2017年7月1日・2日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で「東京キャンピングカーショー2017」が開催された。出展車両は約200台。2月に幕張メッセ(千葉市)で開催された「ジャパンキャンピングカーショー」(展示車両約300台、来場者数7万4000人)に比べて規模こそ小さいものの、開場前から来場者が長蛇の列を作るなど、近年のキャンピングカー人気が本物であることを伺わせた。なお来場者は2日間で2万2580人(主催者発表)と、昨年から微増。

 2016年度における日本のキャンピングカー業界の売り上げ金額は、それまでの過去最高だった2015年度の357億1922万円をさらに上回り、365億4291万円(前年比102.3%)に達するという(日本RV協会調べ)。これは中古も含め、キャンピングカーの市場が今なお右肩上がりで成長していることを示している。

 近年は300万~500万円台というキャンピングカーの世界では、比較的リーズナブルな価格帯のモデルが人気の中心となっているが、その中でも特に注目されることが多いのが日本独自の規格である軽自動車をベースにした軽キャンピングカー(軽キャンパー)だ。モデルバリエーションも増え、すっかり一つのカテゴリーとして定着した感がある。日本RV協会によれば、同協会に所属するキャンピングカー事業者が2016年に出荷および輸入したキャンピングカーの総台数は5364台、廃車台数は118台で、日本国内におけるキャンピングカーの総保有台数は約10万400台となったと想定されている。このうち軽ベースキャンピングカーを生産台数ベースで見ると、2014年は689台だったのに対し、2015年は1077台、2016年は1096台とこの2年で大きく伸びていることが分かる。

 今回の東京キャンピングカーショーでも各メーカーから「バンコン(※1)」「キャブコン(※2)」「トラキャン(※3)」など、さまざまなタイプの軽キャンピングカーが出展されており、いずれも常に人だかりができていた。

人気止まらぬ「軽キャンピングカー」、何が進化した?(画像)
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※1 バンコン:バンコンバージョンの略。バン、ミニバン、ワゴンなどワンボックスカーのボディーの外側にはあまり手を加えず、キッチン、サニタリー、就寝スペースなど、主に車内の改造に重点を置いたタイプのキャンピングカー。
※2 キャブコン:キャブコンバージョンの略。商用トラックやワンボックスカーのキャブ(運転席)部分をそのまま生かし、後部にはキャンピングカーメーカーが製作した独自の居住部分を架装したタイプのこと。
※3 トラキャン:トラックキャンパー。トラックの荷台に居住部分を載せたもの。


30~40代の夫婦や20代のカップルが増加

 「stage21」は、比較的コンパクトなキャンピングカーを中心に手掛ける神奈川県相模原市のメーカーだ。軽キャンパーはいわゆるバンコンタイプから、8ナンバー登録(※4)の本格的なキャブコンタイプまで、さまざまなタイプをラインアップしている。

※4 8ナンバー登録:就寝スペースや水道設備、炊事設備など、法律で定められた一定の構造要件を満たしたキャンピングカーは「特殊用途自動車」に区分され8ナンバーとなる。


stage21代表 霜田勝美氏
stage21代表 霜田勝美氏
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  stage21の代表、霜田勝美氏に現在のキャンピングカー人気について聞いてみたところ、以前から選択肢の一つとして軽キャンピングカーの提案自体は行っていたが、ここ1年で急激に問い合わせが増えてきたとのこと。

 「最近、メディアに取り上げていただくことが多く、それまでキャンピングカーに興味のなかった一般の方にもその存在が広く認知されたことが影響していると思います。大きくて高価なレジャー専用車という従来のキャンピングカーのイメージが少しずつ変わってきました」  さらにユーザーの年齢層にも変化が見られるという。

 「これまではリタイア世代が圧倒的に多かったのですが、ここきてお子さんのいない30~40代の夫婦や20代のカップルなども目立ってきましたね。軽キャンピングカーは維持費が安く、車体がコンパクトで取り回しやすいため、それまで乗っていた乗用車から乗り換えというケースも多いです。いまの軽自動車は高いもので200万円近くするモデルもありますからね。じつは軽キャンピングカーとそんなに変わらないんです。それならレジャーも楽しめる軽キャンピングカーもいいじゃないか、というわけです」

 市場の確立とともにハードウエアも確実に進化していると霜田氏は続ける。

 「代表的なところでは電源供給システムの進化です。キャンピングカーは車内で100Vの家電製品が使えるというのが大きなメリットのため、エンジンの始動や車両本体の電装品を稼働させるバッテリー(メインバッテリー)のほか、さまざまな装備品を動かすためのサブバッテリーも別に搭載しています。そこに車両のオルタネーター(発電装置)で発電した電気の余剰分を蓄える構造になっているわけです。ところがエンジンが小さい軽自動車はオルタネーターによる発電量も少ないため、なかなかサブバッテリーに充電することができないのが弱点だったのです。こうした弱点を補うため、近年のモデルはルーフにソーラーパネルを設置することで充電効率を飛躍的に向上させています」

stage21のキャンピングカー(1)見た目は軽ワンボックスカーそのもの!

「リゾートデュオ バス・キング」はstage21の看板モデル。展示車両の価格は201万7000円
「リゾートデュオ バス・キング」はstage21の看板モデル。展示車両の価格は201万7000円
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 stage21の看板モデル「リゾートデュオ バス・キング」。ご覧の通り外観は普通の軽ワンボックスカーそのものだが、大人2人がゆったりと寝ることができる広大なベッドスペースを備えるほか、ボディーに断熱材を施工することで断熱性も高めてある。ルーフには発電量の少ない軽自動車の弱点を補うため、180W薄型ソーラーパネルを搭載。テレビや冷蔵庫といった快適装備を無理なく使うことが可能になっているという。

 用途を車中泊だけと割り切っているためキッチンなど水回りの設備はあえて採用しておらず、価格もリーズナブル。展示車両の価格は201万7000円とのこと。

「リゾートデュオ バス・キング」の内装。車中泊だけに用途を割り切ったモデルなのでキッチンなど水回りの設備はあえて採用していない
「リゾートデュオ バス・キング」の内装。車中泊だけに用途を割り切ったモデルなのでキッチンなど水回りの設備はあえて採用していない
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stage21のキャンピングカー(2)本格派ながら軽量な軽8ナンバーキャンパー

stage21のキャブコン「リゾートデュオ バンビーノ Jr.」。展示車両の価格は265万円
stage21のキャブコン「リゾートデュオ バンビーノ Jr.」。展示車両の価格は265万円
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 こちらは軽8ナンバー登録のキャブコン「リゾートデュオ バンビーノ Jr.」。居住部分は軽量なアルミパネルで断熱材をサンドイッチした断熱設計を採用しており、1トン前後という比較的軽量な車体重量と優れた断熱性を両立。夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができるという。また、ルーフをポップアップさせることで軽自動車とは思えない室内容積を確保し、就寝定員は4人。展示車両の価格は265万円。

「リゾートデュオ バンビーノ Jr.」の内装。1トン前後という比較的軽量な車体重量と優れた断熱性を両立
「リゾートデュオ バンビーノ Jr.」の内装。1トン前後という比較的軽量な車体重量と優れた断熱性を両立
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「どうせ買うなら4人乗り」という人が多い

 「MYSミスティック」は、トラックやピックアップトラックの荷台に着脱可能なキャンパーシェルを架装したタイプのキャンピングカー、いわゆる「トラック・キャンパー」(トラキャン)を得意とする山梨県のメーカーだ。今年2月のジャパンキャンピングカーショーに出展された軽自動車ベースのキャンピングカー「J-cabin Mini W」と「レジストロ」はそのスタイリッシュなエクステリアとインテリアデザインで大きな注目を集めた。同社は今回、軽トラックをベースにした8ナンバー登録の軽キャンピングカー2台を展示していた。

今年2月に行われた「ジャパンキャンピングカーショー」で注目を集めた「J-cabin Mini  W」は軽トラックの荷台に着脱可能なキャビンを搭載するトラキャンだが、カマボコ型の屋根や木材風クロスを採用したカントリー調のインテリアなど、他のモデルと一線を画すスタイリッシュさが魅力(写真は「ジャパンキャンピングカーショー」時に撮影)
今年2月に行われた「ジャパンキャンピングカーショー」で注目を集めた「J-cabin Mini W」は軽トラックの荷台に着脱可能なキャビンを搭載するトラキャンだが、カマボコ型の屋根や木材風クロスを採用したカントリー調のインテリアなど、他のモデルと一線を画すスタイリッシュさが魅力(写真は「ジャパンキャンピングカーショー」時に撮影)
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 同社の代表 佐藤正氏に軽トラックのトラキャンについて聞くと、「着脱式のキャンピングシェルを採用したトラキャンは構造上2人乗車になってしまうため、それほど数が多く出ることはないんです」と話す。問い合わせ自体は多いものの、販売に至るのはその半数程度という。「着脱式のトラキャンはシェルを外せば普通の軽トラックとして使えるメリットがある一方で、乗用車としての実用性、利便性はどうしても低くならざるをえません。やはり『どうせ購入するなら4人乗車のモデルを』と考えるお客さまが多いですね」

 同社の軽キャンパーが凝った内装を採用する理由について佐藤氏はこう話す。「トラキャンというのは比較的低予算でも作ることが可能ですが、コストを削って作ったものというのは使っているうちにだんだんと飽きて乗らなくなってしまうことも多いんです。しっかりと質感の高い内装にすることで、大人の“隠れ家”として長く愛用していただければと考えています」(佐藤社長)。

 MYSミスティックでは軽トラックベースでありながら普通車登録(いわゆる白ナンバー登録)の車両も手掛けている。これについては「理想とする室内空間を実現しようとするとどうしても軽自動車の規格には収まらなくなるというのが正直なところ」とのこと。維持費の安さといったメリットは失われるものの、コンパクトで取り回しやすいところは軽キャンパーと変わらぬ強みだ。

MYSミスティック代表 佐藤 正氏
MYSミスティック代表 佐藤 正氏
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MYSミスティックのキャンピングカー(1)4人乗車のトラキャン

MYSミスティックの「Mini POP Bee」。展示車両の価格は301万5784円
MYSミスティックの「Mini POP Bee」。展示車両の価格は301万5784円
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 ポップなカラーリングが楽しい週末を予感させるのが「Mini POP Bee」。走行時の全長高を低く抑えることができるポップアップ式のルーフを採用しており、屋根全体が垂直に立ちあがることで広大な室内空間を実現している。軽トラックの荷台にキャビンを積載するトラキャンの一種だが、キャビンを固定した状態で車検を取っているためこちらは8ナンバー登録となる。したがって乗車定員も4人だ。なおキャビンを着脱式にした2人乗車のモデル「Mini POP」も用意されている。展示車両の価格は301万5784円。

MYSミスティックのキャンピングカー(2)軽自動車だけど白ナンバーで広々

MYSミスティックの「レジストロ」は軽トラックベースながら普通自動車登録となる。展示車両の価格は333万8860円
MYSミスティックの「レジストロ」は軽トラックベースながら普通自動車登録となる。展示車両の価格は333万8860円
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 軽トラックに大型のキャンパーシェルを架装したモデルは「レジストロ」。車体サイズが軽自動車の枠を超えるため黄色ではなく白ナンバー登録となっている。乗車定員は5人。山小屋風の車内には大人2人、子ども2人分のベッドスペースが確保されている。

 一見、荷台にアルミ製のシェルを載せたトラキャンのように見えるが、シェル部分は車体と一体化して設計されており、れっきとした「キャブコン」である。展示車両の価格は333万8860円。

「レジストロ」の内装。大人2人、子ども2人分のベッドスペースが確保されている
「レジストロ」の内装。大人2人、子ども2人分のベッドスペースが確保されている
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※記事内の車両価格はオプション装備などが含まれた出展車両の価格になります


(文・写真/佐藤 旅宇)

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