「コンテンツ大国日本」の第3軸をアイドルに

 2020年の東京オリンピック開催に向けて、国内のビジネスは、より一層、インバウンドを意識した構造にシフトするのは明らかである。そのとき、世界に向けて日本が主張するのは「コンテンツ大国」としての存在感。これまでは、国産アニメやゲームが世界で実績を上げてきた。TIF2018の総合プロデューサーである菊竹龍氏は、そこに第3の軸として「アイドル」を加えたいとする。

 アイドルたちの海外遠征は、これからより盛んになるだろう。現地における外貨獲得という目的もあるが、今後は現地ファンを増やして、いずれインバウンド化する方向も視野に入れていく。そのモデルでの主戦場は海外ではなく、日本国内ということになる。一方、AKB48グループ型のグローバルビジネスモデルでは、主戦場は現地。日本のプロデュース側はアイドルビジネスをライセンス事業として展開していく。このビジネスモデルは、現在、世界を席巻している日本のアニメビジネスに近いといえるだろう。

演歌女子ルピナス組
国産アイドルがインドネシアで16万人のファンクラブ!
「Enka Girls」の仕掛人、大石一尋氏にアイドルのアジア戦略を聞く

――アイドルグループを海外展開しようと考えたキッカケを教えてください。

大石一尋氏(以下、大石): 若いころに約10年間、音楽の勉強のためヨーロッパに住んでいました。「外」から日本を見たとき、日本のイメージが「アニメ」「すし」「芸者」「サムライ」程度しかなくてショックを受けたんです。それで、いつか日本の音楽を海外に持っていきたいと思うようになりました。「自分の音楽が日本企業にとって役立てれば」と考え、日本でコンテンツになり得るもの(アイドルや2次元、和装など)がオールインワンで詰まったグループを作り、演歌をテクノにアレンジしてアイドルに歌わせるコンセプトを早々に決めました。それが邦名「演歌女子ルピナス組」、海外名「Enka Girls」です。

――なぜアジアで展開したのですか?

大石: ヨーロッパに住んでいたとき、アイドルをいきなり欧米で展開しても成功しないだろうと思っていたのです。一瞬、「面白いね」という評価をもらっても、根付くところまでは行かない。欧米人が完成したものに賞賛を与える傾向があるからです。一方の日本人やアジア圏の人たちは、未完成なものの美しさを賞賛します。そこで、アイドルの展開をアジア圏に絞りました。結成した初めの年にいきなり、ベトナムやインドネシア、香港、中国に彼女らを連れて行ったのです。

左:「Enka Girls」のプロデューサー、大石一尋氏、右:Enka Girlsのメンバー、遠矢るいさん
左:「Enka Girls」のプロデューサー、大石一尋氏、右:Enka Girlsのメンバー、遠矢るいさん
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――どのようにして、異国の地で現在のような人気をつかんで行ったのですか?

大石: アジア地域を回って、一番、日本のアイドルに興味を持ったのがインドネシアだったのです。初めて行ったにもかかわらず、現地の方がYouTubeで予習してくれていて、わたしたちの曲を一緒に口ずさんでくれました。それで、「この国だ!」と思い、Facebookページを通じてプロモーション活動を始めました。とりあえずインドネシアで流行っていることを真似してFacebookに上げるようにしました。するとある投稿がバズって、そこに43万「いいね」が付いたんです。そこから、フォロワー数が一気に伸び始め、1週間で8000フォロワー増えたときもありました。
 半年くらい経って再びインドネシアを訪れた時には、Facebookページで「この日にライブをやります」と予告したくらいなのに、1300人程度の方がライブに来てくれました。去年の夏には、インドネシアで開催されるフェスに呼ばれたのですが、私たち以外は日本のメジャーアーティストばかりでした。それにもかかわらず、一番集客したのは私たちでした。

――現在はどういった活動をされているのでしょうか?

大石: 例えば去年の9月は1カ月間ずっとインドネシアに行っていました。ファンの数は、日本のファンクラブ会員が1000人弱。一方、インドネシア向けのファンクラブには現在、約16万人の方が登録されています。インドネシアは今後経済的に大変伸びる国だし、人口も世界で4番目。年齢別の人口分布も、日本と正反対の若者が多い三角形の分布です。こういったことを考えると、インドネシアでの成功は大きいのではないかと思っています。企業の宣伝活動としてアイドルを使ってもらえるような文化が出てくれば、僕としては本望です。事実、企業とのコラボが、現在、実現しつつあります。

Enka Girls、インドネシア・ジャカルタのIDOL PARTY 2018
Enka Girls、インドネシア・ジャカルタのIDOL PARTY 2018
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(文・写真/野崎勝弘=メディアリード)