バイク用ABSはここ数年で一気に進歩

 ABSは小型化・軽量化が進んだだけでなく、性能や動作フィーリングも大きく進化した。先に挙げたABS進化の図のうち、2005年の「ABS 8」では作動時に起こるレバーへのフィードバックが大きく、ブルブルと震えてしまう。走行状態によってはブレーキ圧がわずかに抜けるようなイヤな感じもある。あまりいいABSとはいえなかった(※筆者の乗っているバイクに搭載されているのでよく分かる)。

 その次の「ABS 9」は明らかに向上していた。イヤなフィードバックも少なく、ごく自然な効き具合だ。「このABSならもっと広く使われてもいいなあ」と思った記憶がある。

 最新の「ABS 10」は、残念ながらまだ体験したことがない。聞くところによると、ほとんどABSが効いていることを感じず、それでいて効果は強烈。ぬれた路面でも安定した制動ができるという。バイク用ABSはここ数年で一気に進歩した。

 某ヤマハ販売店に聞いたところ、YZF-R25の場合、ABSありとなしの販売比率はほぼ半々だという。ツーリングや街乗り中心で使うライダーはABSありを購入し、スポーツ走行を重視していたり、バイクに手を入れるユーザーはABSなしを選ぶことが多いという。

 つまり、ブレーキパッドを社外品の効きの良いものに替えたり、ブレーキホースを高剛性のものに交換すると、ABSの動作がメーカーの想定したものと動作特性が変わってしまう可能性がある。そうした弊害を避けるために、スポーツ走行系ライダーは最初からABSなしを選んでいるのだという。

 後編ではCBS(コンバインドブレーキシステム)について扱っていく。

ヤマハ「YZF-R25」。これもABSの有無が選択できる。同じボディーで320ccの「YZF-R3」はすべてABSを装備している(いずれも現行モデル)
ヤマハ「YZF-R25」。これもABSの有無が選択できる。同じボディーで320ccの「YZF-R3」はすべてABSを装備している(いずれも現行モデル)
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ABS装備車の走行イメージ。非常に高性能なABSも、ブレーキパッドなどを変更すると動作が変わる可能性がある(写真提供:ボッシュ)
ABS装備車の走行イメージ。非常に高性能なABSも、ブレーキパッドなどを変更すると動作が変わる可能性がある(写真提供:ボッシュ)
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(文/西尾 淳=WINDY Co.)