ロッテの菓子「ビックリマンチョコ」(以下、ビックリマン)が人気漫画「キングダム」とコラボ――。2018年6月26日に発売された「キングダムマンチョコ」(以下、キングダムマン)がそれだ。

「キングダムマンチョコ」(実勢価格は1個100円)
「キングダムマンチョコ」(実勢価格は1個100円)
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 ビックリマンは1977年から販売されているロングセラー菓子で、封入されているキャラクターシールが特徴。1985年に発売された「悪魔VS天使」シリーズは80年代後半から90年代初頭にかけて一大ブームとなった。今回のキングダムとのコラボは、その悪魔VS天使シリーズとキングダムの世界観のコラボというスタイルになっている。

「ビックリマンチョコ」シリーズはランダムに封入されているキャラクターシールが特徴
「ビックリマンチョコ」シリーズはランダムに封入されているキャラクターシールが特徴
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 キングダムマンは「群雄割拠編」「戦国動乱編」の2種類。群雄割拠編はテレビアニメ第1期、戦国動乱編はテレビアニメ第2期のキャラクターが中心で、それぞれ20種類+シークレット4種類の計48種類のシールが用意されている(6月の発売時は西日本で群雄割拠編、東日本で戦国動乱編を販売。8月には各シリーズの販売エリアが全国に拡大)。例えば、主人公の信や政は、群雄割拠編では少年時代、戦国動乱編では青年時代の姿で描かれており、両方のパッケージに入っている。イラストは全点、ビックリマンのイラストレーターによる描き下ろしだ。キャラクターの選定も絶妙で、かなり力の入ったコラボレーションといえる。

テレビアニメ第1期のキャラクターをメインにした「群雄割拠編」。20種類+シークレット4種類の計24種類
テレビアニメ第1期のキャラクターをメインにした「群雄割拠編」。20種類+シークレット4種類の計24種類
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「戦国動乱編」はテレビアニメ第2期のキャラクターがメイン。20種類+シークレット4種類の計24種類
「戦国動乱編」はテレビアニメ第2期のキャラクターがメイン。20種類+シークレット4種類の計24種類
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戦国動乱編(左)は凹凸感のあるエンボス加工仕様、群雄割拠編(右)はキラキラ仕様になっている
戦国動乱編(左)は凹凸感のあるエンボス加工仕様、群雄割拠編(右)はキラキラ仕様になっている
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 しかしキングダムといえば青年誌の連載が原作で、中国の歴史大河マンガということもあって大人のファンが多い作品だ。子供向けのお菓子というイメージのビックリマンとなぜコラボしたのだろうか。

 ビックリマンの企画担当者であるロッテイノベーション本部 焼き菓子企画課の本原正明氏は「ビックリマンの購入層は35~45歳くらいがメインで、悪魔VS天使シリーズがブームになったときのファンの方が多い」という。つまり、キングダムのファン層と重なるというわけだ。

双方のファンから盛り上げる

 そもそも2013年から始まったビックリマンのコラボシリーズは、ビックリマンと接点のなかった層の興味を引くためにスタートしたという。「スターウォーズ」「ワンピース」からアイドルグループ「ももいろクローバーZ」「AKB48グループ」、はてはオンラインゲーム「パズル&ドラゴンズ(パズドラ)」まで、幅広い層を取り込むことに主眼を置いてさまざまなコンテンツとコラボしてきた。その結果、コラボシリーズ開始前の2011年度は8%程度しかなかった10~20代の購入シェアが2017年度には30%くらいになり、全体の売り上げも約5倍伸びたという。つまり、コラボシリーズは従来の購入層にも受け入れられたというわけだ。

 「子供時代の記憶を掘り起こすのは、最近のマーケティング手法の一つ。そういう意味で、子供のころは買っていたけど今は買っていない人たちに買ってもらうのに、キングダムはピッタリだった」と本原氏。

 ビックリマンとキングダムの相性が良い理由はファン層だけでなく、キャラクター数が多いこと、さらにファンの熱量もポイントだという。一方、「進撃の巨人」はファン層が若い女性中心でまとめ買いが少ない印象だったが、ビックリマンを買っていなかったユーザーに知ってもらえて裾野が広がったそうだ。ちなみにこれまでのコラボで最も売れたのは「ワンピースマン」。ユーザー層の幅広さもキャラクターの多さも文句なく、3カ月で900万個以上という大ヒットになった。

 面白いのは、コラボシリーズには天使VS悪魔シリーズとのコラボシールが入っていること。今回のキングダムマンでいうと「ヘッドロココ&信」「スーパー信ゼウス」「お化ちゃ魔&尾平」「ブラック王騎ゼウス」といった具合だ。これはコラボ商品の購入者に悪魔VS天使シリーズの世界観も体験してもらうことで、ビックリマン自体のファンになってもらうのが狙いだという。

 さらに、これらのキャラクターの組み合わせがキングダムとビックリマン両方のファンである有名人が選んだものだということもポイント。シールの裏には選んだ本人からのメッセージが印刷されている。ただコラボするだけでなく、発信力のあるファンの力も生かして盛り上げようというわけだ。

 「まず4月1日にウェブで告知し、同月に発売された50巻の帯に広告を掲載。5月に詳細情報を出し、6月に製品を発売した。7月に51巻が発売され、8月にはキングダムマン各シリーズの販売エリアが全国に拡大する」(本原氏)。販売計画はかなり綿密だ。

シークレットシールは「ヘッドロココ&信」「スーパー信ゼウス」「お化ちゃ魔&尾平」「ブラック王騎ゼウス」といった具合に天使VS悪魔シリーズとキングダムのキャラクターのコラボとなっている
シークレットシールは「ヘッドロココ&信」「スーパー信ゼウス」「お化ちゃ魔&尾平」「ブラック王騎ゼウス」といった具合に天使VS悪魔シリーズとキングダムのキャラクターのコラボとなっている
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シークレットシール8枚のうち6枚はキングダムとビックリマン両方のファンである有名人がキャラクターの組み合わせを選定。裏には選んだ本人の直筆メッセージも
シークレットシール8枚のうち6枚はキングダムとビックリマン両方のファンである有名人がキャラクターの組み合わせを選定。裏には選んだ本人の直筆メッセージも
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箱買いしても1箱で全種類はそろわない

 キャラクターの選定については「全てを当たりにしないのが重要」と本原氏。「全部当たりだと本当に欲しいキャラが出たときの喜びが少なくなるから、『おっ!?』と思える意外なキャラを入れるのも大事。おみくじ的な感覚で買う方も多い」。たしかに、例えば筆者は5枚買って昌文君、カイネ、王翦、桓騎、太后である。何だか、見事に微妙だが、決して悪くはない。太后なんか、やたら微妙だ。ランカイやムタなども選ばれている。この辺りのチョイスが抜群だ。

 普通のシールもシークレットのコラボシールも基本的には枚数は同じだそう。ただ、箱ごとの混ぜ方を変えてあるという。だから、箱買いしても1箱で全種類はそろわない。熱くなる要素はここにも仕込まれているのだ。

 実際、キングダムのファンは熱量が大きい人が多いそうで、発売以来、かなりの反響だという。お菓子としてのビックリマンチョコも、ウエハースに挟まれたチョコが甘すぎず、なかなかおいしいのだ。この機会に、久しぶりにキングダムマンでビックリマンの世界を振り返ってみてはいかがだろう。

箱買いしても1箱では全種類はそろわないそうだ
箱買いしても1箱では全種類はそろわないそうだ
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(文/納富廉邦)