ネットを通じて不特定多数の個人(支援者)から資金を募り、その対価として完成品を送る「購入型クラウドファンディング」を活用する大手メーカーが増えている。購入型の有力サイト「Makuake」(サイバーエージェント・クラウドファンディング)では、2016年に入って東芝が参戦し、7月以降ではJVCケンウッド、タカラトミー、エーザイがプロジェクトを開始。これまでベンチャー企業ばかりだったクラウドファンディングを大手が斬新なプロダクトで盛り上げている。

購入型クラウドファンディングサイトの「Makuake」
購入型クラウドファンディングサイトの「Makuake」
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東芝が提案したアルコールガジェット「TISPY」は支援が殺到した(現在は募集終了)
東芝が提案したアルコールガジェット「TISPY」は支援が殺到した(現在は募集終了)
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 大手メーカーが購入型クラウドファンディングを活用する狙いは、大きく2つ。一般販売が決まっていない商品の市場性を見極める目的と、新製品情報に敏感な層に向けて一般販売の前にアピールして話題の拡散を期待するものだ。

 クラウドファンディングの利用者は自ら対価を支払って支援するため、これまで自社で行っていた市場調査より“本物の消費者”に近い意見を集められ、プロジェクトの経過を随時報告することでロイヤリティの高いファンの獲得にもつながりやすい。また、購入型クラウドファンディングでは先行発売という形を取ることも多く、その場合、既存の流通経路とは別の販路を確保でき、プロジェクトの結果次第では既存の流通との営業交渉に有利に働く可能性もある。

 一方、クラウドファンディングの支援者にとっては、市場に出ていない製品を“先物買い”できるメリットがあり、しかも多くは一般販売時の想定価格よりも10%以上割安な価格で手に入れられる。

 このように大手メーカーと支援者双方の利害を絶妙に満たし、購入型クラウドファンディングは伸びている。Makuakeで始まったJVCケンウッドやタカラトミー、エーザイのプロジェクトではどんな切り口の製品が提案されているのか、次ページから解説する。