2018年9月28日、無印良品が同ブランド初となる冷凍食品を発売した。全50種類。野菜を使った総菜もあれば、おこわ、リゾットなど、それ一品で食事になるものも。おにぎり、ギョーザなどの冷凍食品の定番があるかと思えば、「キンパ」「カスレ」などあまりなじみのないメニューもある。

「発芽玄米ごはんの塩おにぎり」(各80g、5個入り。税込み490円。以下、価格は全て税込み)
「発芽玄米ごはんの塩おにぎり」(各80g、5個入り。税込み490円。以下、価格は全て税込み)
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「国産豚肉と野菜の餃子」(20個入り、450円)
「国産豚肉と野菜の餃子」(20個入り、450円)
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 無印良品は衣類から生活雑貨、食品まで扱っているが、「食品は菓子などの嗜好品が多く、食卓のサポートになる商品を作りたいと以前から考えていた」と開発を担当した良品計画食品部 調味加工担当の鈴木美智子課長は話す。

 18年3月にイオンモール堺北花田店(堺市)を移転・増床し、同社初の本格的な食品専門売り場を設けたタイミングで生鮮食品の取り扱いを開始(関連記事「無印が“生鮮スーパー”に挑戦する理由は『アンチAI』」)。同店を含む一部店舗で乾燥野菜やだしパックの展開も始めた。だが、冷凍食品の発売にはもう少し時間がかかった。これまで同社が扱っていた食品は常温のものだけ。商品を作るだけでなく、冷凍品に対応した物流サービスや倉庫の確保という問題があったからだ。また、店舗側の事情もあった。「棚が小さいと認知が広がらない」(鈴木課長)と考えて、幅1.2メートルのリーチイン冷凍庫を2台設置することにした。電力をかなり消費することやコンセントの位置の問題で、設置できる店舗も限られたという。

 結果として、イオンモール堺北花田店をはじめとした直営店4店舗と自社オンラインストアから販売することに。冷凍倉庫も確保し、物流の問題も冷凍の宅配便を使うことでクリアできた。

店舗にはリーチイン冷凍庫を2台置く。写真は無印良品グランフロント大阪店の発売前日の様子
店舗にはリーチイン冷凍庫を2台置く。写真は無印良品グランフロント大阪店の発売前日の様子
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トレンドより「無印良品がやるなら」を考えて作った

 ターゲットは無印良品のメインユーザーである30~40代の女性。文具や菓子などは若年ユーザーも多いが「特に食品は、『化学調味料などを使っていないので安心』と感じる女性が多いのではないか」と同社食品部 調味加工担当の日向桃子氏。

 この年代の女性は、日常的にキッチンに立つ人も多いだろう。忙しいなかで肉や魚などのメイン料理は用意できても、野菜の副菜を作るのには時間や手間がかかるのではないか。そう考えて、ひじきの煮物や白あえなどをラインアップ。総菜は「京都の『おばんざい』をイメージした」(鈴木課長)。また、メインになるおかずでも煮込みが必要で調理時間がかかるものもある。「じゃがいもは皮をむくのも手間がかかる」(鈴木課長)。そこで、肉じゃがなどの煮込み料理も多くそろえた。

「鶏肉と根菜の京風お煮しめ」(200g、390円)
「鶏肉と根菜の京風お煮しめ」(200g、390円)
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 共働き家庭の増加で、ふだんの食事に冷凍食品を活用する家庭も増えている。お弁当用の副菜だけでなく、パスタなどの一品料理、中華丼の具、ボリュームのある肉料理などがスーパーで手軽に購入できる。また、コンビニ各社が扱う冷凍カット野菜を使っているという人も多いだろう。だが、「商品を作るうえでトレンドは特に意識していない」と鈴木課長。「消費動向を見て『売れているのはなぜか』をまず考える。そのうえで『無印良品がやるならどんな商品するか』を考えた」(鈴木課長)。

 例えば、冷凍うどん。「確かにあれば便利だが、スーパーやコンビニなどどこでも買える。家で簡単に作れるものやどこでも買えるものを、洋服や雑貨を選びにきたついでに買うのだろうか」(鈴木課長)。スーパーと無印良品で食品を選ぶ動機は異なるはず。そうした考えからキッシュ、キンパ(韓国風のり巻き)、世界各国の煮込み料理など、「市場にありそうでないもの」をラインアップ。定番メニューに思えるギョーザも、「化学調味料不使用で、国産野菜を使っているということを前面に出せば差異化できると考えた」(日向氏)。

 また、無印良品らしいと感じたのが無駄を省いたパッケージ。透明で中身が分かりやすいだけでなく、トレーを使っていないものも多いので、かさばらず、ストックしやすい。無印良品のヒット商品でもあるレトルトの「バターチキンカレー」などは、主婦の昼食用にまとめ買いされる例も多いという。冷凍食品も同様に、昼食需要としてのまとめ買いが見込めそうだ。

「カスレ(フランス風牛肉と豆の煮込み)」(160g、390円)
「カスレ(フランス風牛肉と豆の煮込み)」(160g、390円)
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「ほうれん草とベーコンのトマトクリームリゾット」(190g、390円)
「ほうれん草とベーコンのトマトクリームリゾット」(190g、390円)
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ほうれん草とベーコンのトマトクリームリゾットのパッケージ
ほうれん草とベーコンのトマトクリームリゾットのパッケージ
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他社商品の価格は意識していない

 スーパーなどで売られる冷凍食品は割引セールになることもある。それらと比較すると、無印良品の冷凍食品はやや高め。だが、「他社商品の価格は意識していない」(鈴木課長)。価格で比較するのではなく、他社にはない味を求める人や同社の商品に信頼を置いている人が選択すると考えているのだろう。強いていうならば、「今日は無印のレトルトカレーにするか、無印の冷凍食品にするか」という点で迷う人はいるかもしれない。

 発売直後から品薄になる店舗もあり、ECサイトでの反響も大きかったとのこと。今後もアイテム数を増やしていきたいと鈴木課長は話す。

「キンパ(韓国風のりまき)」(8切れ入り、490円)
「キンパ(韓国風のりまき)」(8切れ入り、490円)
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「クリーム大福」(4個入り、390円)。
「クリーム大福」(4個入り、390円)。
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(文/樋口可奈子)