自分で焼かない「テキサス流バーベキュー」とは?

 下城会長によると、本来のバーベキューの起源は1600年代に遡る。カリブ海の島に暮らすタイノ族という少数民族が湿らせた木でやぐらを組み、肉をスモークしながらゆっくり時間をかけて調理していたのをスペイン人が発見。そのやぐらの名前「バルバコア」をそのままスペイン語として持ち帰った。それが米国に渡って「バーベキュー」という言葉になったそうだ。その後、バーベキューは米国南部で発展し、「トラディショナル」「テキサススタイル」のバーベキューとして現在まで知られるようになった。

 米国でバーベキューの3大ミート(肉)といえば、ポークバット(ボストンバット)と呼ばれる豚の肩肉、ポークリブという骨付き豚バラ肉。それからブリスケットという牛の肩肉。どれも硬い肉だが、半日くらいかけて低温でじっくり火を入れて調理して、ほろほろとした食感に仕上げる。肉汁をしっかり閉じ込めるため、炭火やまきを使い、ふたをして調理するのが基本だという。それくらい調理が大変なので、店で調理済みの食材を買ってくるか、バーベキューレストランに食べに行くのが一般的だそうだ。

「セントルイスカット」という、豚のあばら骨の前の方の部分をバーベキューしている様子。スモーカーという機材で、直火ではなく薪や炭の熱で間接的に焼く「インダイレクト」というスタイルで調理している(写真提供:日本バーベキュー協会)
「セントルイスカット」という、豚のあばら骨の前の方の部分をバーベキューしている様子。スモーカーという機材で、直火ではなく薪や炭の熱で間接的に焼く「インダイレクト」というスタイルで調理している(写真提供:日本バーベキュー協会)
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これが「ブリスケット」と呼ばれる牛の肩肉。固い肉なので、半日くらいかけて低温でじっくり火を入れて調理して、ほろほろとした食感に仕上げる(写真提供:日本バーベキュー協会)
これが「ブリスケット」と呼ばれる牛の肩肉。固い肉なので、半日くらいかけて低温でじっくり火を入れて調理して、ほろほろとした食感に仕上げる(写真提供:日本バーベキュー協会)
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日本でも“自分で焼かないバーベキュー”レストランが増加

 日本でも手ぶらバーベキューが浸透するなか、“自分で焼かないバーベキュー”を提供する店も増えている。特に2015年にオープンした「Shonan Bar-B-Q」(神奈川県茅ヶ崎市)は店内のスモーカーで焼き上げたテキサススタイルのバーベキューを提供する店として注目を浴びている。

神奈川県茅ヶ崎市にある「Shonan Bar-B-Q」(ショウナンバーベキュー)
神奈川県茅ヶ崎市にある「Shonan Bar-B-Q」(ショウナンバーベキュー)
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テキサスから直輸入したスモーカーで10時間以上かけて塊肉をじっくり低温で焼き上げている
テキサスから直輸入したスモーカーで10時間以上かけて塊肉をじっくり低温で焼き上げている
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「トライスターBBQコンボプレート」(2808円)。写真手前から時計回りに、豚の肩から腕の大きな塊肉を手で割いたプルドポーク、牛の肩から下の部分にあたるブリスケット、スペアリブを盛り合わせている
「トライスターBBQコンボプレート」(2808円)。写真手前から時計回りに、豚の肩から腕の大きな塊肉を手で割いたプルドポーク、牛の肩から下の部分にあたるブリスケット、スペアリブを盛り合わせている
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 手軽にできるのが本来のバーベキューということであれば、日本のバーベキューは間違っているのだろうか。

 「楽しく食べて人とコミュニケーションを取ることや環境に配慮することが大切。今までのバーベキュー場では片付けが面倒だからとゴミを不法投棄して帰る利用者も多かった。ラクをしてバーベキューが楽しめる環境が整えば、もっとやりたくなるはず。年に1回と言わず、何回でも楽しんでほしい」(下城会長)

(文/樋口可奈子)