表会会場では「中目黒によくそんな広い土地が残っていたものだ」という驚きの声があちこちから聞こえてきた。隈研吾氏も「建設予定地を見たときに、こんなすごい敷地がよくあったなと驚いた」とコメント。場所は未発表だが、隈研吾氏によると、「目黒川に近く、自然との一体感を感じられる場所。(こうしたロケーションを生かして)自然素材を強くピュアに感じられる建物、店内と目黒川の自然が溶け合い、全く新しい体験ができる場所にしたい」と抱負を語った。

 また、会見でシュルツ会長兼CEOは、日本進出前に日本の有名なビジネスコンサルタントに市場調査を依頼したときのエピソードを披露。「成功は絶望的だから、あきらめたほうがいい」とアドバイスされたという。そのコンサルタントは理由として、スターバックスが利用者に徹底した禁煙を課していること、コーヒーを歩きながら飲む文化が日本にはないことを挙げた。「私はその分析が間違っていることを証明できると信じ、日本に進出した。そのコンサルタントに会うことはもう二度とないだろうが(笑)、日本での成功を彼はどう思っているのだろうと考えることがある」(シュルツ会長兼CEO)。

 「コーヒーの楽しみ方が多様化しており、少子高齢化が進む日本でのコーヒー市場をどうとらえているか」という質問に対しては、「われわれは今後、さまざまな形態の店舗を展開していく予定であり、スターバックスには成長の余力があると信じている」と回答。人々の嗜好が変化するなか、次の一手をさまざまに模索していることがうかがえた。

会見ステージ上に展示されていたツール。エスプレッソ以外の多様化を暗示しているようにも見えた
会見ステージ上に展示されていたツール。エスプレッソ以外の多様化を暗示しているようにも見えた
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左から、スターバックス コーヒー ジャパンの水口貴文CEO、スターバックスのシュルツ会長兼CEO、建築家の隈研吾氏
左から、スターバックス コーヒー ジャパンの水口貴文CEO、スターバックスのシュルツ会長兼CEO、建築家の隈研吾氏
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(文/桑原恵美子)