ポーラ・オルビスグループで化粧品ブランド「THREE」を展開するACRO（東京・品川）は2018年9月、業界初となるメイク中心のメンズ総合コスメブランド「FIVEISM × THREE（ファイブイズム バイ スリー）」を発売する。9月19日の伊勢丹新宿店メンズ館、阪急メンズ東京を皮切りに、26日には阪急メンズ大阪で販売をスタート。百貨店に加えてECサイト、セレクトショップでも販売し、将来はアジア圏での展開も視野に入れているという。
「FIVEISM × THREE」は、男性のメイクアップ市場の創出と、男性のメイクアップを日常化することを目指している。「男性が身だしなみを整えるーーマナーとしてのメイクという新しいカルチャーを提案することで、多様化するライフスタイルに対応し、美意識向上という潜在的なニーズを呼び覚ます」（ACRO）。
「Individuality」がブランドコンセプトで、「個性」という意味だけでなく、性差や年齢、常識や偏見から自由になったときに表れる自己の新たな可能性を意味しているという。THREEのグローバルクリエイティブディレクターで、FIVEISM × THREEでもディレクションを手がけるRIE OMOTO氏は、「男が化粧なんて……、というのは思い込み。例えばパーツ使いでシミを隠すだけでもより健康的に見える」と話す。日常に取り入れやすいよう、ひげそりや歯磨きをするのと同じような動作で扱えるスティック状のアイテムが大半を占める。
ブランドの立ち上げにおいては、これまで国内百貨店市場において、メイク品を含む男性向け総合コスメブランドは存在しないことに着目したという。「近年注目される男性用化粧品における新たなジャンルを創出できると考えている」（ACRO）。
また、RIE氏は、「時計や車など男性の方がこだわりが強い。メイクの現場でも女性より男性の方が自分が施された化粧を気にする。男性こそメイクをするべきだと思った」と話す。
メイクが男性の身だしなみになるか
UV対策すら気に留めないようなミドル世代も多くいるなかで、一部の美意識の高い男性以外からも支持を得られるのだろうか。「実際にミドルエイジの方に試していただいて、『これならシミ隠しだけでも使えそうだ』という声を聞いた。経営者や営業の仕事をしている方など、幅広い職業や世代の方に受け入れられると自信を深めた」（RIE氏）。
発売当初は、ベースメイクとポイントメイクを中心に商品展開し、スキンケアはTHREEの既存のメンズライン「ザ ディフィニティブ」の商品を販売する。年内には、「FIVEISM × THREE」独自のスキンケアやヘアケア、雑貨など幅広くラインアップしていく予定だという。価格帯は、2000～1万2000円を想定している。
メイク用品は化粧を悟られないよう、塗っていないかのような自然な仕上がりにこだわった。ファンデーションやコンシーラーなどのベースメイクは骨格をすっきり見せたり、光を集めて立体感を出す、さりげなくシミを隠すなどわずかなニュアンスで、「センスアップさせる」（RIE氏）アイテムばかりだ。また、クレンジングもスティック状で、直接塗ってなじませて洗い流すだけの手軽さで、日常に取り入れやすい設計になっている。
すべての製品は女性にも使用できるといい、女性からの需要も見込めそうだ。メイクが男性の身だしなみの常識となる日は来るだろうか。
（文／北川雅恵＝日経トレンディネット）
