サントリー食品インターナショナルは、2018年9月10日から同社の特定保健用食品(トクホ飲料)「伊右衛門 特茶(以下、特茶)」を対象にしたキャンペーン「特茶プログラム」を開始した。期間中に特茶を購入したユーザーに、健康をサポートするアプリ「特茶スマートアプリ」などを提供する。

 アプリでは体重や歩数、睡眠や食事内容など、健康維持に役立つ個人情報が管理できる。さらに人工知能による生活習慣の分析や、ユーザーの悩みに合わせたフィットネスやレシピなどの情報の提供、特茶のCMに出演するタレントからの応援メッセージなどのコンテンツも用意されている。ターゲットは男性ビジネスパーソンで、特茶を購入した先着100万人に提供される予定だ。

「特茶スマートアプリ」(写真左)では特茶購入時に使えるクーポンなども提供予定で、2018年9月10日から2019年3月31日まで利用できる。キャンペーンの対象となるのは「伊右衛門 特茶」(写真右)、「特茶 カフェインゼロ」「特茶 ジャスミン」の各500mlペットボトルのみ。
「特茶スマートアプリ」(写真左)では特茶購入時に使えるクーポンなども提供予定で、2018年9月10日から2019年3月31日まで利用できる。キャンペーンの対象となるのは「伊右衛門 特茶」(写真右)、「特茶 カフェインゼロ」「特茶 ジャスミン」の各500mlペットボトルのみ。
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 同社はこれまでもオフィス向けの施策として、スマートフォンアプリと自販機を連動させてポイントがたまるとトクホ飲料をプレゼントするサービス「GREEN+(グリーンプラス)」を行ってきた (関連記事「サントリーの『弁当を売る自販機』シェア拡大へランチ難民開拓 」)。だが、全国の100万人を対象にしたキャンペーンは、同社において過去にも類を見ないほど大規模なものだという。

トクホ飲料乱立でライトユーザーが離脱

 特茶はRTDの特保・機能性食品市場において30%のシェアを持つトップブランド。ポリフェノールの一種で、脂肪分解酵素を活性化させる働きを持つ「ケルセチン配糖体」を飲料に配合。継続飲用することで体脂肪の低減効果があるとしている。2013年に緑茶、2016年にカフェインゼロのブレンド茶、2017年にジャスミン茶を発売し、売り上げを伸ばしてきた。だが、2017年の売り上げは前年比98%。2018年上半期(1~6月)の売り上げは前年同期比86%と減少している。特茶ブランドマネージャーでサントリー食品インターナショナル ジャパン事業本部ブランド開発事業部の溝本将洋課長は「市場にトクホ飲料が増え続けるなか、さまざまな商品を試すユーザーが増えている。その結果、効果が実感できず、離脱している人もいるのではないか」と分析する。

18年上半期は特茶ブランド全体で前年同期比の86%にまで売り上げが落ち込んだ
18年上半期は特茶ブランド全体で前年同期比の86%にまで売り上げが落ち込んだ
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 その一方で、同社は特茶を継続的に飲んでいるヘビーユーザーからの「運動を始めたこともあるが、特茶を飲み始めてから脂肪が付きにくくなった」という声に着目。SNS上などでユーザーの声を拾ったところ、「効果を実感するとともに、特茶をきっかけに生活習慣を見直した」という意見が多く見られたことから、運動や食生活などの生活習慣改善をサポートすることが必要だと考えた。「健康のために何をやったらいいのか分からないという人もいれば、運動や食生活の改善を始めたくても誘惑に負けたり、1人で取り組むことに不安を感じたりして継続しないという人は少なくない」(溝本課長)。そこで目を付けたのが、人気の健康系アプリ「FiNC(フィンク)」だった。

人気健康系アプリで女性層獲得も狙う

 FiNC(フィンク)は「キレイになれる キレイが続く」をテーマに、ライフログの管理や分析をして、ユーザーの目標にあったフィットネス情報やレシピなどの動画も提供するアプリ。2017年3月の提供開始以降、女性を中心に支持を集め、2018年8月末にはダウンロード数が累計300万件を突破した。腰痛や肩こり、血圧などの悩みにも対応しているので、美容や減量に限らず予防医療全般を意識したアプリといえるだろう。アプリを開発したFiNCによると、ユーザーから集めたライフログデータは11億件を突破したという。

 特茶スマートアプリは、このFiNCをもとにキャンペーン期間中だけサントリー独自のコンテンツを付加したもの。つまり、サントリーのオリジナルではない。同社としては、一から自分たちで開発するよりも、すでに豊富なデータを持っているアプリを活用するほうが特茶ユーザーの求める情報を的確に提供することができると考えたのだろう。

FiNCの機能をほぼそのまま特茶スマートアプリに提供しているという
FiNCの機能をほぼそのまま特茶スマートアプリに提供しているという
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 サントリーがFiNCを選んだのにはもうひとつ理由がある。特茶のユーザーは30~50代が中心で、7割が男性。一方、FiNCのユーザーは9割が女性で、20~40代前半が中心だ。特茶はCMキャラクターに俳優の本木雅弘氏を起用するなど男性向けの商品というイメージがあるが、「体脂肪を減らしたい」と考えるのは男女共通で年齢を問わない悩みのはず。FiNCを活用することで、女性層や若年層も獲得していきたいという考えだ。

 健康に対する情報感度が上がるなか、何を選べばいいのか分からない人だけでなく、「サプリや飲料をただ飲むだけでは効果が出ない」と考える人も増えている。今後は特定保健用食品や機能性表示食品を開発するだけでなく、継続購入を促す施策も同時に考えなくてはいけないのかもしれない。

サントリーが行った「トクホ飲料と健康対策についての意識」についてのアンケートでは「(トクホ飲料を飲むだけではなく)運動や食生活など、ほかの健康行動との組み合わせが大切」と答えた人が約8割にも上った
サントリーが行った「トクホ飲料と健康対策についての意識」についてのアンケートでは「(トクホ飲料を飲むだけではなく)運動や食生活など、ほかの健康行動との組み合わせが大切」と答えた人が約8割にも上った
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(文/樋口可奈子)