左官職人が手作りする珪藻土バスマットが、国内最大級のクラウドファンディングサイト「Makuake」で限定販売され、初日で目標額を達成した。アッシュコンセプト(東京都台東区)と、珪藻土(けいそうど)を使った製品が有名なsoil(石川県金沢市)が共同で手掛けた「soil BATH MAT kaji」は、左官職人・梶昌一氏がすべてひとりで作り上げる。
「最近は、左官の技術を間近で体験できる機会はなかなかない。今回のバスマットは“持ち運べる左官の技”という大きな魅力がある」と、アッシュコンセプトの名児耶秀美(なごやひでよし)社長は話す。
soil BATH MAT kajiは4種類あり、それぞれ「研ぎ出し」「洗い出し」「墨流し」「かき落とし」という別々の左官技術が使われている。
研ぎ出しは、セメントと種石(小石)を混ぜ合わせたものを塗り付け、乾き上がる前に砥石などで研ぎ出し手柄を出す仕上げ技法のこと。今回は、砕いた色珪藻土を秋田県産の白い珪藻土と混ぜ、研ぎ出しを表現した。
洗い出しは、セメントなどに色石などを入れて塗り付け、乾く前にブラシで水洗いして石を浮かび上がらせる技法。今回は、より大きな玉石を使用し、銭湯の床をほうふつさせる。
墨流しは、10世紀初頭から存在するといわれている伝統技法。色の異なる珪藻土を混ぜ合わせてマーブル模様を生み出している。珪藻土を数回に分けて型に流し込み、側面にまでマーブル模様が美しく流れるよう仕上げている。一つひとつ仕上がりが違うという。
かき落としは、セメントに砂や砂利などを混ぜて塗り付け、乾き切る前に金属製のブラシなどの鋭利な道具で引っかき、表面をざらざらにする技法。それを珪藻土に応用し、平滑面と上面にのみ表現した。梶氏ならではの目の粗さで、足触りが良いという。使い込むことで、表面が丸みを帯びるといい、経年による変化が楽しめる。