教育に関心のある「働く親」がターゲット

 1・2年生用の生活習慣力アップノートを開くと、左のページには「家のおてつだいをした」「しゅくだいをした」などの項目と完了後にチェックを入れるスペース、さらに「ピアノの練習をする」など自分が今日やりたいと思ったことを書いて、完了したらチェックを入れる「To Doリスト」。右のページは絵日記と、親から子どもへのメッセージを書き入れるスペースがある。3・4年生用はほぼ同様のフォーマットだが、5・6年生用はシンプルなデザインで、バーチカルタイプの手帳のような体裁だ。

1・2年生用は生活習慣のチェックリストと「To Doリスト」、絵日記で構成されている
1・2年生用は生活習慣のチェックリストと「To Doリスト」、絵日記で構成されている
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3・4年生用はフォーマットは低学年向けとほぼ変わらないが、漢字などの表記をその学年で読めるものに変更している
3・4年生用はフォーマットは低学年向けとほぼ変わらないが、漢字などの表記をその学年で読めるものに変更している
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 手がけたのは、手帳やカレンダーなどで知られる日本能率協会マネジメントセンター。同社は以前から10歳以上の子を対象にした、スケジュール管理を促す書き込み式の書籍を取り扱っている。「それにさらなる付加価値をつけた新しい商品を作りたかった」と同社出版部の東山みのり氏は話す。

 そこで、子ども向け書籍を手がける編集プロダクションのオフィス303に相談をしたところ、提案されたのが学習習慣や生活リズム、健康面を子ども自身が管理するというものだった。「学校の図書館に納品する児童書を作っていることもあり、実際に小学校教師と話す機会が多い。そのなかで、生活習慣と健康と学力は相関関係があるという話をよく耳にしたので、この3つの要素をテーマにした本を作りたいと考えた」とオフィス303の常松心平社長は振り返る。

オフィス303の常松心平社長(左)と日本能率協会マネジメントセンター 出版部の東山みのり氏(右)
オフィス303の常松心平社長(左)と日本能率協会マネジメントセンター 出版部の東山みのり氏(右)
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 PDCAという言葉が出てきたのは「この3つの要素を回すためにPDCAサイクルが使えるのではないかという、書籍監修の大学教授の発案」(常松社長)。また、「ビジネス書でも現状把握が重要視されている。子どもも自分自身の性格や現状を把握していないと、学習などの計画が立てられないのではないか」(東山氏)と考え、書籍の冒頭に好きな遊びや好きな食べ物を書くプロフィールのページや、得意・不得意を点数化してグラフにするページを付けた。

「小学生のための生活力アップノート」の冒頭には、自分の好きなものなどを書いて完成させるプロフィールのページや、自分の性格や得意・不得意を点数化してグラフにするページがある
「小学生のための生活力アップノート」の冒頭には、自分の好きなものなどを書いて完成させるプロフィールのページや、自分の性格や得意・不得意を点数化してグラフにするページがある
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 PDCAを強調したのは、ターゲットが子どもの教育に関心の高い親だから。「教育に関心の高い親は仕事をしている確率も高い。自分がビジネスで実践していることが教育の現場に生かされていないことに不満を持っていて、子どもの学力や才能を伸ばす書籍にお金を使う人も多い」(常松社長)。また、中学受験にも興味があり、子どもの生活習慣の改善を課題としている親もいるという。

 書店には子ども向けの手帳やお小遣い帳など、子どもの「自己管理」をサポートする書籍がたくさんある。だが、「こういう本は指名買いするのではなく、店頭で見かけて『うちの子にできるだろうか』と迷いながら買う人が多いのではないか。そのため、監修者が教育者であることや社会で通じるビジネスの理論を取り入れるなどの『理屈』があるほうが刺さると考えた」(常松社長)。

 しかし、一口に小学生といっても低学年と高学年では物事への理解度も自己管理能力にも大きな差がある。これまでの書籍のように高学年向けのものだけでもよかったのではないだろうか。

 だが、「幼稚園、保育園から小学校に上がるときに、生活のリズムが変化することを心配する親も少なくない」と東山氏。そこで、対象年齢を小学1年生からにして、漢字の表記や内容を変えながら3種類をラインアップした。