ノズルがなぜ“うねうね形状”になったのか

 同社が今回のプレミアム商品の開発に着手したのは今から5年前。その2年前に業界最大手のイチジク製薬もジャバラ型を発売したのを機に「ひとおし30を超える商品を作ろう」という気運が社内で高まったという。

 消費者カードからユーザーの声を洗い出したところ、液残りの次にノズルの長さに対する不満が判明。そこで、新商品では業界最長45ミリのロングノズルを採用した。通常は30~35ミリなのでかなり長い印象だが、しっかり挿入できる。

 ノズルが長くなったぶん、形状にも改良が加えられた。スムーズに挿入できるようにノズルにオイルなどを塗る人も少なくないため、スルッと入るウエーブ状ノズルを業界で初めて採用。3つの波をつける新技術によって、乾燥状態でも抵抗を少なくし、より挿入しやすくなった。

 特許を取得したウエーブ型ノズルのアイデアは、痛くない注射針や金型製造からヒントを得たという。「どちらも表面が細かくギザキザ状になっている。そのほうが接触面積が減るため、注射の痛みが感じにくくなったり、金型が抜けやすくなったりする」(西岡社長)。

 開発にあたっては、波の高さや間隔を変えたノズルの試作モデルを複数作製。実際に人間の腕の皮膚で摩擦力を測定する実験を行い、ウエーブ型ノズルがいかに摩擦力が低く、挿入しやすいかを実証した。

ウエーブ状ノズルを業界で初めて採用。さまざまな波の数と形状を試した結果、3つの波に行き着いた
ウエーブ状ノズルを業界で初めて採用。さまざまな波の数と形状を試した結果、3つの波に行き着いた
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大容量タイプが成長し、客単価は上昇中

 同社は業界大手のイチジク製薬の業績に肉迫し、2016年にはついに出荷本数でトップに躍り出る。浣腸工業会データによると、国内の一般向け浣腸の市場規模は30~40億円でここ数年はほぼ横ばいで推移。出荷本数は約1億本で、そのうち約3000万本を同社が生産している。

 そんななか、30グラムの浣腸の出荷数量がこの5年間で866万本減少する一方、40グラムの商品が急成長。5年間で1.5倍の805万本に増え、市場シェアは約30%に上昇。浣腸の主流は明らかに30グラムから40グラムへと大容量にシフトしている。

 「その要因はトップメーカーが40グラム10個入りを発売したことで、大手バイヤーの認知度が上がり、陳列を見直したことが大きい。結果、顧客の認知度も上がり、客単価が上がって売り上げが増えた。ネット販売でも効き目が強い40グラムが売れ筋になっている」(営業部西日本統括マネージャーの酒井公彦氏)。

 さらに、60歳以上の男性ユーザーが増えたこと、ドラッグストア間の競争激化により、顧客満足度が高く、単価の高いプレミアム商品が求められているという。昨今の市場変化を察知し、いち早く投入したのが、ひとおし40プレミアムというわけだ。

 定価は2個入り400円、10個入り1800円。実際は10個入り1280~1380円で店頭販売されるようだが、「売り上げも利益もとれる商品。これを機にブランド力も強化していく」と、酒井マネージャーは自信を見せる。 

「3Dプリンターが普及したおかげで、試作品の金型も5万円ほどですぐに作れた」と西岡一輝社長
「3Dプリンターが普及したおかげで、試作品の金型も5万円ほどですぐに作れた」と西岡一輝社長
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