早くも売り上げを3%押し上げる効果

 ファーストキッチン・ウェンディーズの事前注文サービスは、Showcase Gig(東京都港区)が提供するアプリ「O:der」で利用できる。O:derは、サービスに参加する飲食店のスタンプカードを一括で管理したり、事前注文したりできるサービス。現時点では34店が参加している。このサービスにファーストキッチン・ウェンディーズの2店舗が加わった。既存の仕組みを活用することで、開発コストを抑えながら、需要を検証できると判断した。

 注文方法は、まずO:derのアプリからファーストキッチン・ウェンディーズの店舗をタップする。次にメニューの一覧から好きなセットメニューや「ハンバーガー」「生パスタ」といった商品カテゴリーを選ぶ。続いてセット内容や、注文したい商品を指定していく。例えば、「ポテトセット」であれば、ハンバーガーの種類、セットポテトの味、セットドリンクの種類などを選んでカートに追加する。あとは、アプリに登録したクレジットカードで決済をすれば注文完了だ。調理の完了後はアプリの通知が届く。通知を受け取ったら、店舗の受け取り専用口で注文画面を店員に見せて商品を受け取る。

「O:der」は参加する店舗に事前注文を申し込める。「ファーストキッチン・ウェンディーズ」も2店舗が参加している
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好きなセットメニューや商品を選んで、注文をする。調理が完了すると、通知が届く
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 ただ、導入後には新たな課題が浮き彫りになった。「開発時はテイクアウトでの利用を想定していた」(ファーストキッチン マーケティング部の高関類部長代行)ものの、ふたを開けてみれば、想定以上のアプリ利用者が店舗で食事をしていることが分かった。そこで、今後は注文時にテイクアウトとイートインを選べるようにするという。イートインで利用する場合には、店内でまず席を確保してもらい、席から注文するといった利用法を想定している。

 このような新たな施策に前向きな理由は、数字としても売り上げ増加が期待できることが分かったからだ。「開始からわずか2週間程度で、日によっては3%ほどの売り上げ増加に貢献している」(ファーストキッチンの高関氏)。このことから、当初は10月末までの期間限定の提供を想定していたが、期間の延長を決めたうえ、試験提供の範囲をショッピングセンター内の店舗へとさらに広げる方針だ。

「架空のレジが増えたようなもの」

 事前注文アプリは、外食産業にとって頭痛の種となっている人手不足への対応策としても期待が高い。ファーストキッチンは業界最大手の日本マクドナルドに比べれば、店舗のアルバイトの数が大幅に少ないという。そのため、いかに効率的に注文をさばけるかどうかが重要になる。スマホアプリを活用した事前注文は「架空のレジが増えたようなもの」と高関氏は言う。レジの店員が少ない店舗でも、アプリ経由で注文を受け付ければ、より多くの顧客の注文に対応できる。事前注文サービスが日本でも定着すれば、来店客と店舗、双方にとって大きなメリットにつながりそうだ。

(文/中村勇介=日経トレンディネット)


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