2014年に閉館した松坂屋上野店南館の跡地で建て替えが進められていた「上野フロンティアタワー」(地下2階・地上22階)が2017年11月4日にオープンする。同プロジェクトを共同で進めてきたJ.フロント リテイリング、大丸松坂屋百貨店、パルコは2017年9月14日に記者会見を開き、詳細を発表した。

 同タワーは、地下1階から10階までが商業ゾーン、12階から22階は賃貸オフィスの複合商業施設。地下1階には松坂屋上野店本館地下1階とつながる「松坂屋上野店」、1~6階は「パルコ」の新業態「PARCO_ya(パルコヤ)」がオープンする。

 パルコの23区内の出店は1973年の渋谷PARCO以来、44年ぶりであり、東(ひがし)東京エリアに出店するのは今回が初。さらに百貨店とパルコが本格的に組み合わさるのも初の試みだという。また上野最後の映画館「上野東急」が2012年に閉館してから、上野エリアは映画館の空白地帯が続いていたが、7階から10階は全8スクリーン・1400席のシネコンプレックス「TOHOシネマズ 上野」がオープンする。

 それに伴い、松坂屋上野店もリニューアルオープン。地下1階(上野フロンティアタワーのPARCO_ya側)にコミュニティサイト「上野が、すき。」と連動した新しい売り場「上野が、すき。ステーション」をオープン。本館2階に「上野 HA・NA・RE」「上野が、すき。カフェ」を、本館7階に「上野が、すき。ギャラリー」をオープンする。いずれも近年増えている“体験型・コト消費”のニーズに対応する売り場として、またJ.フロント リテイリングが推進している「アーバンドミナント(地域とともに成長する)戦略」の受け皿として、顧客と売り場のつながりを強化することでロイヤリティの向上につなげる狙いだ。

「上野フロンティアタワー」(台東区上野3-24-6)。東京メトロ銀座線「上野広小路駅」直結、日比谷線「仲御徒町駅」都営地下鉄大江戸線「上野御徒町駅」より徒歩3分、JR線「御徒町駅」より徒歩2分。地下2階、地上23階、塔屋1階。高さ117mで敷地面積は約5800平米、延床面積は約4万1000平米。地下1階は大丸松坂屋百貨店、1階~6階はPARCO_ya、7階~10階はTOHOシネマズ、11階は機械室、12~22階はオフィス
「上野フロンティアタワー」(台東区上野3-24-6)。東京メトロ銀座線「上野広小路駅」直結、日比谷線「仲御徒町駅」都営地下鉄大江戸線「上野御徒町駅」より徒歩3分、JR線「御徒町駅」より徒歩2分。地下2階、地上23階、塔屋1階。高さ117mで敷地面積は約5800平米、延床面積は約4万1000平米。地下1階は大丸松坂屋百貨店、1階~6階はPARCO_ya、7階~10階はTOHOシネマズ、11階は機械室、12~22階はオフィス
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隣接する上野松坂屋とは連絡通路でつながっている
隣接する上野松坂屋とは連絡通路でつながっている
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上野フロンティアタワーは高さが約117mあり、周辺に高層ビルが少ないため、オフィスからは上野公園はもとより、スカイツリー、東京ドームまで見える
上野フロンティアタワーは高さが約117mあり、周辺に高層ビルが少ないため、オフィスからは上野公園はもとより、スカイツリー、東京ドームまで見える
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百貨店の隣に出店するのはチャンス

 なぜ百貨店としてのリニューアルではなく、複合商業施設としたのか。J.フロント リテイリングの山本良一社長はその理由のひとつとして、“異分子結合”への挑戦を挙げた。「異なる事業を組み合わせることで互いの強みをいかし、最大のシナジーを生み出すことができる。弊社が手掛けたギンザシックスもオープン以来、好調に推移しているが、これも事業の異なる4社が協働したからこそ。当タワーができたことで、今まで街を訪れなかった人までも呼び込む、起爆剤にしたい」(山本社長)。

 大丸松坂屋百貨店の好本達也社長は、「オフィスはすでに満室になっており、ニーズがいかに高かったかが分かる。この御徒町エリアはJRと地下鉄の5つの路線が乗り入れるとともに、最寄りの都営バス停留所からは毎日1000本以上の路線バスが運行している」と、エリアのポテンシャルの高さを強調した。

 パルコの牧山浩三社長は上野松坂屋との協業の理由について「パルコは1969年に池袋でスタートしたが、同じ場所に西武百貨店があったので『同じ百貨店をつくってもしかたがない』と考えたのが原点。隣に百貨店があることで客も連動するので効率が良い。今回もむしろ絶好のチャンスと考えた」といい、「渋谷PARCOはサブカルチャーを育てることから始めたが、上野には元から本物の文化がある。その文化をさらに成熟させ、元気になるような何かをプラスしていきたい」(牧山社長)。そのため、大人にも支持されるショップを68店舗そろえ、テナント年間売り上げ60億円を目指すという。

左からパルコの牧山浩三社長、大丸松坂屋百貨店の好本達也社長、J.フロント リテイリングの山本良一社長、上野観光連盟会長の二木忠男氏
左からパルコの牧山浩三社長、大丸松坂屋百貨店の好本達也社長、J.フロント リテイリングの山本良一社長、上野観光連盟会長の二木忠男氏
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■変更履歴
最終パラグラフ、「テナント年間売り上げ68億円を目指す」としておりましたが、正しくは「テナント年間売り上げ60億円を目指す」でした。お詫びして訂正します。[2017/9/21 13:49]

パルコの8割が上野初、2割が地元ゆかりの企業 

 上野フロンティアタワー地下1階に新設される松坂屋上野店フロアの中央で大きな面積を占めるのが、観光案内所の機能を持ち、地域の情報発信や物販・イベントを行う「上野が、すき。ステーション」。上野案内所を設置し、上野エリアの情報や魅力を発信するとともに、周辺の有名店や老舗の商品のコラボレーション商品を販売。ワークショップなどを実施するコミュニティスペースも併設している。さらに上野をイメージする雑貨ショップを5ブランド展開するという。

 1階から6階を占めるパルコがPARCO_yaと屋号を変えたのは、ショップ構成がほかのパルコと全く異なるためだという。PARCO_yaでは、68店舗のうち約4割がパルコとして初めて取り組む企業。上野御徒町エリア初登場の店舗が52店舗と約8割を占める。一方の残り2割はマーケットとの親和性も重視し、地元(台東・文京・千代田)ゆかりの11店舗が占めている。地元老舗企業と他ジャンルとのコラボによる業態開発も独自に行うという。

 1400席というシネコンプレックスのオープンに伴ってニーズが高まるのが飲食店だが、松坂屋上野店には百貨店につきもののレストラン街がない。そこでPARCO_ya6階には全9店舗のレストラン街「口福回廊(こうふくかいろう)」をオープン。上野の地元店舗としては、老舗有名店「上野藪そば」の新業態「うえの やぶそば」、焼肉の街・上野で長年営業する「上野 焼肉 陽山道」が初のビルイン出店。また上野は“北への玄関口”として栄えてきた歴史があるため、それを象徴する飲食店として「北海道 くろまる」「金沢まいもん寿司」「仙臺牛たん炭焼利久」と北の有名店もそろえたという。

 特に注目したいのは「うえの やぶそば」。明治25(1892)年創業の老舗だが、「店の名前を“藪”から“やぶ”に変えているのは、伝統を受け継ぎつつ新しいことに挑戦する藪そばにしたかったから。初の試みとして、日本のそば粉を使ったガレットなども提供する」(パルコ上野店 小林昭夫店長)。また施設の顔となる1階には、ミシュランの星を獲得している割烹「くろぎ」のシェフ・黒木純氏が手がける新業態「廚 otona くろぎ」や、上野エリア初登場「ディーン&デルーカ カフェ」もオープン。そのセレクトからも「この街を変えたい」という意気込みが伝わってきた。

上野松坂屋地下1階。街歩きを楽しむためのフロアと位置づけ、壁面に婦人靴を約60ブランド展開
上野松坂屋地下1階。街歩きを楽しむためのフロアと位置づけ、壁面に婦人靴を約60ブランド展開
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フロア中央には観光案内所の機能を持たせた「上野が、すき。ステーション」を新設
フロア中央には観光案内所の機能を持たせた「上野が、すき。ステーション」を新設
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「PARCO_ya」という屋号の英文字表記「ya」は、「yet another=もうひとつの」の略で、今までの「PARCO」に対しもうひとつの新しい「PARCO」という意味。また、日本語の「や」は、花火やお祭りの際の威勢のいい掛け声、日本の老舗をイメージさせる「〇〇屋」などをイメージしたという
「PARCO_ya」という屋号の英文字表記「ya」は、「yet another=もうひとつの」の略で、今までの「PARCO」に対しもうひとつの新しい「PARCO」という意味。また、日本語の「や」は、花火やお祭りの際の威勢のいい掛け声、日本の老舗をイメージさせる「〇〇屋」などをイメージしたという
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(文/桑原恵美子)