宮本むなしを新たな成長エンジンに

宮本むなしはほとんどの店舗が駅前に出店
宮本むなしはほとんどの店舗が駅前に出店
[画像のクリックで拡大表示]

 サトは主力業態の和食のファミリーレストラン「和食さと」をはじめ、寿司と鍋の専門店「すし半」、グルメ回転寿司「にぎり長次郎」、天丼・天ぷら専門店「さん天」、カツ丼・とんかつ専門店「かつや」と、和食に特化した5業態を展開する。そのうち、にぎり長次郎はM&Aによりフーズネットを子会社化。かつやは、東京のアークランドサービスとの共同出資により、関西市場攻略のための新会社を設立した。「宮本むなし」は、M&Aで取得した2件目となる。

 サトの創業は昭和33年(1958年)。寿司と鍋料理を大衆価格で提供する「すし半」チェーンが始まりだ。関西のターミナル駅の駅前を中心に宴会場を備えた店舗を出店。1970年代に外資チェーン店が進出してきたのを機に、チェーンストア経営に方向転換した。

 洋食レストラン業態の「さと」を郊外のロードサイドに出店し、100店舗超まで拡大。しかし90年代にバブル崩壊で外食市場が頭打ちになって洋食系ファミレスが転換期を迎えたとき、価格での消耗戦を避けて和食業態に特化した。

 「うちの強みであり、半世紀かけて培った和食のノウハウと、洋食業態で得たチェーンオペレーションのノウハウを融合し、和食さとを軸としたチェーン化に成功した」(田口社長)。和食さとは9月1日現在、関西中心に中部、関東に201店舗を展開。和食ファミリーレストランチェーンのトップとなった。

 ここ数年、取り組みを強化しているのが、ファストカジュアル業態だ。コンセプトは「ファストフード並みの価格と提供時間、料理はレストラングレード」(田口社長)。天丼・天ぷら専門店「さん天」、カツ丼・とんかつ専門店「かつや」がそれに該当する。ファストカジュアルにかじを切ったのは、総花的品ぞろえの和食業態では今後の成長が限定的だから。「ファミリーの形態が変わってきているうえ、かつてのような急成長は見込めない。参入企業も多いなか、今後の展望をどう描いていくのか。より日常的に大衆に利用してもらえる業態が成長の基軸になると判断した」(田口社長)という。

 サトは和食業態で2019年3月期に売上高512億円、600店舗をめざす。中長期計画のなかで、新たな成長エンジンと位置付けているのが宮本むなしだ。街の大衆向け定食チェーンという、同社にこれまでなかった業態と運営ノウハウに魅力を感じ、事業承継の話が持ち上がったタイミングに動いた。

 今後は既存店の改装とメニューの見直しにも着手する。「これまで店を知っていても入っていただけない人も多く、入りやすい清潔な店に変えていく。まずはいまの顧客により満足してもらうことが大切だが、いずれ客層を広げていきたい」と田口社長。

 出店については、同一エリアに集中出店するドミナント戦略が基本。経営効率を考えると、出店領域でナンバーワンになり、市場を占拠していくのが賢明と考える。したがって、出店余地のある関西を中心に100店舗まで拡大したあとに、関東への再進出を狙う。

 同社ではグルメ回転寿司の「にぎり長次郎」で買収によるシナジー効果が現れており、業績は絶好調という。街の定食屋として親しまれてきた宮本むなしがどんな店へと変貌し、味にも変化が現れるのか、いまから楽しみである。

宮本むなしの田口剛社長
宮本むなしの田口剛社長
[画像のクリックで拡大表示]

(文/橋長初代)