カレーラーメンには売れるための“2大条件”がある!?

 同シリーズの企画開発を担当した明星食品マーケティング本部の平田寿光ブランドマネージャーは、グループ会社である日清食品冷凍から異動。「カップ麺の知識はほとんどなかったが、どうせやるからにはこれまでと違う新しいトレンドを作りたいと思い、あまり成功例のないカレーラーメンを深堀りしてみようと考えた」という。

 ちょうどそのころ、カップ麺業界にはひとつの“事件”が起こっていた。それは2014年4月に明星食品のグループ会社である日清食品から発売された「カップヌードル トムヤムクン ヌードル」が大ヒットし、定番商品となったこと。「1年間に各メーカーから発売される即席麺の新商品は合計で1000種類以上にも上る。その中で定番商品として残るものは2~3年にひとつあるかないか。それが今までは受け入れられにくいといわれていたエスニック味から出たことに大きな衝撃を受けた」(平田ブランドマネージャー)。2014年にはマッサマンカレーの人気が高まったこともあり(関連記事:「この夏のカレーはなぜ「マッサマン」だらけ? レトルト、缶詰、ファミレスまで」)、エスニック的な味を求める流れがベースにあるのだろう。

 そこでエスニック系のカレーとラーメンを合体させたカップ麺の開発を開始。従来、売れるカレーラーメンに不可欠な条件は「柔らかい食感で太めのフライ麺」「甘みととろみ、濃厚感のあるマイルドなカレー味のスープ」が定説だった。だがこれらの条件はすべて、超定番であるカップヌードル カレーの特徴だ。そのため、この定説にできるだけ沿って試作を繰り返していると「カップヌードル カレーの味を薄くした、劣化版のようなものしかできなかった」(明星食品 マーケティング本部 阿部文武副主事)。

 平田ブランドマネージャーが提案したのは、明星食品の即席麺の得意分野であるノンフライ麺を使用すること。「せっかく得意分野なのだから、生かしたほうがいいと単純に考えただけ。カップ麺の予備知識がなかったから、常識にとらわれることなく提案できたのかもしれない」(平田ブランドマネージャー)。半信半疑で試してみたところ、スパイシーで濃度の薄いエスニックカレーにはノンフライ麺が非常によく合うことが分かったという。「フライ麺は油で揚げることで、独特の香ばしさを出している。それが好まれているのだが、それがエスニックカレーのスパイシーさを殺してしまっていた。だからフライ麺でエスニックカレーラーメンを作ると、カップヌードル カレーを薄味にしたようなものしかできなかったことに気がついた」(阿部副主事)。今となってみれば簡単なことだが、やってみるまでは誰も気づかなかった発見だったという。

 そこから今までのカップ麺にない本格的なスパイシー感の追求が始まり、改良を重ねて完成したのが第1弾「明星 銀座デリー監修カシミールカレーラーメン」。第2弾の「明星 銀座デリー監修 マサラカレー焼そば」はフライ麺だが、「麺にスパイスを直接絡めたら、もっとスパイシーさが引き立つのでは」と考えたのがきっかけだという。こちらも、従来にはなかった本格的なスパイシー感のあるカレー焼きそばとして、好評を得た。

 今までの常識に挑戦したカレーラーメンということで、パッケージにも工夫した。カップ麺売り場で目立たせるには、いかに違和感を出せるか。新商品の場合、できるだけパッケージに情報をたくさん入れたくなるが、ぐっとこらえてあえて“空間”を作った。また表面は日本語表記にしたが、裏面は外国語表記にして輸入品のようにも見えるデザインにした。「面白いと思ってもらえたのか、あえて裏面だけ見せて陳列してくれた店もあった」(平田ブランドマネージャー)。

 これまでのカレーラーメンとあまりに異質だったため、第1弾商品の販売目標は控えめに見積もっていた。だが最近は営業部門からも「このままコンスタントに出していけるのでは」という声が多いという。

 購入者からは「本格インドカリーでも麺に合う新発見の味!」「日清カップヌードル超えたかも!」という称賛の声も多い一方、カップヌードル カレー愛好者からははっきり「まずい」という意見もあるという。つまりカップヌードル カレーのように万人受けする味ではないということ。「自分たちはそれでもいいと思っている。今後のヒット商品のポイントは、今までの踏襲商品以外の“新規テーマ”がプラスオンできることではないか。細めのノンフライ麺、スパイシーでさらりとしたスープという定説とは真逆のカレーラーメンの新しい魅力を多くの人に知ってもらい、少しずつファンを増やしていきたい」(平田ブランドマネージャー)。

正面は日本語表記
正面は日本語表記
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裏面は外国語表記で、輸入食品のようにも見えるデザイン
裏面は外国語表記で、輸入食品のようにも見えるデザイン
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2015年9月に発売された第1弾、タテ型ビッグサイズカップ麺「明星 銀座デリー監修 カシミールカレーラーメン」のパッケージではできるだけ情報を入れず、空間を多く取ったデザイン。情報量の多いパッケージだらけのカップ麺売り場での違和感を狙っている
2015年9月に発売された第1弾、タテ型ビッグサイズカップ麺「明星 銀座デリー監修 カシミールカレーラーメン」のパッケージではできるだけ情報を入れず、空間を多く取ったデザイン。情報量の多いパッケージだらけのカップ麺売り場での違和感を狙っている
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第1弾商品の発売時、「辛くてびっくりした」というクレームがあったため、辛さの基準を目立つように入れている
第1弾商品の発売時、「辛くてびっくりした」というクレームがあったため、辛さの基準を目立つように入れている
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